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奪われたものは要りません  作者: みん


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61 行かないで

「あら、言ってなかった?あの女─カイリーは、名前だけじゃなくて、“歳”も奪っていたのよ」



ーはい。聞いてませんでしたー


私自身、自分が13歳だと思っていたし、年齢を疑った事もない。一体私は何歳なんだろう?でも、何故歳も奪われたのか?


ナディーヌ(名前)を取り返されたジェイミーは、呪詛返しをくらって苦痛に襲われている上に、容姿にもかなりの変化が起こっているようだけど、今の所私には何の変化も無い。ひょっとしたら、奪われていた歳は1、2歳程度なのかもしれない。公女様は……覚えていないのかな?それとも、これから思い出すのか?最後に一度は話をしないといけないよね?




『ティニー』


どうしてその名前で呼ばれるのか──


『闇魔法は、名前が重要になるのよ』


アデールさんの説明によると、闇魔法には名前で相手に魔法を掛けるモノが多いそうで、特に呪術に関しては名前で縛って掛けると効果的なんだそうだ。今の私の名前は“セレーナ”だけど、カイリーさんとジェイミーと公女様は知らない。特にカイリーさんとジェイミーには知られない方が良いだろう─と言う事で、この場では“ティニー”と呼ぶ事にした。


兎に角、呪詛返しを食らった事で、ジェイミーが偽者だと証明された。そのジェイミーは必死に公女様にしがみついているけど、公女様のジェイミーを見る目が少しずつ冷たくなっている。一緒に居た時間は短かったけど、それなりに仲良く過ごしていたのだから、たとえ偽者だと分かったとしても、直ぐに気持ちが無くなる事はないのでは?と思っていたけど、そうでもないようだ。

公女様はまた、娘を簡単に払い除けるのか、それとも、今度は受け止めるのか──なんて事は、もう私にとってはどうでも良い事だ。

そもそも、私が“ナディーヌ”の名前を返して欲しいと願ったのは、私が“アリシア=パルティアーズの本当の娘だ”と証明する為じゃなく───


「───っ!!??」

「ティニー!?」


ーどう……なってるの!?ー


急激に体が熱を持ち、体のあちこちが痛み出し、立っている事ができなくなってその場に倒れ込んだ。


「わたし……何で?痛い……」


ーまさか……私に呪詛返しじゃないよね?私、何もしてないよね?ー


うまく言葉が声にならないから、私の上半身を支えてくれているアデールさんに『どうして?』と言う目で訴えかける。


「勿論呪詛返しじゃないわよ。多分、奪われていた歳が戻って来た反応だと思うわ」


アデールさん曰く、幼くなっている体にそれ以上の“歳”と“魔力”が一気に戻って来たから、それに順応しようと体が活発に活動を始めたんだろう──と。奪われたものを取り戻しただけなのに。


ー理不尽じゃない?ー


「う───」

「「ティニー!?」」


何だか腹立たしいやら痛いやらで、勝手にポロポロと涙が落ちると、アデールさんとジェラール様が慌てて私の名前を呼んだ。


「このままではティニーが辛いでしょうから、寝かせる場所に案内させるわ!誰か、今すぐ部屋を用意しなさい!」

「承知しました!」


ロクサーヌ様が女官に指示を出すと、数名の人達が走って行く足音が聞こえた。


「ティニー、大丈夫か!?辛いだろうが、少し我慢してくれ」

「………」


と言って、私を抱き上げたのはジェラール様。

()()()とは違って、私を心配してくれる人達や、私を抱き上げてくれる人が居る。それだけで、体中の痛みも少し和らいだような気がする。


「ジェラー…さ……ありがと……ます」


何とか声を振り絞ってお礼を言った……と思った後、痛みのせいなのか、それとも安心したのかは分からないけど、そこで私の意識が途切れた。







******



『必ず助けるから。必ず戻って来るから、それまで我慢して…待っててね』

『うん……わかった………』



『待って!行かないで!』



()()()、本当はそう言いたかった。

薬よりもお母さんに側に居て欲しかった。


『どうして、私を置いて行くの?』


あの時、そう言っていたら、何かが変わっていたのかもしれない。



ー体が熱い……苦しいー


また、同じ事の繰り返しなのか。また独りで耐えないといけないのか。



「おねがい……どこにも……行かないで………」

「大丈夫だ。側に居るから」


と言って、誰かが私の手を握ってくれた。


「ずっと…………」

「ずっと側に居るから、今はゆっくり休むと良い」

「……ありが………と……」




*ジェラール視点*



そう言った後、セレーナはようやく眠りについたようだった。ただ、呼吸は浅いし苦しそうな状態に変わりは無い。


「魔力暴走に近いモノがあるから、このまま王城(ここ)に居るよりも、ピサンテの家の方が良いかもしれないわ。あの家は、セレーナの為にあるようなモノだから」


確かに。あの家はブライアンがセレーナ達の事を思って作られた家で、幼いセレーナが魔力暴走を乗り越えられたのも、あの家に居たからだった。


「それじゃあ、今すぐにあの家に転移しよう」


それから直ぐに、俺はまたセレーナを抱き上げて、アデールと一緒にピサンテの家に転移した。




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