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奪われたものは要りません  作者: みん


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19/91

19 再会?

あれから、私が目を覚ましたのは翌日の朝だった。


目が覚めると、すぐにオリビアさんが私を診てくれて、朝食も一緒に食べてくれた。


「色々と混乱していると思うけど、今はゆっくり休む事。無理はしないようにね」

「はい………」


何がどうなっているのか──考えようとすると、頭が痛くなって思考が鈍くなる。


「後でルチア様が来ると言っていたわ」

「分かりました」


今日は、王子様はエリック様とピサンテではない所に視察に行く予定で、大公様はエルトン様とあの家の結界を調べに行く予定だった。

そして、今、この邸には“お母さん”も居る。その“お母さん”は、私のお母さんなのか?



それから、ルチア様がやって来たのは1時間程経ってからで、大公様とオリビアさんも一緒だった。

どうやら、今日の結界の調査はエルトン様に任せたそうだ。大公様も、公爵家が関わる事を無視する事ができなかったのかもしれない。


「今の段階で今回の話を知っているのは、グリンデルバルド大公様とオリビアと私とティニーだけで、エリックにも言ってないし、アラール殿下と公女様本人にもまだ言っていないわ」

「特に、アラールには注意した方が良い」


そう言ったのは大公様。何故王子様に注意が必要なのか?と訊けば、王子様は公女様の“娘”と仲が良いそうで、私が『娘は私です!』と言えば『王族や公爵に嘘をつくな!』と私が罰せられる可能性があるからなんだそうだ。


「私が……嘘をついてると……思われているんですね」


ー嘘なんてついてないのにー


「私は、ティニーが嘘をついているとは思っていないが、本当だと言う証拠も無いから、今の段階で事が大きくなってしまったら、ティニーを護る事ができないからね。ティニーにとっては辛いかもしれないが、もう少しだけ待っていてもらえるか?」

「大公様は……私の事を信じてくれるんですか?」

「正直に言うと『信じている』と言うより、『嘘はついていない』と思っている」


子供相手に誤魔化す事なく、話してくれる大公様は誠実な人なんだろう。


「私もティニーが嘘をついてるなんて思ってないわ」


ルチア様の言葉にオリビアさんが頷く。今の私には、私の言葉に耳を傾けてくれる人達が居る。それがとても嬉しい。


「ありがとう……ございます………」




それから、大公様が密かに、神殿に親子鑑定の結果の確認の手紙を飛ばしてくれた。ルチア様は、“お母さん”から“娘”の話を訊くと同時に、その“娘”が通っていた学校にも何らかの手紙を飛ばすと言っていた。

今できる事はそれだけ。なら、私は──



『貴方に、魔力があれば……』



私には魔力があった。それなら、魔力を上手く扱えるようになれば、私を迎えに来てくれるかもしれない。


「頑張ろう」





視察期間は5日間。“お母さん”も視察団と一緒に王都に帰る事になったそうで、私は“お母さん”に遭遇しないように、その間は部屋に引き篭もる事になった。その間は、オリビアさんのお手伝いはできないけど、薬草の勉強と魔法陣の勉強は続けている。エルトン様は大公様と、毎日あの家に行って結界を調査している。

そんな中、時々ルチア様と大公様が私の様子を見に来てくれている。


そんな日を過ごして、いよいよ明日、視察団が帰ると言う日の夜中だった。喉が渇いて目が覚めてしまい、時間も時間だからと、自分で食堂で水を飲む為に部屋を出た。


食堂で水を飲んで部屋に戻る途中、客室の扉が開く音がした。


ー誰か分からないけど、会わないようにした方が良いかな?ー


廊下の隅に寄って暗闇に紛れようと一歩後ずさろうとして──


「おかあ……さん?」


暗い廊下の中、窓からの月の明かりに照らされた人は、私の記憶の中に居る“お母さん”だった。


「あら?こんばんは。デミトリアに、女の子が居るなんて知らなかったわ」


その声もまた、私の記憶にあるお母さんの声だ。


「おかあさん………」

「ふふっ……ごめんなさい。貴方のお母さんじゃないわ。貴方の名前は───」

「お母さん!私よ!私は──」

「落ち着いて?私をよく見てくれる?貴方のお母さんではないわ」

「違う!お母さんこそ、私をよく見て!」


手を伸ばしてお母さんに抱きつこうとすると、パンッとその手を払われた。


「貴方も、私の─公女の娘になれと言われたの?それならもう止めなさい。私の娘は見付かったの。それに、私の娘はピンク色の髪と瞳なの。でも、貴方は水色の髪に薄紫色の瞳で、全く違うわ」

「ちがっ──この色はまりょ───」

「それに……貴方は魔力無しでしょう?私の娘は、魔力持ちなの。魔力を発現したお陰で、娘は()()()()貴族として認められたのよ。魔力の無い貴方は、私の娘ではないわ」

「…………でも……」

「それ以上嘘をつくなら、貴方だけの問題じゃなくなるわ。デミトリア辺境伯に責任を問う事になるわ。その意味が分かる?」

「っ!!」


ー私のせいでルチア様が?ー


言いたい事はたくさんあるのに言葉が出て来ない。


「キツイ言い方をしてごめんなさい。でも、私も嘘をつかれ過ぎて嫌な思いをたくさんしたから……この事は、私だけに留めておくから、貴方は何も無かったようにして部屋に戻りなさい」


そう言うと、お母さんは客室に戻って行ってしまった。



「大丈夫か?」




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娘は生き別れして随分経つのに覚えてるのに、この母親と来た日には。
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