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奪われたものは要りません  作者: みん


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6 ピサンテ村

*ゼロクシア王国・北部辺境地*




「今の社交界は、どこに行っても同じ話題で盛り上がってるわね」

「そりゃそうだろう。何と言っても数年ぶりの親子の再会なんだろう?あの頑固な公爵も涙を流したともなれば、話題にもなるだろう」


我が国の5つある公爵家の1つ、“パルティアーズ公爵家”は、元を辿れば王女が降嫁する為に作られた家門で、歴史もそれなりにある由緒正しい家門だ。今でも王家には忠誠を尽くしていて、政治的にも王家を支えている。そんな公爵家には、嫡男の兄と妹が居た。その妹は、かつては王太子妃の第一候補とされていたが、彼女はある日忽然と姿を消してしまった。理由は公にはならなかったが、公爵が勘当したと言う噂が広まった。その彼女が再び姿を現したのが数年前。その時も社交界では大騒ぎだった。


「まさか、その公女に子供が居たとはね」

「大騒ぎにならない筈がないな」


辺境地であるこの北部迄すぐに噂は広まったのだから、王都での騒ぎ具合は容易に想像ができる。


「ま、ウチには関係無い話だけどね」

「本当に、ルチアはそう言う話には興味無いよな」

「上辺だけの付き合いなんて必要無いわ。そんなモノで領民達を護れる訳じゃないしね」


ルチア=デミトリア


ゼロクシア王国の北部の辺境地を護る、デミトリア辺境伯。先代の辺境伯は、魔獣討伐の際に大怪我を負い、命は取り留めたものの足が不自由となり、その爵位を嫡子であるルチアに譲り引退したのが10年前。とは言え、先代は今でも元気だ。


「俺の奥さんは、本当に領民思いで素晴らしいね」

「ふふっ…こんな男勝りな私を理解してくれる旦那様も素晴らしいわよ」


女性でありながら、武の腕前は王国1、2を争う程の実力者だ。おまけに、珍しい氷属性の魔力持ち。剣を振るう姿は誰よりも綺麗だ。


「それよりも、もうそろそろ冬の支度を始めないといけないわね」

「そうだな。明日にでも、非常時用の倉庫の確認を──」

「ルチア様、大変です!!」

「ゴダール、そんなに慌ててどうしたの?」

「詳しい事はまだ分かりませんが、西側──ピサンテ村の方角に火の手が上がっていると言う報告がありました」


“ピサンテ村”


その村は少し人里離れた場所にあり閉鎖的な村で、日常は殆んど外との交流がない。かと言って無法地帯と言う訳でもなく、ただただ他所者を受け入れ難い集落と言ったところで、特に問題がある訳でもなく、静かな村だ。そう言う特殊な村だから、何かあっても助けを求めて来る事は無いかもしれないが、そんな報告が上がって放って置く事もできない。


「距離があるとは言え、我が領に迄被害が及ばないとは限らない。10人程の偵察隊と、念の為にオリビア達を同行させよう」

「承知しました」

「エリックは、このままここで待機しておいて。私が直接行って来るわ」

「それが良いね。気を付けて」


そう言ってから、ルチアはゴダールの後を追うように部屋から出て行った。




******



「これは……」


ピサンテに辿り着く前に、火の手に関しては魔法で鎮火させた。ただの大火事か?と思っていたけど、その予想よりも遥かに酷いものだった。


「魔獣による襲撃もあったようですね」

「ああ………」


ーこんな所に魔獣が?ー


今迄、ピサンテに魔獣が現れた事はないし、穢れが溜まっているなんて報告も上がった事は無い。閉鎖的な村だったとしても、穢れを確認して放っておく事はないだろう。


「まだ魔獣が居るかもしれないから、注意しながら進むように。それと、追加で10人寄越すように伝令を飛ばして」

「承知しました」


被害状況と生存者の有無の確認の為に、私達はピサンテ村に初めて足を踏み入れた。




幸い、魔獣に出くわす事はなかったが、村人と出くわす事もなかった。魔獣にヤラれたか、火事に巻き込まれたか─のどちらかだった。


「ここ迄酷いのは、今迄見た事がない」

「火を吐く魔獣が居たのかもしれませんね」


その可能性は十分にあるだろう。夜中に襲撃があったとしたら、助けを求める暇もなく、火に包まれて逃げる事もできなかっただろう。ピサンテには、警備隊すら居なかったから、魔獣の襲撃を防ぐ事もできなかった筈だ。


「全滅……か………」


少数の集落だったとは言え、生存者は1人として居なかった。村1つが消えてしまったのだ。どれだけの人が居て死んでしまったのか。村長の屋敷だと思われる屋敷も燃えて崩れてしまっているから、正確な村民の数や人名等を把握する事も確認する事もできないだろう。


「兎に角、何日掛かっても遺体を収容して弔ってあげないと……」


ー私達ができるのは、それだけだー


ここ迄被害が大きいと、人害によるものではないだろうけど、念の為に人害の可能性も含めて調査をしよう。


「ルチア様!」

「ん?どうした?何かあったのか!?」


慌ててやって来たのは、オリビアと行動していた者だった。


「生存者が居ました!」



オリビア達が見付けたのは、ピサンテ村唯一の生存者だった。





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