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奪われたものは要りません  作者: みん


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30/91

30 疑惑

たまたま魔獣の襲撃に遭って村が壊滅して、真実を知る人達が居なくなる──なんて事がある?

それに、カイリーさんは私の事を嫌っていたし、お母さんに対する態度も酷いものだった。それなのに、何故ジェイミー(自分の子)ナディーヌ(嫌いな子)の名前を名乗らせているのか?

容姿だけに関して言えば、私は色が変わってしまったけど、周りの人達は信じてくれず『染めたんだろう』と髪を掴まれたりもしたから、またピンク色になっていても『やっぱりな』としか言われなかったと思う。それに、私は滅多に他人と関わる事がなかったから、ハッキリと私の顔を覚えている人は居なかっただろう。だから、ジェイミーがナディーヌと名乗っても疑う人は居なかったかもしれない。でも、ナディーヌは嫌われていたから、わざわざジェイミーがナディーヌになった意味が分からない。


「私を名乗ったところで、彼女には何の得にもならないのに……」

「そうかな?メリットならあるよね?もし、そのカイリーが、ナディーヌの母親が公爵令嬢だと知っていたのなら」

「あ!」


エルトン様の言う通りだ。でも──


「お母さんからは聞いた事はなかったし、私も知らなかった事を何故カイリーさんが?」

「以前から知っていたと言う事はないだろうね。知っていたなら、嫌がらせなんてしてなかっただろうから。なら、考えられる事は1つだ。“継承の指輪”だな。あの指輪の意味を知っていたのかもしれない」


大公様曰く“継承の指輪”とは、高位貴族ではよくある物で、ソレを見るとどの家門の物か、見る人が見るとすぐ分かるんだそうだ。


「パルティアーズは、ピンク色から赤色に変化する宝石が付いた指輪だったかな?」

「そうです。その指輪はジェイミーが入学する時に一緒に持って行きました」


そのナディーヌ(ジェイミー)が入学した学校に、パルティアーズの家門の人が視察に来てナディーヌ(ジェイミー)を見付けて、継承の指輪を持っていた事から本物の娘だと判断された。


「でも、それが偶然じゃないとしても、親子鑑定の結果は?アレは、神官をはじめ複数人の見届け人が同席するから不正をするのは不可能だわ」


ルチア様の言う通りで、私も何故親子鑑定で90%以上の確率が出たのか不思議でしかない。勿論、私とジェイミーは姉妹じゃないし父親も違う。


「親子鑑定の結果が変わらない限り、あのナディーヌは本物のままだと言う事だけど、少しでも疑わしいところがあれば、村1つを壊滅させた可能性があるから、偽証罪だけの罪では済まされない。そうなれば、唯一の生き残りのティニーにも影響が出て来るし、ティニーの存在が表に出たら……公爵は必ずティニーをパルティアーズに引き込むだろうね」


ー私が公爵家に?ー


「ティニーは一度、公女に『自分が娘だ』と訴えただろう?もしあのナディーヌが偽物だとバレたら、あの時の訴えを理由に親子鑑定をさせられるだろう。その結果は言わずもがなだな。その上、無属性だと知られたら、それこそティニーはパルティアーズからは逃げられない。勿論、ティニーがパルティアーズ──“お母さん”の元に戻りたいと言うなら問題はな──」

「戻りたいなんて思ってません!」


大公様の話を最後迄聞く前に否定する。

伸ばした手を払い除けて拒絶をしたのは公女様だ。

私に手を伸ばして受け止めてくれたのは、ルチア様とオリビア様だ。


「もし、あの2人が自分勝手な理由でピサンテを壊滅させたんだとしたら、その罪を償うべきですけど、そこから私が本物だと知られる事になったとしても、私はここ─デミトリアで平民として生きていきたいです」


なんて言う私の希望なんて、きっと聞いてくれないだろう。私に魔力が無かったら、受け入れられずに済んだかもしれないけど。


ー少し前までは『魔力持ちだったら』と願っていたのにー


「それなら、パルティアーズがティニーに()()()()()()状態を作らないといけないわね」

「手を出せない?」


こんな小娘に手を出せなくなる状態なんてあるのか?寧ろ、片手でひねり潰されそうだけど?魔法で対抗する?無理だよね?


「1番手っ取り早いのは、何処かの有力な貴族の養子になる事だけど……相手がパルティアーズ公爵だから、なかなか難しいわね。デミトリア(ウチ)でギリギリいけるか……微妙よね………」


パルティアーズ公爵家は、5つある公爵家の中でも上位の家門だと教えてもらった。デミトリアは辺境伯だけど、国内の辺境地としてはかなりの重要な領地で、公爵と侯爵の間ぐらいの権力があるらしい。


「今すぐどうなると言う事もないだろうから、それはまた考えるとして、これから、カイリーについて色々調べる必要がある。取り敢えず、カイリーがどんな人物だったのかを話してもらえるか?」

「はい、分かりました」


私は、改めてカイリーさんの事を話した。




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