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奪われたものは要りません  作者: みん


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59 解呪

*アリシア視点*




「カイリー夫人が、ピサンテを壊滅させた張本人として捕らえられたそうです」

「カイリーが!?」

「っ!?」


そんな報せを受けたのは3日前だった。

その事がショックだったのか、その日からナディーヌは自室に引き篭もっている。

お父様も対応に追われて、登城してから家には一度も帰って来ていない。


ーどうしてカイリーがあんな事を?ー





それから更に3日後。

国王陛下から、私とナディーヌの登城要請の手紙が届いた。その頃にはナディーヌも落ち着いて、食事も取れるようになっていたから、要請通りの日程で2人で登城する事ができた。おそらく、カイリーに関しての事だろう。ナディーヌも分かっているようで、いつもよりも顔色が悪い。


「ナディーヌ、大丈夫よ。貴方の事は私が必ず守るわ。きっと、お祖父様も守ってくれるわ」

「はい………」


カイリーが何故大罪を犯したのかは分からないけど、ナディーヌは『私は何も知らなかった』と言っているから、ナディーヌがどうこうされる事はないだろう。移動中の馬車の中、震えているナディーヌを抱きしめながら、これからの事を考えた。





*王城・謁見室*



登城して案内された謁見室には、国王陛下とロクサーヌ王太女殿下とグリンデルバルド大公が居た。更には、何故かデミトリアで会った女の子が居た。どうしてあの子が?とは思ったけど、質問できる筈もなく、気にはなりつつも国王陛下に挨拶をした後、カイリーについての話をされる事になった。



そして、聞かされた話は衝撃的な内容だった。


「私から……全てを奪う為にピサンテを?」

「そのようだ。カイリーは闇魔法の使い手だった。心当たりはあるか?」

「いえ……カイリーが魔法を使ったところを一度も見た事はありません。魔力持ちだとさえ知りませんでした」

「私も……カイリーさんが魔力持ちだとは……知りませんでした」


ずっと一緒に居たナディーヌでさえ知らなかったのなら、カイリーは意図的に隠していたんだろう。カイリーが、ブライアンに想いを寄せていた事も知らなかった。


「カイリーが、幼いナディーヌに冷たかったのは、そんな理由があったんですね。でも、私が居なくなってからは育ててくれた。それだけは感謝をしなければなりません」

「それも……どうかしら?」

「え?」


私の言葉に異を唱えるのは、デミトリア邸で会った女の子の横に居る女性だった。


「『全てを奪う』と言っておきながら、その元凶となったナディーヌを助けて育てる理由は何?自分の子が死んだから、その代わりに同じ色だからと言う理由だけで、元凶を愛せると思う?」

「お母様…私は………」

「大丈夫よ……」


ーナディーヌは私が護るわー


「たとえ元凶だったとしても、1人の母親として愛せたんじゃないかしら?貴方はまだ若いから、親の気持ちは分からないと思うけど」

「若いねぇ……」


ふっ──と呆れたように笑う女性。国王陛下達も少し笑っているのは気のせい?


「まぁ、確かに私には子供が居ないから親の気持ちはよく分からないけど、見た目程若くはないし、嫌と言う程人間(ひと)の裏側も見てきたわ。だから、カイリーのような人間が、元凶を愛せるなんて事は絶対に無いと言い切れるわ」


その女性は話しながら、あの女の子の顔に手を翳した。


他人(ひと)を呪って、その呪術が解かれると、呪いを掛けた本人に倍以上になって返るの。でも1つ例外があって、“名前を奪う呪術”は、呪術を掛ける者と貰う者が居るでしょう?だから、呪術が解かれると、その2人に倍以上になって返ってくるのよ」

「『名前を奪う』?『呪術』?貴方は一体何を言っているの?」


私に話し掛けている筈なのに、彼女の視線はナディーヌに向いている。


「名前を返してもらうわ───」


そう言って何かを呟くと、女の子の目の辺りから黒い煙の様な物が2本立ち上がったかと思えば、そのうちの1本がサッと私達の方へと流れて来た。


「な…に……!?」

「ひいっ!」


ナディーヌが悲鳴をあげて私に抱き付き、私はそんなナディーヌを黒い煙から護るように抱きしめた。


「いやぁーっ!!!」

「ナディーヌ!?」


でも、その黒い煙は私に触れる事無くナディーヌの体に吸収されていった。


『名を奪う呪術』

『倍以上になって返って来る』


「まさか……ナディーヌに……呪術が?」

「あああ……痛い………からだじゅ…が……痛い…おかあ…さ………」

「ナディー……」


私の腕の中で震えながら泣いているナディーヌの顔を見ると、そこには今迄とは違う顔をしたナディーヌが居た。


「おかあ…さ………からだが……痛いし……目が……」

「どう………して」


確かに、このナディーヌはピンク色の髪と瞳をしている。だけど──


「あら、言ってなかった?あの女─カイリーは、名前だけじゃなくて、“歳”も奪っていたのよ」


「「「「「え!?」」」」」


それには、私だけじゃなく、この場に居た全員が驚きの声を出した。

そう。私の腕の中に居るナディーヌが、私よりも老けた顔になっていたのだ。




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― 新着の感想 ―
スッキリしました。
カイリー……。 悔しいけど、すご腕だったんだね。 アリシアと偽ナディーヌ、どうなるのか……。 たのしみにお待ちしています。
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