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奪われたものは要りません  作者: みん


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18/91

18 お母さん

「確認すべき事があって、それは後で説明するけど……ティニー、貴方から聞いていた“お母さん”が見付かったわ」

「え?“お母さん”が見付かったんですか!?あの、何処に───」

「待って!ティニー、落ち着いて!まだ、話さないといけないことがあるの」

「は……はい………」


今すぐにでも会いたい!と言う気持ちをグッと抑えて、ルチア様の話に耳を傾ける。


「それが……その“お母さん”と思われる人は、もう既に娘と一緒に暮らしているのよ」

「え?娘と一緒に?それじゃあ、私のお母さんじゃないって事じゃ……」


私に姉妹なんて居ない。娘と暮らしていると言うのなら、その人は私のお母さんじゃない。


「それがね、ティニーの家があるでしょう?その“お母さん”が、『あの家は自分の亡くなった旦那が建てた家で、娘と暮していた』と言ったのよ」

「え?それじゃあ……やっぱり……」


ーそんな事を知っているなら、やっぱりお母さん?ー


「その“お母さん”なんだけど、8年前に事故に遭ったらしくて、そこから数ヶ月寝たきりになって、目覚めた時には記憶を失っていたそうよ」

「事故……記憶が………」


それからルチア様から聞いた話は驚きの内容だった。


8年前事故に遭い瀕死の状態に陥ったものの、運良く貴族の馬車が通り病院に運ばれて助かった上に、その貴族が縁を切った親族だった。その親族からの報せを受け、寝たきりになっていたお母さんを引き取ったのが、父親─私からすれば祖父だった。それから数ヶ月寝たきりで、ようやく目が覚めたと思えば、ここ数年の記憶を失っていたそうで、自分が結婚して縁を切られた後、誰と何処で暮らしていたのか、一切覚えていなかったそうだ。


「だから……帰って来なかったんだ……」


ー私は捨てられたわけじゃなかったー


ただ、旦那は亡くなっている上に子供が居る──とは誰も想像すらしていなかった。祖父も、もともと結婚には反対していたから、敢えて旦那と住んでいた所は探さず、亡くなった祖母の願いもあった為、お母さんとの縁を戻し、そのまま一緒に暮らして行くことになった。


「それが、2年程前に、部分的に記憶を思い出したそうよ」


“旦那は死んでいて娘が居た”


たったそれだけの記憶。何処に住んで居たかは思い出せず、幼い娘がどうなったのかと半狂乱になったそうで、祖父がその娘を探す為に広告を出しだ。


“ピンク色の髪と瞳の10歳位の女の子”


それ以降、何人ものピンク色の髪と瞳の10歳位の女の子が『私の事かも』と言って、祖父の元にやって来るようになった。それらの子達を、そのまま『はいそうですか』と受け入れる事はなく、神殿で親子鑑定をする。


娘だと現れると喜び、親子関係が無いと言う結果が出ると泣き崩れ──を幾度か繰り返し、“お母さん”が精神的にボロボロになり掛けた時、とある領にある学校で見付けた女の子。偶然、“お母さん”の家門の親族が見付けた女の子だったけど、“お母さん”の事をよく知っていて“お父さん”についても朧気に覚えていたそうで、すぐに“お母さん”に報せがいき、親子鑑定をすると親子関係が有ると言う結果が出た。


「親子関係が……有る?」

「そうなのよ。それは、王都や貴族の間では誰でも知ってる話でね。その話が、まさかティニーの言う“お母さん”の話だとは思わなかったのよ」

「え?でも……私は………」


ーその人とその娘が親子関係に有るのなら、私のお母さんじゃない……よね?ー


「ちなみに、その“お母さん”の名前はアリシア。娘の名前はナディーヌよ」

「───っ!?」

「ティニー!?」



“アリシア” “ナディーヌ”




『お前が❋❋❋❋❋と────ない。❋❋❋❋❋と───れば、─────だろう』




ズキズキと頭が痛くなる。キーンとした耳鳴りのような音が頭に響いて何も考えられなくなる。


「なま…え………」


ーどうして、自分の名前を忘れてしまったの?お母さんの名前は、アリシアだった?ー


「ティニー!大丈夫!?誰か、オリビアを直ぐに呼んで来て!」


ーあの時、カイリーさんは何て言っていた?ー


分からない事だらけだ。








*ルチア視点*



「特に問題は無さそうですが、色々と混乱して精神的にダメージを受けたのかもしれませんね」

「でしょうね………」


話の途中で頭を抑えながら蹲り、そのまま気を失ってしまったティニー。混乱状態に陥っていた。私でさえ混乱しているのだから、13歳のティニーが受け切れなくなっても仕方無い。


「一体、どうなってるの?」

「公女様が、ティニーの“お母さん”なんですか?」

「公女様本人が『あの家で娘と2人で住んでいた』と言ったのよ」


この話は私とグリンデルバルド大公しか知らない事だけど、オリビアにはティニーが倒れた事もあり伝える事にした。


「なら、どちらかが嘘を?」

「いや……どちらも嘘をついているようには見えない」


公女様は、ピサンテのあの家で過ごしていた事を思い出して、更にピサンテの悲劇を知って、公爵には内緒でここ迄来たのだから、公女様があの家に住んでいたのは本当なんだと思う。それに、庭にあったセイヨウイラクサを見て泣いていた。

でも、ティニーが嘘をついているとも思えない。あの2冊のノートを大事にしている姿が、偽物だとは思えない。


「一体、どうなっているの?」






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