表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奪われたものは要りません  作者: みん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/91

89 2人の始まり

**ロクサーヌ視点**



叔父様と一緒に、アラールからの報告を聞いた後、アラールの話を聞いて、そろそろ昼食を──と言ったところで、タイミング良くやって来た。


「ロクサーヌ様、今日は誘っていただいて、ありがとうございます」

「良いタイミングで来たわね」

「セレーナ!?」


セレーナの登場に驚きつつも、真っ先に駆け寄ったのは、勿論叔父様だ。私達が居る事を忘れているのか、態となのか、叔父様はセレーナに駆け寄ると、そのままの勢いでセレーナを抱きしめた。


「!!??」


そんな2人を見て、顔を赤くして狼狽えているのはアラール。叔父様の予想外の行動に狼狽えつつ、セレーナの可愛らしさに顔を赤くしていると言ったところかしら?アラールが美人に弱いのは、相変わらずのようだ。


ーその辺りを何とかしないとねー


第一王子が、二度もハニートラップに引っ掛かる訳にはいかない。


「ロクサーヌ様が、ジェラール様と一緒に昼食を食べるからと、私も誘って下さったんです。元気そうで良かったです」

「ずっと会いたかったから、来てくれて嬉しいよ。ロクサーヌもありがとう」

「どういたしまして」


叔父様のこんな優しい笑顔は見た事が無い。セレーナも、私に向ける笑顔とは違う笑顔だ。2人が本当に惹かれ合っているのがよく分かる。


「第一王子様も、お久し振りです。お元気そうで安心しました」


アラール(お馬鹿)のせいで、自分が危機に陥ったと言うのに、そのアラールを心配するセレーナは優し過ぎる。だから、腹黒な叔父様が丁度良いのかもしれない。


「あ…の……本当に、私のせいで迷惑を掛けてしまって……申し訳無かった!」

「その謝罪は受け入れます。なので、今日はご一緒してよろしいでしょうか?」

「もっ…、勿論だ!!」

「ありがとうございます」

「………」


そんな2人の微笑ましい?様子を見守る私と叔父様。ただ、アラールの態度により一層深い笑みを浮かべている叔父様に、アラール本人は気付いていない。


ー詰んだんじゃない?ー


セレーナ本人は全く気付いていない、アラールからの好意。それに気付いている叔父様。

ハニートラップの問題も、直ぐに解決できるかもしれない。





4人で昼食を食べた後、セレーナが作って持って来てくれたプリンを食べた。


「セレーナは本当に良いお嫁さんよね」

「本当にな」

「叔父上が羨ましいです」

「平民は、自分で料理ができないと生きていけませんからね」


褒められ過ぎて1人焦るセレーナを、優しい目で見続けている叔父様は、普通の男性と何の変わりもない。そんな叔父様を見るのも新鮮だ。






**セレーナ視点**



結局、ジェラール様が王城に滞在していた1ヶ月の間に、差し入れを持って行けたのは、ロクサーヌ様に誘われた日だけだった。

ジェラール様と同様に、私は私で薬師の仕事が忙しかったからだ。お陰で、寂しさを感じる暇もなかったのは、幸いだったのかもしれない。



そして、今日。いよいよ1ヶ月ぶりにジェラール様が帰って来る事になった。もう既に“大公様”ではなく、平民になっているそうだ。


ー大金持ちの平民だけどー


騎士として働いた分や、魔導師となってから働いた分のお金はジェラール様本人の物として、そのまま貰い受けられたから、贅沢をしなければ、働かなくても生活ができる位のお金持ち。男爵となった私よりお金持ちじゃないかな?


「ただいま」

「わぁ──っ!ジェラール様!?」


色んな事を考えていると、いつの間にかジェラール様が帰って来ていて、今はバックハグ状態になっている。


「お…おかえりなさい!」

「あぁ…本当に久し振りのセレーナだ……落ち着く………」

「ふふっ……それなら良かったです」


『落ち着く』と言われると嬉しい。


「えっと……ご飯はどうしますか?要るかどうか分からなかったから、準備はしてないけど、簡単な物ならできるようにしてます」

「その簡単な物をお願いできるかな?でも、その前に──」


と、ジェラール様と二度目のキスをした。





******



婚約してから寒期を超えて、暖かい季節を迎えると直ぐ、私達は結婚した。『男爵と平民の結婚だから』と言う事で、畏まった式は挙げす、婚姻はルチア様とエリック様に見守ってもらいながら、神殿に婚姻届を提出するだけにした。それでも─とルチア様に言われて、後日デミトリア邸でお祝いをしてもらう事になった。




「それじゃあ、1週間後にお祝いをするから」

「はい。ありがとうございます。宜しくお願いします」

「今日は、ありがとうございました」


ルチア様達と別れて家に帰って来た。今からは、“夫婦”としての生活が始まる。


「改めて……ジェラールさん、今日からは夫婦として、宜しくお願いします」

「こちらこそ、宜しくお願いします──と言う事で、部屋に行こうか」

「ひゃあ──っ」


突然ジェラールさんに抱き上げられたかと思うと、そのまま2階の部屋へと運ばれた。


その部屋は、数日前に改装したばかりの部屋で、2つの部屋の壁にドアを付けて行き来できるようにして、片部屋に少し大き目のベッドを置いている。そのベッドで、今日からジェラールさんと一緒に寝る事になる。


「今日は寝かせないけどね」

「ふえっ!?」

「顔真っ赤……ホントに可愛い………」




そこからの事は、正直、あまり記憶がない。


優しかった………と思う。

ただ、朝起き──れないと言うのは普通なの?

新婚初日にも関わらず、私は何もできない状態で、ジェラールさんが嬉しそうに私を介抱してくれている。


「ホントにごめんなさい…」

「いや、寧ろ謝るのは俺の方だから」

「?」


と言いながらニコニコ笑っているジェラールさん。何故ジェラールさんが謝らなければならないのかは分からないけど、怒ってないようで安心する。


「よく分からないけど、それなら、今日は1日ジェラールさんに甘えさせてもらいます」

「喜んで甘やかせていただきます」



こうして、私達の夫婦としての生活は穏やかに始まった。







“穏やか”ではなかった事には、後から知る事になったのは、言うまでもない。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ