9 これも【幸運】のもたらしてくれたもの
明けて翌日。
二日目の活動となる
前日と同じ4人と合流し、今日も迷宮に向かう。
昨日と同じようになるのかどうかを確かめるために。
また、新しい何かがあらわれるのかどうか。
それが良いのか悪いのかも見極めるために。
これも確かめていく。
幸い、まずい事は起こらなかった。
何事もなく同行者と合流して。
迷宮に入って怪物退治を開始。
開始と同時に程よく最初の敵がやってきて撃退。
続く怪物とも戦っていく。
一回につき5匹ほどでやってくる怪物は実に倒しやすい。
これより少ないと稼ぎが減るし。
これ以上多くても、対処に困る。
初心者達のレベルがあと2つほど上がれば、もう少し多くてもどうにかなるだろうが。
一般人と同じレベル4とかレベル5ではこれ以上多いと対処が難しくなる。
もっとも、そう強い怪物というわけでもない。
一番弱い怪物は、平べったい虫のような形をしてる。
全長はおおむね50センチ。
動きも速いわけではない。
動きにあわせて野球バットや木槌で叩き潰せば一撃で死ぬ。
ただ、一度に何十匹とやってきたらさすがに手間取るというだけだ。
そうなってないだけでもありがたい。
また、昨日に比べれば新人達も慣れてきている。
攻撃の命中率や威力などはさほど変わらないが。
それでも手際よく怪物を倒していっている。
無駄な力みもなく、適度な力で倒していく。
おかげで長時間にわたる戦闘も無理なくこなせていく。
雰囲気も悪くない。
迷宮の中なのでどうしても緊張はする。
だが、悲壮感や悲哀は無い。
この逆に、やたらと意気揚々としてる、いわゆるハイな状態になってるという事もない。
命の危険はありながらも、程よく力が抜けてる。
気を張らずに済んでいる。
それが能力を最善に引き出す事に繋がっている。
こうした一日の成果は、昨日と同じ程度ではあった。
総額10万円分の稼ぎを得る事が出来た。
このうち半分を経験値に使い、残りは報酬としてそれぞれが手にする。
だが、手に入れるための労力は昨日よりも少ない。
気力・体力共に消耗が少ない。
探索に限らず様々な仕事や作業に必要な事だ。
毎回全力を出して疲れ切っているわけにはいかない。
必要なところに必要なだけの体力や気力を注ぎ込む。
これが最善の状態だ。
手抜きがトコトンまで出来るようになってるともいう。
そこまでではないが、サナアキ達の動きはそうなってきていた。
そんな4人との行動は今日で終わり。
さすがに明日以降も雇うための金がない。
なので、サナアキはあえて提案をしてみた。
「明日からは雇うための金がない。
でも、よければ一緒に迷宮に入ってくれないか?」
申し出に4人はすぐに返答をした。
「もちろん」
「こちらこそ」
「よろしく」
「頼みます」
明日以降もこの5人で活動する事となった。
それだけでもサナアキにとっては朗報だ。
今までまともに仲間と活動する事が出来なかったのだから。
だが、これでまた迷宮に挑む事が出来る。
食い扶持の確保に出る事が出来る。
運が良い、素直にそう思えた。
そして、もう一つ。
サナアキにとって大事な結果が出てきた。
先日勝った、数字合わせのクジ。
その結果がこの日に出ていた。
当然のようにその結果は、
「当たってる……」
それも、一番金額の大きい一等で。
この瞬間、サナアキはいきなり億単位の金を持つ事になった。
残りの人生、働かなくても食っていける程の。
そして確信した。
間違いなく、【幸運】の効果だと。
でなければ、クジが当たるわけがない。
偶然にしたって出来過ぎている。
幸運は都合の良い偶然であるかもしれないが。
「こりゃ、本物だな」
自分が得た能力についてはっきりと確信した。
【幸運】は文字どおりに幸運をもたらしてくれる。
よりよい結果をもたらしてくれる。
ならばどうするか。
【幸運】をもってる自分は何をするべきか。
そう考えながら夜が更けていった。
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