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現実世界にステータスが現れたので、何が何でも最強を目指します  作者: 黄昏時


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第54話 ダンジョンブレイク

美穂みほ!! 冬花!!」


 スマホを確認した水野さんはそう叫びながら、物凄い勢いで扉を開け外へ出ていく。

 俺はそんな水野さんを見てワンテンポ遅れて我に返り、すぐさま連絡先を開き電話をかける。


 頼む……繋がれ……繋がれ……つな


『宗太!! 大丈夫!?』

「俺は大丈夫……母さんはどう?」


 俺は目を瞑り額に手を当てて下を向きながら電話越しの母さんの声にそう答える。


『こっちは大丈夫。それよりも確か今行ってる場所ってダンジョンブレイクした場所の近くなんじゃ……』

「それならよかった。近くに冒険者協会か国所属を名乗る人いない?」


 俺は母さんの言葉を故意に遮りそう言う。

 居ろよ……

 居なけりゃ協会本部は勿論、議事堂まで直接行ってやるからな……


『ついさっき冒険者協会の人が来て目の前に居るけど……』

「ちょっと変わってくれない?」

『ちょっと待って。……むす………ほしいと』

『お電話変わりました。冒険者協会所属の勝浦かつうら とおるとお申します』

「……父さんと楓は?」

『既に別の者が接触しており無事です』

「……三人に何かあったら俺、協会本部だけじゃなく国会議事堂までぶっ壊しますから」

『今のは聞かなかったことにしておきますが、そうならないよう最善を尽くさせていただきます』


 俺の言葉に電話口の男は冷静にそう返してくる。


『詳しい状況に関してはもう間もなく別の者が到着するはずですので、その者に聞いてください。ご家族に関しては久遠 宗太様には遠く及びませんが、要人として扱い命を賭けて守らせていただきますので』

「……頼みましたよ。後、母さんに心配するなって言っておいてください」

『わかりました』


 俺は男性のその言葉を聞いて電話を切る。

 そして俺の方に近づいていた気配の方に視線をやる。


「久遠 宗太様。冒険協会所属の滝波たきなみ 静加しずかと申します。緊急時の為、早速ではありますが現状説明をさせていただきます」


 俺はそう言ったスーツ姿の女性に対して軽くうなずく。

 あまりにも突然すぎる……

 正直心の準備なんて出来てない。


「ダンジョンブレイクが起こったのはここから約一キロ先にある堤防のダンジョンです。現在自衛隊と冒険者協会所属の人間で何とか出てきた魔物を倒してはいますが、民間人にも被害が出ており正直手が回っていない状況です。ですので……」

「わかりました。すぐに向かいましょう」

「助かります」


 俺は滝波さんの言葉を聞きながら即座に立ち上がる。

 そして待っている三人の気配を感じながらも、気にせず外へ出る。


「俺の家に不法侵入とはいい度胸してる……少年の知り合いか?」

「冒険者協会所属の滝波さんです」


 真剣な表情でそう言ってきた水野さんに対して俺がそう答えると、隣に立っている滝波さんが頭を下げる。


「冒険者協会……なるほどな。子供の手も借りたいってか?」

「我々冒険者協会は年齢ではなく実力で判断しています。久遠様は下手な大人の冒険者と比べるまでもなく戦力になるかと」

「ハッ! 言うね! 嬢ちゃん! 因みに他にも協会の人間が来てるんじゃないのか?」

「……何故でしょう?」

「少し頼みたい事があってな。妻と娘を安全な場所まで連れて行ってほしいんだ。俺も少年についていこうと思ってな」

 

 その言葉の直後、水野さんと滝波さんは俺の顔色を伺うかのようにこちらを見てくる。

 俺が判断しろって事かよ……


 ただ水野さんに関しては一緒に行ったからと言って足手まといになるような事は無いだろう。

 それに民間人に被害が出る程なら避難や救助も考えると人手は必要だ。


 不安要素があるとすればどれほどの魔物かわからないという事。

 だからと言って見捨てるなんてことは心情的にできないから行かないという選択肢はない。


「水野さんなら構いませんよ」

「少年がこう言ってるんだ。妻と娘の事を頼めるか?」

「わかりました」


 滝波さんはそう答えるとポケットから無線を取り出し、水野さんの奥さんと娘を安全な場所に連れて行くようにと指示を飛ばす。


「冬花。無茶しない程度に母さんの事頼んだぞ?」

「任せて。お父さんも無茶しないでね?」

「心配するな」

「それでは現地に向かいます! 私が先導しますのでついてきてください!」


 無線での報告が終わった滝波さんは俺達に向かってそう叫ぶ。

 それに対して俺と水野さんが頷くと、滝波さんはすぐさま走り出した。

 俺と水野さんもそれに合わせて後を追うように走り出す。 


ーーーーー


「こりゃ酷いな」


 遠くに見える光景を見て隣の水野さんがそう漏らす。

 俺達は今住宅街の屋根の上を飛び越えて進んでいるのだが、俺達の進行方向では既にいくつもの家が崩れていたり燃えていたりとかなりひどいありさまだ。


「現在一般人の避難率は六割程度です。ですので出来るだけ周囲に被害が及ぶような攻撃は避けてください。冒険者アプリに登録している人間には支援要請を出しており参戦してくれている者も居ますが、それでも尚被害が出ているのが現状です」


 六割……発生してまだそれほど時間がたってないから何とも言えないが、それでもまだ四割は残ってるって事だよな。

 それに支援要請を出したからって近くに居なきゃすぐには来れないだろう。


「出てきてる魔物はどんな奴ですか?」

「現在確認されているのは体長2~3メートルはあるトカゲと1メートル程の大きなカエルです。トカゲに関しては体が硬く軽い攻撃は弾かれます。カエルに関しては酸を飛ばして来たり舌で攻撃して来たりしているようですので警戒してください」

「狐の魔物は出てきてないですよね?」

「狐ですか? それは確認されてませんね」

「なら無線で狐の仮面を着けた人間が近くに来たら別の場所の支援に向かうよう伝えておいてください」


 俺は滝波さんにそう言いながら指輪から狐の仮面を取り出し、[氷魔法]を使って落ちないようにする。

 この緊急時だ。人は足りない所に少しでも回すべきだし、足を引っ張られても困る。


 それに人相を言われたところで即座に判断することは出来ないだろう。

 こういった目立つトレードマークでもあれば少しは違うはずだ。

 そして今回必要なのは速度だ。


 俺はそう思いながら指輪から[紫電のナイフ]と普通の剣を取り出す。

 どうしても一撃一撃が大降りになってしまう上に、加重を使えば地面が割れ周囲に被害が出る事から今回はハルバードは使わない方針だ。


「少年、俺も着けた方がいいか?」

「からかわないでください」


 からかうようにそう言ってきた水野さんに俺はそう返す。

 水野さんに武器を何か渡そうかと腰を見れば、差しているのが木刀ではなく真剣に変わっていた。


 恐らく母屋に行った段階で変えてきたのだろう。

 余りにも急いでいたのでそこまで見れてなかったな。


「場所も大体わかったので俺は先に行きますね。滝波さん! 俺がさっき言った事だけ現場にはしっかりと伝えておいてください!」


 俺はそう言って滝波さんを追い越し、戦場と思われる場所へと向かう。

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