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奪われたものは要りません  作者: みん


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11 期間限定の幸せ

『いつまで寝てるつもり?早く起きて朝食を作りなさい。勿論、寝坊したのだから、アンタの朝食は抜きよ』




「ごめんなさい!!」

「ティニー!?」


昨日の夕食も食べていなかったから、必死でカイリーさんに謝ったけど────


「あれ?」

「ティニー、大丈夫?」


私の目の前には、カイリーさんじゃなくて、私を心配そうに見ている女性──オリビアさんが居た。


「あ……ごめんなさい……あの……夢を……」

「謝る必要は無いわ。汗もかいてるみたいだから、体が大丈夫そうなら、お風呂に入れるけど」

「お風呂!?私なんかが!?あの、タオルで拭くだけで──」

「うん、大丈夫そうね、お風呂に入ろうね。マーロン、ティニーを風呂場まで運んでくれる?」

「了解です!」

「えっ!?」


オリビアさんが呼ぶと、どこからかマーロンさん?が現れて、私をひょいっと抱き上げてお風呂場迄運んでくれた。


お風呂は贅沢な物の一つで、平民では週に1、2回の入浴で、基本は濡らしたタオルで体を拭くぐらいだ。カイリーさん達は週5で入浴していたけど、私は入浴する事を許されてはいなかったから、入浴するのは本当に久し振りだった。入浴できるだけでも有り難いのに、更に使用人らしき人達に、髪や体を丁寧に洗ってもらってしまった。それが、あまりにも気持ち良くて、途中、少し寝てしまっていた。


「ご……ごめんなさい!」

「いえいえ、気持ち良くなってもらえて良かったです」


と、使用人の人達は、嫌な顔をする事なく笑っていた。

お風呂から出ると、魔法で一瞬で濡れた髪を乾かしてくれて、新しい服を着せてくれた。サイズも私にピッタリで驚いた。


「次は、朝食にしましょう」


と、既に机の上にはスープとベーグルが用意されていた。昨日、初めて食べたベーグルは、モチモチしてて甘くて美味しかった。それが、今日も食べれると思うと、気持ちが明るくなる。


「頂ける事に、感謝します」


基本の感謝の意を伝えてから食べる。

昨日はベーグルが大きくて食べ切れ無かったけど、今日のベーグルは昨日の物より小さくて、私でも食べ切れそうで良かった。それに、昨日よりも少し甘くなっていて更に美味しい。


「今迄食べた物で、嫌な物は無かった?」

「はい、全部美味しくて……本当にありがとうございます」

「なら良かった。後は、少しずつでも良いから、食べる量を増やしていかないとね。じゃないと、大きくなれないから」

「はい………」


こんなにも美味しい物を食べ慣れてしまうのは、正直言うと怖い。これが、いつまでも続くなんて事は無いと分かっているから。体力が回復して元気になったら、私は孤児院か修道院送りになるだろう。もう、ピサンテに私の居場所は無いのだから。



朝食を食べた後は、体力回復の為の薬を飲む。少し苦味があるけど、我慢できない程じゃないし、いつも口直しにと、飲んだ後に甘いお菓子をくれるから、薬を飲む事が嬉しかったりもする。今日貰ったのはチョコレート。ピサンテで食べた事も見た事もなかったけど、貴族ではよく食べるお菓子の1つなんだそうだ。但し、食べ過ぎると虫歯になりやすいから、要注意。


「そう言えば、ティニーの家には、家庭菜園があったけど、そこには野菜を植えていたの?」

「はい。育て易い物だけでしたけど。後は、セイヨウイラクサとゼラニウムですね」

「誰か、薬草とかに詳しい人がいたの?」

「良くは知りませんけど、死んだお父さんが薬草に詳しかったそうです」


セイヨウイラクサは、素手で触ると危険だけど、ちゃんと処理をすればハーブティーとして飲めるし、殺菌作用もある。それが、魔獣避けにもなっていたとは知らなかったけど。


「お父さんは、立派な人だったのね」

「………」


私には、お父さんの記憶が全く無かったから、お父さんに対する感情も何も無かった。お母さんが居ればそれだけで良いと思っていたのに、そんな私を助けてくれたのは、お母さんじゃなくてお父さんだった。


「あっ!」

「どうしたの?」


ーお母さんの指輪は!?ー


あの時、巾着袋に入れたままだった。枕の下に入れて置いた巾着袋を取り出して中を開けて見ると、水色の宝石の付いた指輪が入っていた。


ー良かったー


「それは、ティニーの指輪?」

「じゃなくて、お母さんの結婚指輪です。水色は、お父さんの瞳の色だったそうです」

「そうなのね。じゃあ、ティニーはお父さんの色を継いでいるのね」

「………」


子の髪や瞳の色は、親の色を継ぐ事が多い。親ではなく、祖父母や更に遡った人の色が現れる事もある。私も、お母さんの色を継いでいた───筈だった。

サラリと肩に掛かる髪に視線を向けると、その髪色は淡い水色。お母さんの指輪に付いている宝石の色よりも薄い水色だった。


「8年前迄は、違う色だったんです」






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