３ まだ運に全てをかけるわけにもいかないので
翌日。
いつも通りにサナアキは迷宮へと向かう。
今まで使っていた武器や防具を身につけ。
探索用の道具を背負い袋に入れて。
まだ金に余裕があるわけではない。
数字あわせのクジの結果も出ていない。
これが当たってれば、探索者をやめて悠々自適に生きていけるが。
まだ結果が出てない以上、油断は出来ない。
日銭を稼ぐためにも、迷宮に向かっておいた方が良い。
とはいえ、さほど気負う事もない。
残念ながら、もうレベルを上げる事は出来ない。
先が無いという事は悲しい事実だ。
しかし、見方を変えると、もう経験値のために苦労しなくて良いという事にもなる。
レベルと経験値による能力上昇。
迷宮と怪物とともにあらわれたこの現象。
これは人間に様々な可能性をもたらした。
ただ、レベルをあげるためには、怪物を倒して得られる魔力結晶を使う必要がある。
魔力は電力などにかわる新しい燃料だ。
だから換金する事が出来る。
しかし、レベルを上げるためには金にせずに自分に使わなくてはならない。
なので、手に入れた魔力結晶をどう使うかは悩みどころだ。
今のサナアキにはこの心配がない。
もうこれ以上成長しないのだから、全て金にかえてしまえば良い。
寂しい話だが、迷う原因が無いのは強い。
なので、今日からは手に入れた魔力結晶は全て換金していく。
また、今日は確かめてみたい事もある。
【幸運】の効果を確かめるために。
その為に、昨夜はネットからとある申し出をしておいた。
その結果を見るために、探索者事務所へと向かう。
「上手くいってればいいけど」
さほど期待はせず。
だが、よい結果になってるようにと願いながら。
ありがたい事に、結果は上々。
事務所で前夜に申し込んでおいた事がかなっていた。
早速その成果を待合室で確かめる。
出向いたそこには、４人の探索者が待っていた。
サナアキが求めてやまなかった仲間だ。
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