表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奪われたものは要りません  作者: みん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/91

57 対峙

突然ジェラール様がやって来て、一緒にお茶をしてご飯を食べた日から2日。今日は色んな魔法陣を描いている。お父さんは防御の魔法陣が得意だったようで、薬草のノートにも、何個かの防御の魔法陣が殴り書きされていた。文字通りの殴り書きでちゃんとした魔法陣ではないから、解読するのは難しい。でも、ひょっとしたら、お父さんが考えた魔法陣を纒めたノートが何処かにあるのかもしれない。落ち着いたら探してみようと思っている。


ー今日は、攻撃の魔法陣も描いてみようかな?ー


普段は、エルトン様が居ない時は攻撃の魔法陣を描く事はない。発動させてミスをして爆発させたりすると危険だから。それでも、今日は何となく描きたい気分になって1つだけ描いた後、間違って発動させないように、机の引き出しに入れておいた。


それから、お昼ご飯を食べた後、あまりにも平穏過ぎて、ソファーに座ったままうとうととしてしまった。




『──ナ……気を付けて…もし───なら───』





「──────ん?」


寝てしまったのは数分だけだったけど、お父さんの夢を見た──ような気がする。そのお父さんはボヤケていたけど、私に何かを言っていたような?


ブンッ───


と、リビングの窓際に設置していた魔導具のランプに明かりが点いた。


「っ!!」


このランプに明かりが点く理由は1つ。

ピサンテに、許可されている人以外の人がやって来た時だ。


ーカイリーさんが来たんだー


今、ピサンテ全体に魔法が掛けられていて、普通の人ならピサンテに入れないようになっているし、入れたとしても直ぐに外に出されるようになっているから、ピサンテの奥にあるこの家までやって来れる人は居ない。でも、カイリーさんほどの闇の魔力持ちなら、ここ迄辿り着く可能性が高い。否、きっと辿り着く。


「大丈夫。私は……独りじゃない」


そう言い聞かせてから、私はこれからの事に備える準備を始めた。






*カイリー視点*



「この家だけが……残ってる?」


久し振りに訪れたピサンテは、以前の姿とは一変していた。それもそうだ。あの日、魔獣によって壊滅させられたのだから。それなのに、何故この家だけ、そのままの状態で同じ場所に建っているのか?


「まぁ、それもどうでも良いわね」


この家の中に、あの子が居る気配がする。唯一生き残った生存者は、やっぱりあの子だった。運良く生き残ったのに、相変わらず独りぼっちのようだ。


「独りぼっちは可哀想だから、直ぐに皆の所に送ってあげないとね……」


私は、久し振りにその家の玄関の扉を開けた。




「カイリーさん?」

「久し振りね」


リビングのソファーに座っていたのは、やっぱりナディーヌだった。


「生存者が居ると聞いて、まさかと思っていたけど……貴方が生きていて…良かったわ」

「私の事を心配していた……んですか?」

「勿論よ」


虐げられ続けて来た子は、少し優しくすれば直ぐに気を許す。そうして気を許したところで──


「それは……心配になりますよね。私が死んでいなければ、全てを失う事になるから」

「何を言っているの?」


ーこの子は、どこまで気付いて……知っているの?ー


「私、知ってるんです。ジェイミーがナディーヌ(わたし)になって暮らしているって」

「………」

「この事をバラされたくなかったら、私の名前を返して下さい」

「……ふふっ…………」

「何が可笑しいんですか?」

「何が可笑しいか?お前の全てが可笑しいのよ。『返せ』と言われて返すわけがないでしょう。返すつもりなら、ピサンテを壊滅させたりしてないわ」


全てを奪う為に、お前の名前を奪ってピサンテに魔獣を召喚したのだから。


「魔獣の襲撃を受けて、どうやって独りぼっちのお前が生き残ったのか……本当に忌々しい!お前さえ生きていなければ、何の問題もなく全てを奪えるのよ。名前を返す必要なんて無いわ。どうせ、お前は今日ここで独りで死んで行くのだから」

「魔獣を召喚させて、ピサンテを壊滅した事を認めるんですね?全ては、カイリーさんが仕組んだ事だったんですね?私の名前を奪う為に、私に呪術を掛けたのもカイリーさんだったんですね?」

「ふふっ…………どうせ最期だから教えてあげるわ。そうよ。アリシアとお前から全てを奪う為に、私が仕組んだ事よ。でも、アリシア──お前の“お母さん”は、お前ではなくジェイミーを選んだ。お前は選ばれる事も話を聞いてくれる事もなく捨てられたのよ。可哀想にね」


アリシアは、自ら魔力無しの実の娘ではなく、魔力持ちの私の子を選んだ。アリシアの事故に私は関わっていない。事故に遭って記憶を失ったのは、本当に偶然に起こった事だ。でも、記憶を失ったからと言っても、自分の子を捨てても良いと言う事は無い。


「独りぼっちは寂しいでしょう?だから、私がお前を皆の所に送ってあげるわ」


この子が死ねば、私に返って来た呪詛からも解放されて、ジェイミーの存在も安定する。


「さようなら……ナディーヌ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
自分の舌で自分の死刑執行書にサインしたかカイリー。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ