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奪われたものは要りません  作者: みん


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10/91

10 ティニー

・3歳の時に父親が病死

・5歳で母親が失踪

・母親の失踪後、村長の家で静養した後、“カイリーさん”に引き取られ、今の家に一緒に住むようになった

・“カイリーさん”は、あの日の夕方前には家から出て行った




ー何故、家を出て行ったんだっけ?ー


今迄の事はちゃんと覚えているのに、あの日の記憶は曖昧で、自分の名前が思い出せない。


「色々あったから、一時的に忘れてしまってるのかもしれないわね」

「ショックで記憶を失くす事はあるから、心配だろうけど、今は気にせずに元気になる事だけを考えましょう」

「はい………」

「とは言え、名前が無いと困るから“ティニー”と呼んでも良い?」

「はい」


“ティニー”は、一般的に、小さい女の子を表す時に使う呼び名だ。


「色々と質問したから疲れたでしょう?今日はこれからは、ゆっくりしてちょうだい。何かあったら、そこのベルを鳴らすと良いわ」

「はい、ありがとうございます」


そう言うと、ルチア様とオリビアさんは部屋から出て行った。





*ルチア視点*



「名前が分からないのと、当日の記憶が曖昧なのは、やっぱり精神的なものだと思う?」

「当日の記憶が曖昧なのは、その可能性がありますけど、名前となると……」

「そうよね……」


あの日の出来事がショックだったとは言え、他の記憶はきっちりあるのに、名前だけを忘れると言う事には違和感がある。あの子が嘘をついている様には見えないし、嘘をつく理由もない。


「住民票も消失してしまって照会する事もできないから、本人が思い出す迄はどうしようもないわね。オリビア、暫くの間、あの子の事よろしくね」

「分かりました」


集落の一つが壊滅したのだから、このまま簡単に済ませる事はできない。調査はこれからだけど、取り敢えずは現時点で分かっている事は全て書き、その日のうちに王都に報告書を送った。





小さい子を意味する名前“ティニー”


年齢の割には小さくて細いし、食がまた驚く程に細い。自分には図体のデカイ息子しか居ないから、比べる相手が異常なのかもしれないけど、細過ぎて心配になる程で、エリックは心配し過ぎて顔色が悪くなっていた。


『あの子が娘なら、俺、泣いてたと思う』


既に半泣きだったのは置いといて、ティニーの様子からして、今迄マトモな食事をしていなかったのだろう。体に残る傷痕からして、日常から虐待されていたと言う事が分かる。

“カイリー”は、当日の夕方前には家から居なくなっていた。生きているのか?生きていたとして、何処に居るのか?調べる事がたくさんある。



『大人でさえ嫌がる苦い薬も、嫌な顔せずに飲んでます。食事の量は少ないけど、好き嫌いなく食べてます』


辛い経験をしたにも関わらず、泣くことも怒る事も無い。笑う事も無い。


『良く言えばおとなしい子ですが、悪く言えば13歳らしさが、全くありません』


今迄の家庭環境から言えば、当然なのかもしれない。心の傷が直ぐに癒える事は難しいだろうけど、少しでも気持ちが楽になれるようにしてあげたい。


ー心を強くするにも、先ずは体力作りねー


「そう言えば、ティニーの魔力測定はした?」

「まだよ。オリビアが、栄養失調気味だから、それを回復させてからの方が良いと言っていたから」


魔力は体力によって左右されやすい。体力があれば必ずしも魔力が増えると言う事ではないが、体力が無いと魔力は増えないし減ってしまう。


「特に魔力は感じないと言っていたから、魔力無しか、あっても微々たるものだと思うって。まぁ、平民なら魔力が無くても普通なんだろうけどね」

「魔力無しか……魔力に適応はしそうな雰囲気なんだけどね」


うーん……と、エリックが首を傾げる。武術に関しては私の方が上だけど、魔法に関して言えば、私よりもエリックの方が勝っているし、他人の魔力に敏感だったりもする。


「魔力測定する時はエリックにも同席してもらうわ」

「うん。俺からも、それでお願いするよ」

「よし、それじゃあ、今から買い物に行って来るわ」

「買い物?何処に?何を?」

「ティニーの服よ」

「なるほど」


ティニーが住んで居た家に、もう一度行って部屋を見てみたけど、ティニーの服らしき物は2着しかなく、それもボロボロでサイズも合っていなかった。靴は、あの時ティニーが履いていた靴以外は無かった。

好みが分からないから、取り敢えずは無難にシンプルな服と靴を見繕う為に、私は街へ買い物に出掛けた。





*****



「あれ?服と靴だけじゃなかったのか?」

「服と靴だけのつもりだったけど、皆がアレもコレもとオマケしてくれたのよ」

「なるほどね……はははっ」


息子しか居ない私が女の子の服を買っていると、店員から『どうしたんですか?』と訊かれ、『保護した女の子の為に』と言うと、『ルチア様にはいつもお世話になってますから!!』と、服以外にも色んなオマケを付けてくれた。正直、女の子の服選びには自信が無かったから助かった。それに、どれもティニーに似合いそうだ。


「私は、良い領民を持ったものね」

「領主が良い領主だからだよ」


エリックも、優しくて良い旦那様だ。





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