22章 約束のゴール
年末グランプリを駆け抜けた諸星とドーブルハント。ゴールの瞬間、胸に込み上げる喜びと同時に、深い虚しさが諸星を包んだ。勝利の歓声はある。しかし、隣には田中の笑顔はない。手を握ることも、声を聞くこともできなかった。
諸星はドーブルの首に顔を埋め、肩を震わせる。ドーブルは鼻先を寄せ、互いの呼吸を感じながら静かに寄り添う。二人の絆が、胸の痛みを少しずつ和らげる。
諸星の頭に、入院中の田中の姿が浮かぶ。弱々しい体で、しかし諦めない瞳で諸星を見つめ、手を握ったあの瞬間――。
「諸星……焦るな。お前とドーブルの絆は確実に育っている」
死に目に会えなかった悔しさが胸を締め付ける。諸星は声を詰まらせ、ドーブルにすがる。 「田中さん……俺たち、ここまで来たよ」
声
厩舎に戻ると、田中の手紙が再び目に入る。文字を追うたび、涙が止まらない。
「諦めるな、信じろ……お前とドーブルはできる」
諸星は涙を拭い、深く息を吸い込む。心の奥で田中の声が蘇る。 「お前たちは絶対にできる……信じろ」
勝利の喜びと悲しみが胸に重なり、熱いものがこみ上げる。
夜、静まり返った厩舎で、諸星はドーブルの首に顔をうずめ、星空を見上げる。光の中に田中の笑顔が浮かぶ。悲しみと喜びが交錯する中、諸星は誓った。
「田中さん……僕たちはこれからも、二人で頑張る。君の想いを背負って……絶対に諦めない」
ドーブルが静かに鼻先を擦り寄せ、三人で未来に向かうことを約束するかのように寄り添う。
あれから数年が経った。諸星はドーブルハントと海外の大きな舞台に立っていた。勝利の瞬間の感覚、田中の温かい声と笑顔、そしてあの手紙の文字――すべてが今も胸の奥で生きている。
スタンドの歓声に目をやると、田中の面影を思い出す。あの人がいなくなった悲しみは消えない。しかし、諸星は知っていた――田中の想いが、ドーブルとの絆と共に、いつも自分を前に進ませてくれることを
初めての作品でした。
書くたびに田中、諸星、ドーブルへの気持ちが収まらなくなりましたがなんとか最後までかけてよかったです!
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