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現実世界にステータスが現れたので、何が何でも最強を目指します  作者: 黄昏時


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第53話 相談

「ハァ……ハァ……ハァ」


 意味が分からん!!

 そう叫びたいのを必死に我慢しながら俺は床に大の字に寝転がりながら疲労からくる荒れた呼吸を整える。


 あれから俺は水野さんが言っていたスキル発動の感覚というのを感じ取る為にひたすらに剣を振っていた。

 だが未だにそのスキル発動の感覚というのがわからないのだ。


 それを水野さんに伝えたところ、「少年はまだ剣を使っているのではなく、使われている状態なんだ」という更に訳の分からないことを言われた。


「どうだ少年? 感じ取れたか?」

「いえ、正直さっぱりです」

「そうか」

「そのスキル発動の感覚? というのはどんな感じなんですか?」

「そうだな……俺が最初に感じ取ったのは違和感だったな。木刀を持った時にこれまでにない導かれるような感覚を感じ、その違和感を追求していくうちに徐々にスキル発動の感覚だとわかった感じだな」


 導かれるような感覚……

 これまでそんな事を考えて武器を扱っていなかったからそんな感覚があったのかすらわからない。


 ただ必死に、魔物を倒すためだけに振るっていた攻撃。

 それをどうやって振るっていたのかと聞かれても覚えていない。


「一度休憩にしよう。闇雲に剣を振って掴めるものでもないだろうからな」

「因みにまだ聞いてませんでしたけど、それを使えるようになれば何が変わるんですか?」

「うん? そうか、まだ言ってなかったな。あれを使えば恐らく威力が相当上がる。現にこの木刀で巻き藁を両断することが出来たしな。後なんかよくわからん称号? も手に入ったな。ただそれに関しては少年が使えるようになって自分の目で確かめろ」


 は?

 巻き藁って多分真剣とかの試し切りに使われてる奴の事だよな?

 それをただの木刀で両断出来たって?


 嘘だろ、意味が分からん!

 てかそんなヤバいのをホイホイ目の前で使うなよ!

 しかも称号だ?


 流石に称号名や内容に関しては伏せてるし、聞くのも野暮だが目標とするには十分だろう。

 何せ攻撃の威力が上がるだけじゃなく、称号まで手にはいるって話なんだからな。


 ただこれで最初の一人しか手に入らないパターンの称号だった場合は相当ショックを受ける事になるだろうが、この称号に関しては最初の一人になるのは不可能だったし仕方ないだろう。


「ほれ、これでも飲んでゆっくり休め」

「ありがとうございます。お言葉に甘えて」


 水野さんはそう言いながら入り口の方から持ってきた盆の上から、湯呑み茶碗に入ったお茶を一つ手渡してくれる。

 俺はそれに軽く頭を下げ感謝しながら受け取る。


 かなり動いて丁度喉が渇いてたところではあったんだよな。

 そう思いながら一気にお茶を飲む。

 お茶独特の渋みを感じながら、ひんやりと冷えたお茶がのどを流れる感覚に思わずホッとする。


「おかわりもあるから遠慮するな」

「では、もう一杯」


 俺は少しためらいながらものどの渇きには勝てず、そう申し出る。

 俺の言葉に水野さんは笑いながら俺の前に座り、ガラス製のポットに入ったお茶を俺の湯呑み茶碗にそそぐ。


「そう言えば、少年から見て娘はどうだ」


 と唐突に言われた言葉に、俺は飲んでいたお茶を思わず吹き出しそうになる。

 ただそれをすんでの所でこらえたため、逆に変なところに入ってしまい咳き込む。


「お、おい! 大丈夫か?」

「オホオホ……ハイ、だいじょうぶ、です」


 俺は咳ばらいをしながらも必死にそう答える。

 人がお茶を飲んでる時になんてことを聞いてくるんだ。

 まぁお茶自体も水野さんからのだけどさ……


「そうか? ……なら話は戻るが、どうだ?」

「……どうだ? というのはどういう意味で?」

「うん? そんなのダンジョン攻略者としてって話以外に何がある?」


 水野さんは俺の質問に、さも当たり前だろと言いたげな表情でそう言ってきた。

 ハァ……本当にそっくりだよ、この親子は。

 俺は内心でため息をつきながらそう思いつつも、どこか安心したような表情を浮かべる。


「そうですね……正直に言った方がいいですか? それとも気を遣った方が?」

「正直に言ってくれて構わん」

「でしたら今のままだとかなり辛いんじゃないでしょうか?」

「その根拠は?」

「娘さんが使われていた武器は日本刀ですよね?」

「あぁ」

「詳しいわけではないので間違っていたら言ってほしいのですが、日本刀というのはそもそも斬る事に特化した武器であるが故に刃こぼれは命取りになるでしょう。なので基本的に日本刀を持って戦うのならば刃で攻撃を受けるのは極力避け、攻撃自体はほとんど自力で避けなければいけないでしょう。ただそれには相当な技量か、あるいは圧倒的に速度で勝っていなければ難しいはずです。ただ現状の娘さんではそのどちらも不足しているように見えてしまいました」


 俺の言葉を水野さんは真剣な表情で聞き、頭をかく。

 正直、動きが滅茶苦茶悪かったわけではない。

 メンタル的にも魔物と戦う精神力と覚悟は申し分ないだろう。


 ただ武器の選択が悪いという話だ。

 日本刀は使い手によってかなり差の出る武器だろう。

 いかに刃こぼれさせずに切れ味を継続できるか。


 それに攻撃を受けるにしても受け方を間違えば簡単に折れてしまう。

 勿論水野はそれを理解して行動しようとしている雰囲気を感じはしたが、実践するにはまだ技量が足りないという感じだった。


 それにダンジョンでは不測の事が起きる可能性がある。

 その点を考えると、日本刀自体がダンジョン攻略には不向きだと言えなくもない。


「やはりそうか」

「格上が相手だと日本刀では一瞬で刃こぼれし、最悪折れてしまうかと」

「どうしたもんか……」


 俺の言葉に、水野さんは大きく息を吐きながら上半身を少し後ろに反らす。

 色々悩んでいるって感じだな。

 何か水野には日本刀を使い続ける理由があるのか?


 それともどう話をするか悩んでるって感じなのかな?

 まぁどちらにしても娘の命には変えられないだろうから、変えるようには言うだろうな。


 と、俺がそんな事を思っていると不意に遠くから何かが崩れるような音が聞こえてきた。


「うん?」

「何でしょうね? 今の音」


 俺と水野さんがその音に疑問を浮かべていると、突然スマホから凄まじい音が鳴り始めた。

 俺が慌ててポケットからスマホを取り出すと、画面には赤く点滅しながらこう表示されていた。



 ダンジョンブレイク発生!!


 近隣にお住まいの方はすぐに避難してください!!


☆ 

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― 新着の感想 ―
こんばんは。 まぁ日本刀というか脇差しに柳生連也斎が用いたとされる『鬼包丁』という頑丈な造りのものも有りますが、それでも限度はあるでしょうしね。 刀に拘らず、海外のカットラスやフォールションみたく片…
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