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奪われたものは要りません  作者: みん


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82/91

82 最後に

「連れて行け」

「承知しました」


ジェラール様の言葉に反応したのは、私を部屋迄連れて来たメイドだった。そのメイドが、公爵様の首に魔道具を着けると、その場で魔法陣を発動させて何処かへと転移して行った。

それは一瞬のうちの出来事で、公爵様が声を発する間もなかった。


「あのメイドは……」

「あのメイドは、兄上がパルティアーズに潜り込ませていた者だ」

「なるほど………」


ーやっぱり、公爵様の動きは全て筒抜けだったんだー


「セレーナ、手を」

「手?」


ジェラール様が、私の左手を持ち上げると、手首に着けていた魔道具がカシャンと音を立てて外れて、そのまま床に落ちた。


「ありがとうございます」


顔を上げてお礼を言うと、今度は右頬に手を添えられた。


「頬に傷があるな……」

「そうなんですか?痛みもないから大丈夫ですよ?」

「それでも……だ。公爵が動くと分かっていたのに……すまない」


ーやっぱり、公爵様は、この人達の手の平の上で踊らされていたんだー


「正直、私も何となく気付いてましたし、怪我をしたのもジェラール様のせいではないので、気にしないで下さい」

「気にしないなんて事ができる訳ないだろう。やっぱり、極刑が妥当か?」

「ジェラール様、落ち着いて下さい」


「あの……話をさせていただいても……よろしいでしょうか?」

「ああ、まだ居たんだな。話とは?」

「っ!!」


公女様が部屋に居た事を、スッカリ忘れていた。


「あの…今回の事は、本当に申し訳ありませんでした。父を止める事ができず、またセレーナさんにご迷惑を掛けてしまって……」

「公女が、公爵を止めようとしていたと、報告は受けていた。だから、直ぐにでも公爵が動くだろうとも予測していた。ただ、これから少し、パルティアーズは騒がしくなると思う」

「それは、承知しています。ただ、これ迄の一連の事に、兄は何一つ関わってはいません。それだけは、ご考慮くださいますようお願い申し上げます」

「それも、承知している」


その言葉を聞いて、公女様はホッと溜め息を吐いた後、今度は私に向き合った。


「セレーナさん、今迄……本当にごめんなさい。赦してもらえるとは思っていないけど……もう二度と迷惑を掛けないようにするわ。だから……これからは……いえ、最後に会えて良かったわ。お元気で……」

「公女様もお元気で。ありがとうございました」


お礼を言うと、公女様は少し嬉しそうに微笑んだ後、部屋から出て行った。

謝ってくれても赦す事はない。先に私を捨てたのは“お母さん”だし、赦せる時は過ぎてしまったから。ただ、最後に分かってもらえて良かった。


「ところで、クロード様と街で会ったのは、偶然だったんでしょうか?」

「ハイセンの子息に会って、何か言われたのか?」

「『気を付けろ』と言われました。なので、気を付けて攫われました」

「ゔっ………」


きっと、これから先、私が安心して過ごしていけるように、きっちり方を付けてくれたんだろう。正直、側に影さんが居ると分かっていたし、ジェラール様が動いていると分かっていたから、不安になる事は無かった。


「ジェラール様の隣は、私にとって安心しかないので大丈夫です」

「………それはそれでどうなんだ?」


『良かった』と言って笑ってくれるかと思ったけど、そうではないようで、何とも複雑そうな顔をしている。


「あ、今日の夕食はどうしますか?流石に今から作るのはちょっと……」

「夕食……うん。セレーナが本当に大丈夫そうで良かったよ……くくっ……」


と、ここでようやく笑ったジェラール様。()()()()私としては、少し恥ずかしいけど、ようやくいつものジェラール様に戻ったようで良かった。


「何処かで何かを食べて、直ぐにピサンテに戻ろうか。明日の朝一には、兄上に報告に行かなければならないだろうから」

「はい」


それから、王都の街で夕食を食べてから、魔法陣でピサンテの家に帰った。







*アリシア視点*



『公女様もお元気で。ありがとうございました』


最後に正しい選択ができて良かった。

最後にセレーナの笑顔が見れて良かった。


お父様からの手紙で目が覚めた。

これ以上、セレーナをパルティアーズに巻き込んではいけない──と。セレーナは、公爵令嬢として受け入れて欲しい訳じゃない。私の娘だと認めて受け入れて欲しかっただけ。それを、払い除けたのは私で、もう私に“母”を求めてもいない。


どうしたら赦してくれるのか?


赦される時は、もう過ぎてしまった。それならば、私に出来る事は1つしかない。


セレーナと完全に縁を切る事。




まさか、セレーナが魔力持ちだとは思わなかったし、気付きもしなかった。私は、本当に何も分かっていなかった。知ろうともしなかった。


「もう少し早くに気付いていたら、何かが変わっていたのかしら?」


それももう今更な事。

もう、これ以上セレーナに嫌われる事はしたくない。


「私の娘は………ナディーヌだけ」



「さようなら、セレーナ…」





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