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現実世界にステータスが現れたので、何が何でも最強を目指します  作者: 黄昏時


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第61話 ギミック

「……」


 明らかにおかしい。

 俺は近くの木に寄りかかりながらそう考える。

 何せ早く攻略する為にかなり急いで進んできたのだが、どれだけ進んでも全く進んでいる気がしないのだ。


 その最たる理由が、この池だ。

 そう思いながら見つめる先には、蓮の葉のようなものが浮かんでいる池がある。

 何故かある程度の距離を進むと全く同じようなこの池がある為だ。


 勿論視界が悪いってのはあるが、まるで同じ場所を永遠に行ったり来たりしているような感覚に陥ってしまっている。

 ただそんな事は無いはずなんだ……

 何せ俺はただひたすらに真っすぐ進んでいたのだから……


≪なぁ、これってもしかして同じところをぐるぐる回ってるんじゃないか?≫

≪俺、さっきもこの景色見た気がする≫

≪☆頭がおかしくなりそうだよ……≫

≪☆そんな事は無いってわかってても、狐さんが同じ場所をぐるぐると回ってるって思っちゃう≫

≪でもさ、流石に魔物とも遭遇してないのはおかしいだろ? となるともしかしてなんらかのギミックがあるんじゃないか?≫


 確かにコメントの言う通り、ここまで最初に戦った魔物意外とは遭遇していないし、何なら気配すら感じていない。

 とはいえそれらしきギミックなんて無いぞ?


 俺はそう思いながら周囲を見渡すが、案の定それらしきものは見当たらない。

 どうしたものかと頭を捻っていると、不意に木にもたれかかっている背中に違和感を覚える。


 何だ?

 何か変な凹凸があるような気がする。

 そう思いながらもたれかかっていた木を確認すると、そこにはトランプのクラブのようなマークがあった。


 自然に現れたというよりはまるで何かに刻印されたような感じがする。

 これが今の俺の状況と何か関係があるというのか?

 と、俺は木のマークを触りながらそう思う。


≪何それ?≫

≪意味ありげだな……≫

≪さっきの人じゃないけどなんかギミックがありそうな雰囲気が出て来たな≫


 確かにギミックがありそうな雰囲気は出てきたが、だからと言ってこれだけでは全く何をどうすればいいのかさっぱりわからん。

 ただこうなってくると本当に同じところをループさせられてた説が濃厚になって来たな。


 進んでも進んでもこの池に戻されるのなら、この池が何か関係してるんだろうし他に何かないか調べてみるか。

 俺はそう思い、池の周辺を歩き調べる事にした。



 数十分程池の周囲を隈なく調べたところ、他にわかった事は二つ。

 一つは俺がもたれかかっていた木と全く同じような木が池の周囲にもう三本生えている事。


 ただ他の木には最初に見つけた木とは違いマークのようなものは見当たらなかった。

 もう一つは池に浮かぶ蓮の葉のようなものの中に、葉の中心にマークのような記号が書かれている物が四つあるという事。


 書かれていた記号はそれぞれ♧・♢・♡・♤の四つ。

 トランプ……全てを見つけて最初に思ったのはそれだった。

 とはいえここまで来ると流石に偶然というには出来過ぎている。

 明らかに何らかのギミックだろう。


≪トランプの絵札だよな?≫

≪☆意味を軽く調べてみたけど、♧が知識・♢がお金・♡が愛・♤が死だって。関係あるかはわからないけど……≫

≪いや最初にあの木の記号見つけられなかったらこんなの見つけられないだろ……≫


 知識・お金・愛・死……か。

 葉にあるのはその四つで、気にあるのは♧の知識だけ。

 知識……頭脳……考える……解決する……

 俺は頭の中で連想できる言葉を次々に出していく。


≪何だろうなコレ?≫

≪他にそれらしいヒントも無かったからわかんないな≫

≪こういう頭使う系って面倒くさいよな。どうせならもうあの木へし折って同じ記号の所に持って行ってみようぜ?≫

≪あながちそれが正解かもな。それらしいヒントも無いし深く考えるだけ無駄みたいな……≫

≪☆けどそれをやって違った時が問題だと思う。果たして取り返しが付くのか……色々試してからでも遅くないんじゃない?≫

≪けど外の人達は今もずっと戦ってるわけで、無限に時間があるわけでもないぞ?≫


 コメントで言われた通り、一つ一つ慎重に検証している時間が今の俺には無い。

 とはいえ取り返しが付かずこのダンジョンに一生囚われるなんて事になるのはもっとごめんだ!


 とりあえず一つだ!

 速攻で一つだけ試してまずは取り返しが付くか調べる。


「フン!」


 俺は両手に持っていた剣を指輪に仕舞ってから、そんな声と共に[魔力操作]と[魔力放出]を使い、近くにあった記号の刻印されていない木に正拳突きを放つ。

 そうすれば殴られた木はまるで殴られた箇所の内部から爆散するかのように弾け、その場に音を立てて倒れる。 

 そしてそれを確認した俺はそれと同時に池とは反対の霧の中に走り出す。


≪はい?≫

≪何アレ……≫

≪えっ? 狐さんて魔法系の職業じゃないの?≫

≪☆あ! もしかして直近の配信見てなかった人? 狐さんはつい最近格闘家にジョブチェンジしました。そしてあの攻撃は魔物にも有効で、あれで殴られた魔物は背中が爆発してた≫

≪一人だけやってるゲームのジャンルが違うかのような攻撃手段だよな……このダンジョンに入った最初の戦闘でもなんか見えない攻撃を飛ばしてたみたいだし……≫


 と、物凄い速度でコメントが流れるが俺はそれを無視し走り続ける。

 そして少しすれば先程居た場所と同じ池に辿り着いたのだが……


「元通り……」


 池の周囲の木を見渡してそう呟く。

 先程盛大にへし折ったであろう当たりの木は、まるで何事も無かったかのように元に戻っていた。


 これならやり直しが効きそうだな。

 俺は俺の攻撃手段等について加速しているコメントを完全に無視し、即座に記号が刻印されていた木に近づく。


 そして今度は拳ではなく右足に[魔力操作]で魔力を纏わせ、記号が刻印されていた木の根元に向かって蹴りを入れる。

 そして纏っていた魔力を[魔力操作]で少し内側に送ってから、[魔力放出]を発動する。

 すると先程と同じように木の根元のあたりが内側から爆散し、その勢いのまま倒れる。


≪いや、今の行動だけ見てたら道具を必要としない木こりじゃん……≫


 というコメントが何故か不意に目に入ってしまうが、無視だ無視。

 今はとりあえず考えられる可能性を全て順番に消していくんだ!

 俺はそう心の中で叫び、[身体強化]と更には[魔力操作]を使い自身の体を強化する。


「……フッン!!」


 そしてそんな気合を入れる声と共に倒れた木を持ち上げる。

 ただ正直予想していた以上に簡単に木が持ち上がったので、気合を入れる声もスキルも必要無かったかもしれないな。


 そう思いながら俺は持ち上げた木を同じ記号が刻印されていた蓮の葉の近くまで持っていく。

 だが傍まで持ってきたところで特にこれといった変化は無い。


 もしかして違ったのか?

 そう思った直後、葉の刻印と木の刻印がそれぞれ光始め、ゆっくりと線のように光がそれぞれから伸び、そしてその光がピタリと繋がる。


 繋がった瞬間、持っていた木が何かに物凄い力で引っ張られる。

 俺はそれに対して抵抗することなく、即座に木から手をはなす。

 すると木は同じ刻印のあった蓮の葉の上まで飛んでいき、空中でパキパキと音を立てて割れ、中から真っ白な鍵のような♧の形をした鍵のようなものが現れた。


 そしてそれが蓮の葉に刺さり、ガチャっと何かが開く音が聞こえる。

 どうやら当たりだったみたいだな。

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