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奪われたものは要りません  作者: みん


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29/91

29 驚きの事実

「200を超えた頃から数えるのは止めたんだけど……400は超えてないと思う」

「200?400?」


ーあれ?何の話をしてたっけ?ー


「私、質問を間違えたかもしれません」

「間違ってないよ」


「ジェラール?」

「大公様!?」


寒期になってから2ヶ月半が過ぎた今日、エルトン様とピサンテの家の庭の手入れをしていると大公様がやって来た。


「先触れの知らせを飛ばしたけど、どうやら伝わってなかったようですね」

「昨日から泊まりで来ていたからね」


ここ数日は天気も穏やかになっていたから、昨日から泊りがけでピサンテの家にやって来ている。


「大公様、来ると知らなかったので、何のお迎えの準備もできずにすみません」

「いや、急に来た私が悪いのだから気にする事はないよ。気候も良くなって来たから、本格的に移動する前に家の確認をさせてもらいに来たんだ。家や庭を見て回って良いか?」

「はい。もし他に何か必要な物があれば言って下さい」

「ありがとう」





特に問題も、今すぐに必要な物もなかったようで、一段落ついたところでお茶をする事になった。


「大公様、お礼を言うのが遅くなりましたけど、公女様にノートを返していただいて、ありがとうございました」

「王城に行くついでだったから、気にする事はないよ」


“登城のついで”と言われると、余計に気になるのは私だけなのかなぁ?


「話は戻るけど、ティニーの質問に対してエルトンの答えは間違ってない」

「でも、私がエルトン様に訊いたのは年齢ですよ?」

「そうか、ティニーには言ってなかったね。私はエルフと人間のハーフなんだ」

「エルフ!?」


“エルフ”と言う種族は知っているけど、本当に存在するとは思わなかった。


「純粋のエルフなら800歳も夢じゃないけど、私はハーフだから長生きできても500ぐらいかなぁ?」


それが本当で今が400未満だとすると──


「え?おじいさん?」

「あ、ティニーにそう呼ばれるのは何だか心地良いね」


見た目はルチア様よりも少し年上かな?な感じなのに。『長生きはするもんだね』と言うのはただの口癖かと思っていたけど、本当の事だったようです。





*ジェラール視点*



エルトンの新事実に驚いて固まっているティニーは、2ヶ月程前の雰囲気とは少し違って見えた──と言うより、年相応に見えるようになった。相変わらず表情はあまり変わらないが、雰囲気も柔らかくなったような気がする。ここでの生活が、ティニーにとって良いモノになっているんだろう。


今日は、この家の来たのは確認の為だと言う事は本当の事だが、それと他にも確認する事があったからだ。


「辺境伯と一緒に2人にも話しておきたい事があるから、一緒にデミトリア邸に戻ってもらえるかな?」

「はい、分かりました。邸に戻る支度をしますね」


机の上のティーカップを手に取ると、ティニーはキッチンに向かい片付けを始めた。


「子供の成長と言うのは早いもんですね…」

「そうだね。私からすれば、ジェラールもあっと言う間に……可愛気の無い男性になってしまったけどね」

「男に可愛気は必要ありませんから……」


くすくすと笑うエルトンは、何年経っても変わらない。そのうち俺の方が年上に見えるようになるのかと思うと少し寂しいと思ってしまった事は、心に留めておく事にした。




それから、片付けが終わってから3人でデミトリア邸に戻ると、そのまま辺境伯の執務室へと案内された。この場に居るのは、俺達3人と辺境伯とエリック殿とオリビアの6人。この6人だけが“ナディーヌ”が本物ではないと言う事を知っている。


「情報は共有していた方が良いと思っているから、こうして集まってもらった」


と前起きしてから話したのは、“グリンデルバルドで調べた結果について”だ。


「ピサンテが魔獣の襲撃を受けたのは半年前。更にその3ヶ月前から他領の学校に入学していたピサンテ村出身の女の子の名前が、その時点で既に“ナディーヌ”で、その“ナディーヌ”が学校に入学して学生生活を送っていたようだ。それは、どう言う意味だと思う?」


当たり前の事だが、あの子がナディーヌではない事は確かだ。本物のナディーヌは、今ここに居る。その本物は魔力無しで学校に入学していない。


「それと、その学校に提出された書類に、そのナディーヌの保護者として書かれている名前は“カイリー”だった」


結局、俺は未だにそのカイリーには会えていない。ノートを渡しにパルティアーズに行った時も、見掛ける事はなかった。


自分の娘をナディーヌとして入学させた意味は?他領の学校に入学するとは言え、嘘だとバレない確証も無いし、嘘をついていたとバレれば退学処分だ。どうしてそんなリスクのある事をして入学したのか。


「よほど、バレないと言う自信があったんだろうね」


その事実を知っている者が居なくなれば、バレる事はないのだ。




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