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奪われたものは要りません  作者: みん


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75 誕生日と成人のお祝い

私の19歳の誕生日は、1年遅れの成人のお祝いを兼ねて、デミトリア邸ガーデンパーティーをしてくれる事になった。平民の私が堅苦しくならないように、食事はバイキング形式で、好きな物を好きなだけ食べれるようにしてくれている。席も自由で動き回れるから、色んな人と話ができる。


「セレーナ、おめでとう。本当に、あっと言う間に成長しちゃったわね」

「ルチア様、ありがとうございます」


ルチア様にも感謝しかない。ピサンテの惨事で独りになった私を助けてくれて、ずっと私の言葉を聞いてくれた人。


「これを機に、住まいをピサンテに移すって聞いたけど……大丈夫?」

「大丈夫ですよ?魔法陣で繋げてもらってますし、馬にも乗れるようにしようかなと思ってるので、そのうち馬で通勤するのも良いなと」

「いや……通勤の話じゃなくて……」


と、言い淀むのはエリック様。ただ、エリック様だけじゃなく、他の人からも『ピサンテで住むのか?』『大丈夫か?』と訊かれる。そんなにも、私がピサンテで住む事が心配なのか。もともとピサンテ出身で家事は得意だし、一応魔法も使えるから、いざとなれば攻撃も護りもできる。


「デミトリア付きの薬師なので、それなりに収入もあるので、金銭面でも大丈夫です!」

「いや…だからね?」

「エリック、諦めなさい。セレーナが嫌がってる訳じゃないから」

「そうか………娘の成長は早いもんだな…そうか……」


何故か、シュンと項垂れるエリック様。私の事を娘の様に思ってくれる事は、本当に嬉しい。これからは、薬師として恩返しができれば良いなと思っている。




「セレーナ、おめでとう」

「オリビアさん、ありがとうございます」


オリビアさんとは、これからも薬師として一緒に働く予定だけど、これからは住む所が違う事になるから、少しだけ寂しくもある。


「住む所は違うけど、ほぼ毎日会う事に変わりはないし、これからもよろしくね」

「私の方こそ、宜しくお願いします」




「セレーナ、おめでとう。これで、ブライアンも一安心するんじゃないかしら」

「アデールさん、本当に色々とありがとうございました」


私に掛けられた呪術が解呪されていなかったら、私は今でも本来の姿を取り戻せていなかった。呪術を掛けられた事さえ気付いていなかった。

何より、お父さんを知る事ができたのも、アデールさんのお陰だ。


「セレーナの成人の姿も見れたから、私もそろそろ国に帰ろうかと思っているの」


アデールさん曰く、国を出てあちこちの国を見て回って──もう30年ぐらい経っているそうで、そろそろ国に帰ろうと思っていたところだったそうだ。


「30年………」


それはそれで驚きだけど、エルフにとっては大した年数では無いと言う事だけは分かった。


「セレーナは、いつからピサンテに行くの?」

「明日に引っ越し予定です」

「それなら、私も明日に出立するわ」

「寂しくなりますね……」


そんなにも長く居たわけじゃないけど、一緒に居る事が当たり前のようになっていたから、居なくなるとやっぱり寂しい。


「また、会いに来るわ」

「はい……」


私も、エルフの国に行ければ良いのに。





「セレーナ、おめでとう!」

「ロクサーヌ様!今日は本当に来ていただいて、ありがとうございます」

「来るに決まってるじゃない!」


年齢を取り戻してから同い年になった事で、ロクサーヌ様とは以前よりも少し気安い仲になった─ような気がする。


「それに、明日は引っ越しでしょう?成人のお祝いと、引っ越しのお祝いを持って来たから、また後で確認してくれる?」

「はい。わざわざありがとうございます」



「セレーナ、喉は渇いてないか?」

「ジェラール様、あっありがとうございます」


色んな人達と挨拶を交わしていると、ジェラール様がジュースを持って来てくれた。


ー王弟にジュースを持って来てもらうとか…不敬罪じゃない!?ー


「叔父様、ガードがしっかりしてますね」

「ん?ただ、ジュースを持って来ただけだよ?」

「?」


最近、ロクサーヌ様とジェラール様のやり取りが、何か違う意味が篭っているような気がするのは気のせい……かな?と言っても、2人の仲が良い事には変わりない。


「今日は、ロイドとマリッサの友達の令息や令嬢も何人か来ているようね」

「そうなんです。ロイド様とマリッサ様が、私に友達を作ってくれて……時々、皆でお茶をしたりしてるんです」


私にとって、初めての友達だ。皆、平民の私にも気安く接してくれる良い人達だ。


「そのお茶の時に、ジェラール様が急に参加する事もあって、皆驚いたりしてます」

「そうなのね……ふふっ……令息達は大変ね」


ー何が『大変』なのかなぁ?ー


私には分からないけど、貴族社会に於いての何かがあるのかもしれない。それこそ、一緒に居る時間が長くて忘れがちだけど、ジェラール様は王弟だ。『大変だ!』が当たり前なんだろう。そんな人にこれから私が料理を?


「本当に、私なんかがピサンテに住んで良いんですか?」

「セレーナだから良いのよ。それにあの家は、セレーナの家なんだから。ね?叔父様?」

「その通り。それに、セレーナのご飯が食べれるのは嬉しいからね」


やっぱり、この2人はいつでも私に優しい。





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