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奪われたものは要りません  作者: みん


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32 エルフ

「これは……お父さんはエルフの血が入ってるかもしれないね」

「え!?」


休憩にと3人でお茶を飲んでいる時に、見付けた絵を2人に見せるとエルトン様がとんでもない事を言い出した。


「ティニーからはエルフの血は感じられないから、ずっと昔の先祖とか遠い親戚に居たとか、そんな薄い感じかな?」

「もしそれが本当だとして、何か影響があったりするんですか?」

「影響と言うか、簡単に言うと、人間よりエルフの方が魔法に関してのレベルや知識が上だから、ここの魔法陣も普通に調べては駄目だと言う事かな?」


エルフの扱う魔法は種族特有の魔法な上、代々受け継がれている様な魔法もあったりするから、魔法や魔法陣の組み方が複雑だったりするようで、種族の違う人間には扱えなかったりもするそうだ。 


「私もエルフと言ってもハーフだし、生まれてからずっと人間の世界で生きて来たから、エルフの魔法はよく分からないんだよね……でも、これが分かった事は大きい」


ーこの事は、お母さんは知っていたのかなぁ?ー


「エルフが他種族との関わりを断ってから数百年以上は経ってるから、()()なエルフの手助けは望めないけどね」

「と言う事は、エルトンみたいに混血のエルフなら手助けしてくれると?」

「混血のエルフは数が少ない分、お互いの結束力は強いんだ。だから、友達にも声をかけてみるよ」


大公様とエルトン様は普通に会話しているけど、内容はまるで冒険の物語のように聞こえる。今迄、自分がいかに狭い世界で生きて来たかが分かる。小さな村のピサンテのお母さんやカイリーさんだけの世界。お父さんが居たなら、私の世界はもっと広がっていたのかなぁ?と、思ったことろで過ぎた事は仕方無い。これから広げていけば良いだけだ。


「と言う事で、私は数日留守にするよ。友達はあちこちに散らばってるから。ティニー、その間魔法の指導はジェラールから受けると良いよ」

「分かりました」

「えっ!?大公様がですか!?」

「心配しなくても大丈夫だよ。ジェラールは私の弟子で、剣よりも魔法の方が得意だから」

「いえ!そこは心配なんてしてません!ただ──」

「私だと不安か?それなら──」

「不安なんてとんでもないです!有難くお受けさせていただきます!」

「「なら良かった」」


と、ニッコリ笑う大公様とエルトン様。


ーあれ?手の平で転がされてる?ー


転がされているとしても、嫌な気持ちになる事はない。私の事を気遣ってくれているのが分かるから。


「ありがとうございます」


改めて素直にお礼を言うと、エルトン様が頭を撫でてくれた。


その翌日からエルトン様の姿は無く、それでも私は週3日のオリビアさんのお手伝いの合間に、ピサンテで大公様から魔法の指導を受けつつ調査のお手伝いをする日々を送っている。




「ティニーのご飯が美味しいから、ついつい食べ過ぎてしまうな」

「ありがとうございます!」


やっぱり、料理を褒めてもらうのは嬉しい。よく作るようになってから、料理のレパートリーも増えた。時間に余裕ができたら、少し苦手なお菓子作りにも挑戦してみても良いかも?


「あの…私、貴族の世界はよく分からないんですけど、大公様はパーティーとかには参加しなくて良いんですか?」


貴族の世界では、あちこちでパーティーが開かれて、高位貴族は参加して交流を深めたりするらしいけど、大公様はずっとこの家に引き篭もっている。


「この調査が国王陛下の命だから、これを理由に断る事ができるし、もともとそう言うパーティーには興味が無いんだ。参加すれば下心しか無い者達に囲まれるし、次々とご令嬢を紹介されるし……だから、国王陛下の命には感謝している」


「大変なんですね………」


貴族の世界では、幼いうちから決められた婚約者が居る事も珍しくないらしいけど、大公様には居ないそうだ。


「私は、エルトンのように魔法の研究でもしながらのんびりした余生を過ごすのが夢なんだ。勿論、魔獣の討伐の依頼があれば元騎士として受けるけど」

「でも、大公と言う身分がある限り難しいんじゃないんですか?」


王位継承権を持っていなくても、王族は王族だから公務もあるだろうし、大公としての仕事もある筈。


「パーティーは免除してもらう代わりに、公務はきっちりやっているし、兄上からの無茶振りにも応えているから、余生ぐらいは好きにさせてもらいたい──と言うのが本音だ」

「………ふふっ……あ、笑ってしまってすみません!」


意外な本音を聞いて笑ってしまった私は、不敬罪適用か?なんて思って焦っていると、大公様は笑いながら私の頭を撫でた。


「自然と笑えるようになって良かった」

「…………」


パチパチと目を瞬く。まさか、大公様がここまで私を気に掛けてくれているとは思わなかった。


「さて、美味しいご飯を食べた後は、魔法の練習でもしようか」

「はい、宜しくお願いします!」


今の私の周りには、優しい人で溢れているようです。





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