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1 絶望と失望は最大レベルに到達した瞬間に

「こんなもんか」

 真作賀まさかサナアキは能力一覧を眺めてため息を吐く。

 幾ばくかの期待はあったのだが、それは残念な結果になった。

 表示されてる能力値などは、決して芳しいものではなかったからだ。

「大器晩成っていってもなあ」

 己の手にした能力や特典を口にしてため息をもらす。



 世界がファンタジーになった日。

 人はレベルと能力を手に入れた。

 それは迷宮と怪物があふれる世界を生き残るための手段になっていった。

 サナアキも例外ではなく、能力の水準をあらわすレベルと。

 これらとは別に、人々に様々な恩恵や負担を与える特典を手に入れた。

 ただ、サナアキのものは、他とは経路が異なった。

 かなり、大幅に、だいぶ。



 サナアキの手にした特典は、【大器晩成】

 文字どおり、レベルが上がれば上がるほど能力などの上昇幅が大きくなるものだ。

 最初は冴えなくても、むしろ劣っていても。

 レベルを上げれば優秀になれる事が保証されている。



 これに加えて、【レベル上昇促進】という特典もあった。

 レベルの上昇に必要な経験値が少なくて済むものだ。

 これと【大器晩成】が組み合わされれば、将来有望と見て良いだろう。

 しかし。

 ここにもう一つの特典が加わると、これが残念な結果になる。



【レベル限界】

 サナアキが手にいれた、最後の特典。

 しかし、実態は災厄や呪縛といってもよいものだった。

 文字どおり、レベルを上げる限界が設定されてるのだから。

 しかも、サナアキの場合、上げられるレベルの限界は10だった。

 一般的な成人でおおよそレベル5~8。

 ごく普通に暮らしててもこれくらいにはなる。

 つまり、サナアキは一般人が到達できる限界くらいでレベルが打ち留めになってしまうのだ。



 さすがにこれには悲観するしかない。

 しかし、だとしても何もしないでいるわけにもいかない。

 生きていくなら食い扶持は稼がねばならない。

 その食い扶持を手に入れるために、戦わなくてはならない。

 迷宮からあふれる怪物と。



 世界中のあちこちに怪物があらわれたおかげで、人類社会は大混乱に陥った。

 当然、会社などが営業を継続する事も難しく。

 かなりの数の会社が倒産した。

 そりゃあ、そこらの道を怪物が闊歩してるのだ。

 まともな経済活動など無理というもの。



 当然訪れる大失業時代。

 時流に飲み込まれたその他大勢と共にサナアキも無職となった。

 会社が怪物の襲撃で壊滅してしまっては元も子もない。

 社長以下社員一同、これからどうしようと途方に暮れたものである。



 それでも、手にしたレベルと能力・特典。

 これを頼りに怪物退治に勤しむ事になった。

 襲いかかる怪物を倒さねば命が危ない。

 なにより、怪物を倒して得られる成果もある。



 そんなわけで倒産した会社の社員・パート・アルバイトの従業員一同は新たな一歩を踏み出した。

 怪物退治へと。

 サナアキもこの中の一員として、野球バットを武器に戦いに臨んでいった。

 自分の持ってる【大器晩成】に賭けて。



 しかし。

 現実は無情で非情である。

 程なくレベル10に到達したのだが。

 特に目立った変化はなかった。

 能力値はレベル10としてはそこそこ優秀であったが。

 だからといって超越・超絶したものというわけではない。

 平均や中央値よりは上。

 つまり、体力や知恵といった能力はレベル10で打ち止めとなった。

 これ以上はない。



 変わったところと言えば一つ。

【レベル上限】以外の特典が消えたこと。

 かわりに、新たな特典があらわれたこと。

 書き換わったというか、置き換わったというか。

【幸運】という特典がサナアキにもたらされた。



「これ、何の役に立つんだ?」

 疑問を抱くが答えはない。

 一応、特典の内容については、頭の中に浮かんでくるのだが。

『所有者にとって最善最良がもたらされる』

 こんな言葉というか声が浮かんでくるだけだ。

 具体的に何がどうなるとか、どう使えば良いとかは分からない。



「まあ、無いよりはいいんだろうけど」

 思ってたのとは違う。

 あてが外れたと思った。

 もと劇的に何か変わると思ってたのだが。

 サナアキが感じ取れるような変化は起こってない。

 特典が変わったというのが唯一の変化か。

 だが、それ以外に何が起こってるのか分からない。



 失意や失望がこみあげてくる。

 同時に、こんなもんか、という思いも抱く。

 あてが外れたが、しかし大きな期待もしてなかった。

 そうそう都合のよい事は起こらないと思って。

「まあ、これからも頑張るか」

 ため息をもらしながらも、サナアキは前向きになろうとした。

 むなしさや徒労感は拭えなかったが。



 しかし。

 この時のサナアキはまだ知らなかった。

 自分の特典が時空をも超え、宇宙すらも動かすものだと。

 過去すら書き換え、未来をほしいままに出来るのだと。

 それが彼の晩成した大器。

【幸運】という能力であると。





 とりあえず思いついたものを書いてみた。

 続きも書きたいが、かなり遅れることになると思う。

 気長に付き合ってもらえれば。



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