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奪われたものは要りません  作者: みん


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79 お出掛け

「こことデミトリア邸の距離なら、なんとかいけそうだな」

「ゆっくりで、何もなかったらですけど」


乗馬を教えてくれる約束をしてから2ヶ月。ゆっくりであれば、1人で乗れるようになったけど、何かアクシデントでもあろうものなら、1人で対処する事はできない。


「騎士の人達って凄いんですね。簡単に乗ってるし、いざとなったら馬を操りながら攻撃したりするんですよね?」

「まぁ、騎士はそれが仕事だからね。私からすれば、薬師が薬草を調合して薬を作る事が凄いと思うのと同じだ」


ジェラール様は褒め上手だ。


「あ、ジェラール様、明日の昼食は要りますか?明日は登城すると言ってましたよね?」

「登城するから昼食は要らないけど、ロクサーヌが『セレーナのドーナツが食べたい』と言っていたな……」

「ふふっ……分かりました。ドーナツを作っておくので、持って行ってもらえますか?」

「ありがとう」


平民如きが作るドーナツを、王弟にお遣いさせて王太女に食べてもらう──そのうち不敬罪で処罰されないかな?と思ったりもするけど、そんな事をする2人じゃないと言う事を知っているから、お願いされても断れずにいる。


「セレーナは、明日は街に行くんだろう?」

「はい。美味しいパン屋さんがあるそうで、買いに行こうと思って。ジェラール様の好きそうなのがあったら、買って来ますね」

「それは……楽しみだな」


と、微笑むジェラール様──だけど、何となくいつもの笑顔より冷たい感じがするのは気のせいだろうか?冷たいと言っても、私に対してと言う感じではない。こう言う場合は、私が訊いても答えてもらえないから、敢えて気付かないフリをする。


「乗馬の練習はここ迄にして、そろそろ家に戻ろうか」

「はい。今日もありがとうございました」





******



「セレーナ?」

「あ、クロード様。こんにちは」


人気のパン屋さんでパンを買った後、広場にあるベンチに座って、買ったばかりのホットサンドを食べていると、クロード様に声を掛けられた。


「ひょっとして、あのパン屋に行って来たの?」

「はい。マリッサ様のお勧めで、食べてみたくて買いに来たんです」


予定では、私の分とジェラール様の好きそうなパンだけを買って帰るつもりだったけど、ホットサンドが美味しそうで、見ていたらお腹が空いて来たから、買って直ぐに食べる事にした。


「そのホットサンド、美味しいよね。俺も時々食べるんだ。そのチキンサンドも美味しいけど、フィッシュサンドも美味しいから、今度食べてみて」

「そうなんですね。また今度食べてみます」



ー楽しみが増えたなぁー


「ところで、今日はグリンデルバルド大公様と一緒じゃないの?」

「一緒じゃないです。1人です」


ーどうして、ここでジェラール様が?ー


「そうなんだ。てっきり2人で来たんだと思った」

「???」


どうしてそんな考えになるのか?私は平民で、ジェラール様は王弟で大公様なんだから、2人でお出掛けする事は──なくもない……のかな?


あれ?そもそも、一緒に暮らしていると言う事がおかしいのかな?


「俺はこれから約束があるから、送ってあげられないけど、帰りは気を付けて。セレーナみたいに綺麗な子は声を掛けられたりするから。それじゃあ」


と言って、クロード様は手を振りながら、街の方へと走って行った。


クロード様の心配事は杞憂だろう。誰が私みたいな子に声を掛けると言うのか。マリッサ様みたいに美人なら分かるけど。




「セレーナさん……でしょうか?」

「はい?」


兎に角、ホットサンドを食べ終えたから帰ろう─と、思ってベンチから立ち上がったところで、フードを被った男性に声を掛けられた。


「貴方に会いたいと仰っている方が居るので、一緒に来ていただけませんか?」

「私に?誰が?」

「一緒に来ていただければ分かります」

「はいそうですか──なんて言って、一緒に行く訳がないですよね?」


一体誰が私に会いたいと言うのか?そもそも、私には“知り合い”と呼べるような人なんて──



「パルティアーズ……」


私がそう呟くと、その男性が僅かに反応した。それが、公爵なのか公女なのか、はたまたナディーヌなのか。どうしてまた、私に会いたいと言うのかも分からないけど、私は会いたくもないし、会う義理も無い。


「お断りします」


いざとなったら、攻撃魔法で対応するしかない。今迄の事があるから、攻撃しても問題にはならない……よね?と、ポケットに入れていた魔法陣を描いた紙を取り出そうと、その男性から意識を逸したほんの一瞬だった。


「素直におとなしく来てくれれば、怪我などせずに済んだのに」

「何を──っ!?」


パチンッ


左の手首に何かを着けられた後、その男性が私に向かって何かを呟くと、私の意識がそこで途絶えた。




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