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現実世界にステータスが現れたので、何が何でも最強を目指します  作者: 黄昏時


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第26話 感謝

「遅くなりましたが、ありがとうございます」


 俺の少し後ろを歩いている水野さんが唐突にそう言ってきた。

 俺達はあれから何はともあれこのダンジョンから脱出するためにも攻略を進めるという事で話が落ち着き、だだっ広い草原をあてもなく進んでいる。


「気にしなくて大丈夫ですよ。今後俺が助けられる場面もあるかもしれませんから」

「そんな事はなさそうですが、その時は全力で助けます。……後、この水もありがとうございます」

「本当に気にしなくて大丈夫です。その水自体も貰い物みたいなものですから」


 水野さんはそう言いながらペットボトルに入った水を軽く揺らす。

 あの後俺はとりあえず全員に水の入ったペットボトルを一本ずつ支給した。

 戦闘自体はかなりの運動量になるから水分補給を怠れば脱水で倒れる危険性もあるからな。


 そして今になって水野さんが感謝の言葉を述べてきたのは配信のコメントが落ち着いてきたからだろう。

 あれから俺自身も色々と配信画面を触って気付いたのだが、この配信画面は三人称視点と一人称視点を変更できるのだ。


 全くもってどういう理屈なのかはわからないが、変更すれば俺の見ているまんまの景色を見ることが出来た。

 そして更にはそれぞれの視点の配信を選択して選ぶ事も可能。


 よって視聴者の総数は多いがかなり分散されている感じだ。

 因みに現状で一番人が多そうなのが赤崎さんだ。

 彼は配信のコメントに対してかなり返答しており、視聴者受けがよさそうだ。


 それに比べて俺はほとんどコメントに返答していない。

 何せ俺のコメント欄は「あの燃える剣を手に入れたところを教えてください!」や「恐らくアイテムボックスと思われるあの能力の詳細を教えてくれ!」等のコメントが多いためだ。


 出来る事なら逆にこのコメントから情報を得ようと考えたのだが、現状では難しそうなのでほとんど触れていない。


「そうは言ってもここでは貴重品ですから……」

「いや、ほんと気にしなくて大丈夫ですって。それに水程度でそんなこと言ってたら、食事とかってなったらどうするんですか?」

「…………」


 俺の言葉に水野さんはハッとした様子で黙り込んでしまった。

 もっととっつきにくい人かと思ってたんだが、案外そんな事はなさそうだ。

 俺はそんな彼女の反応に笑みをこぼしながらそんな事を考える。


「冗談ですって。本当に気にしなくて大丈夫ですから。詳細は言えませんが、食料や水は元々ダンジョンを攻略する為に準備していたものであって、水野さん達の事も考慮してたので問題ないんです」

「……そこまでおっしゃっていただけるなら今はそうします。ただダンジョンを出る事が出来たら絶対に何らかの形で返させていただきます」

「律儀ですね。基本貰えるものは貰う主義なのでそれは遠慮なく受け取らせてもらいます」


 俺は軽く諦めながらそう返答する。

 これは押し問答でありどちらかが折れなければ終わらない話の気がしたからだ。


「そうしてくださると助かります。後気になってたのですが、何故敬語何ですか?」

「それはお互いさまというか……」

「私は年下なのでわかると思うんです。でも久遠さんって私の一歳年上なのに何故かと思いまして」

「……癖みたいなものだと思います」


 俺は水野さんの言葉に少し考えてからそう返す。

 考えてみて思ったが、これといった理由は特にない。

 ただそれほど仲が良くない人とは敬語で話す方が楽であり、そんな感じで話していたという理由だ。


 強いて言えば距離感を間違えて面倒な事になるぐらいなら、全員に対して敬語で話した方が楽だからだろう。


「では私にはため口で話してくださって大丈夫です。後名前も呼び捨てで問題ありません」

「急にそう言われても……」

「ですが久遠さんもその方が楽なんじゃないですか? 戦闘中咄嗟に声をかけた時、赤崎さんの事呼び捨てになってましたよね?」

「くっ」


 確かにあの時は余りに咄嗟過ぎて出来るだけ簡潔に速く伝えようとしてそうなっていた。

 それに今後の事を考えるなら水野さんの言ってることはかなり正しい。

 今後同じような場面があった場合、変に迷いたくないしな。

 

「わかり……いや、わかった水野」

「今はそれでいいです。久遠さん」

「……印象が大分違う気がするが気のせいか?」

「お互いそれなりに警戒してたからじゃないでしょうか? 私は久遠さんの事もっと危ない人だと思ってましたから」

「危ない? 俺が?」

「はい。普通に考えてそうだと思いますよ? だって私から見たら試験とは言え、出会って早々自衛隊の人と思われる大人をボコボコにして、挙句私達に後ろから攻撃しろと命令してきた人ですよ? 何をするかわからないし、関わったらまずそうな気がしませんか?」

「そう聞くと危なそうな人間ではある……」


 俺は水野の言葉を聞いて頭を抱える。

 確かに言われてみれば説明もしてないからそう見えてもおかしくない。

 逆にあれだけ暴れたのに積極的に話してくる赤崎さんが異常だったのだ。

 俺でも恐らく極力かかわらないようにして水野みたいな対応になっただろう。


「じゃぁどうして急にそんな危なそうな奴の警戒を緩めたんだ?」

「やっぱり仲間を助けるために行動してくれたのを見たからですかね。私の中ではどんな行動を起こすかわからないから警戒してたんですけど、仲間が危機的状況に陥れば助けるために動ける人ではあるんだなぁと思ってちょっと警戒を緩めました。何せこの中なら冗談じゃなく簡単に死ぬ可能性があるので、強い人につくのは理にかなってると思いませんか?」


 水野は冗談めかしてそう言ってきた。

 最後の言葉は冗談ぽかったが、それ以外は割と本当なんだろうな。

 

「あ! 一応言っておくと好意を抱いたとかそういうのではないので勘違いしないでくださいね?」

「……わかってるよ」

「仲間として行動する分には問題ないと判断しただけですから」

「わかったって!」


 何もそこまで否定することは無いだろ!

 俺が少し大きな声を出したことで水野の後ろにいる赤崎さんがこちらを気にするように見てきたが、俺はそれを無視した。


 変に聞かれていじられるのはごめんだ!

 と思っていたのだが、配信のコメント欄は「勘違いした? バァカそんなわけねぇだろ!」「これが青春か……」「こいつらダンジョンの中なのに余裕だな」と言ったコメントが見受けられた。


 ダメだ。

 このままコメント欄を見てたら気が散って仕方ない。

 俺はそう思い、配信画面を閉じる。

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