5 集まった者達の状態
「ども」
「ちわっす」
「こんにちは」
「……はい」
声をかけたサナアキに4人も返してくる。
反応は薄いがこれはしょうがない。
初対面はどうしても緊張する。
そんな4人と対面しながらサナアキは話を進めていく。
まずはそれぞれの情報を確かめるために、登録証を見ていく。
探索者事務所が発行してるもので、内蔵のICチップに個人の経歴などが記されている。
これらをスマホなどで見る事で、相手の状態を確かめる事が出来る。
もちろん、表示する範囲は所有者によって自由に設定出来る。
ただ、レベルやこれまでに迷宮に入った回数。
そして、迷宮に入って活動した総時間などは表示するのが一般的だ。
自分の能力を示すためにも、最低限これくらいは見せねばならない。
これすら拒否するなら、信用できない奴とみなされる。
また、強制的に表示される情報として、刑罰や様々な処分も表示される。
危険な迷宮探索だ。
あぶない人間をつれていかないようにするための措置である。
サナアキも集まった者達も登録証を見せ合っていく。
おかげでサナアキも集まった者達の事がある程度分かってきた。
予想通り、新人が多い。
それか、活動期間が長いだけのウダツの上がらない者だ。
才能や能力については期待出来ない。
しかし、十分である。
頭数は揃ってる。
それだけで今は良い。
それに、サナアキもえらそうに出来る程大したものではない。
なにせ、レベルは既に上限。
これ以上の成長はないのだから。
登録証を通じてこれは伝わっている。
だから隠す事無く伝えた。
「こういうわけだ。
だから俺には人が必要だ」
レベルが上がらない、だから同行者が必要。
正直に伝える、サナアキにはこうするしかない。
「そんなわけで今日一日よろしくな」
居合わせた者達は頷いていく。
サナアキの言うとおり、今日一日だけの話だ。
それで5000円に成果報酬がつくのだ。
こんなありがたい事はない。
集まった者達も、レベル4とかレベル5という段階の者達がほとんど。
なお、普通に生活をしてるだけでレベル4とかレベル5にはなれる。
このあたりが一般人の水準という事になる。
これらのほとんどが探索者として初心者。
長いものでも三か月の経験しか無い。
一番短い者だと、なんと昨日登録したばかりである。
正真正銘の初心者がいた。
一人だけレベル9がいるが、これは何年もかけてこの水準にしかなれなかった者だ。
スジが悪いのか、素質がないのか。
ウダツが上がらないという典型だろう。
ただ、死なずに今までやってきたというのは才能であるかもしれない。
迷宮で生き残るというのはそれだけで大変なのだから。
また、ケチをつける事も出来ない。
なんなら、サナアキもこういう人間なのだから。
それどころか、もうこれ以上レベルが上がらないのだ。
まだレベル限界になってないレベル9の者の方が未来がある。
それに経験者がいるのはありがたい。
新人3人を連れていく負担が減る。
そこは期待したいところだ。
「とにかく、今日は迷宮の中、1キロまで進む。
そこで怪物を倒していく」
まずは大雑把ながらやる事を伝えていく。
迷宮に入って怪物を倒すのは当然として。
どこまで進み、どういうのを相手にするのか。
これくらいははっきりさせねばならない。
「昨日登録したばかりの奴はともかくとして。
そこまで進んだ事のある者は?」
尋ねると、二人だけ手をあげた。
レベル9と、三か月の活動経験のある初心者だ。
この二人については妥当なところだろう。
むしろ、活動三か月以上でそこまで行ってないというならその方が問題だ。
「じゃあそこで怪物を倒す。
やり方は基本に忠実に」
それから迷宮での動き方について基本的な事を確認して。
昼前には迷宮に入っていった。
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