第8話 「転職先について」
「ニンメイちゃんは給料もそんなになかっただろうし、女の子は色々お金を使うと思う。転職活動は結構お金がいるけど大丈夫かい?」
「……マノワールさんが気にすることはありません! 少しくらいは……」
この子はまだ社会経験が少ない。
真面目な子だから本当に貯蓄しているのだろうけど、そんなものはすぐに吹き飛ぶだろう。
それほどに転職活動というのは難しいものだ。
「他の町に行くお金もないと、いい仕事は見つからない。下手なところに就職して、無為に時間を過ごせば、お金と時間を失うだけだよ」
「うぅ」
「だからお金貸してあげるからさ」
「それはダメですよ! わたしが逃げたらどうするんですか!」
「そんなことしないだろう。君みたいないい子はそうそういないよ」
善意から提案案すると、断固として断るニンメイちゃん。
そしてとんでもない事を口走る。
はした金で派遣される冒険者なんて危ないし、骨折り損のくたびれ儲けだ。
「お金を借りるくらいなら、借金します! それか冒険者として働きます!」
「何をバカなことを!? 危険だよ! もし転職がうまくいかなくなったら、借金取りが職場にまで押しかけてくるよ!」
「えっ……? でも嫌です! お金のことはちゃんとしないと、お互いにとってよくありません!」
「参ったな……」
この子も頑固なところがあって、受け入れてくれない様子だ。
冒険者などと口にされては、心配すぎる。
女の子が借金なんてすれば、骨までしゃぶられてしまう。
本当に悪辣で、無職の女の子なんて難癖付けられて、恐ろしい利率を。
それも頼れる人がいない子を、食い物にするやつばかりだ。
領主様は庶民の借金になんて、全く興味も示さないし。
この町は本当に裏では物凄いことをやっているんだ。
昔の血みどろの時代を知らないこの子には、想像もつかないだろう。
「話を戻すけど、僕達は糊口を凌ぐための日銭が欲しい。初任給が振り込まれるまでにも色々持っておきたいし、転職にも何かと入用だろう」
「確かにそうですね。転居する可能性も高いのですし、マノワールさんの言う通りお金が必要でした……」
ここまでの道中で考えていた。
スキルも体力も上がるし、お金も稼げる。
一石二鳥どころではないが、女の子にはやらせたくないけど仕方ないか。
「実は最近の話だけど、冒険者として魔物を狩っていたんだ。多少の小遣いならば、身体が持つ限りはいくらでも稼げる」
「だからステータスが上がっていたんですね!」
肉体労働、それも怪我しやすい働き方なんて本当はしたくない。
それでも今やらないと、肉体労働者のまま老いていくだけ。
だからこそ色々模索していた。
事務の勉強をしたのもそうだ。
結局はあまり使えないし、認められないものだったけれど。
「体も逞しくなって、素敵です……ポッ♡」
「はは。今までよりもかなり動いているからね」
最近気になっていたお腹周りも、シェイプアップ。
筋肉質になってきたかもしれない。
なぜか薄着になった僕の身体をチラチラ見ているニンメイちゃん。
実は暑苦しくて、見苦しかったのだろうか?
オッサンの身体のシルエットなんて見せて、申し訳ないな、
でも汗が籠ると臭いの問題があるし、薄着じゃないと迷惑をかけてマズいんだ。
「君の今のステータスを教えてくれないか? それによってやることを変えようと思う」
「わかりました」
ステータスは他人にあまり見せないもの。
個人情報だし、それを基に酷いことをされないためにも、他人に安易に晒してはいけない。
「すごいね! 素早さと……それに気配察知スキルまで!」
「足は同世代の中で一番速かったんです! かくれんぼも一番うまくて、敵なしだったんですよ!」
胸を張って自慢する。
遊びの上手さをアピールしちゃって、かわいい子だな。
だが色々考えられた。
ニンメイちゃんのステータスは、とても重要な事実が存在している。
彼女と俺は非常に好相性なのかもしれない。
「君にだけ僕の職業の秘密を教えようと思う」
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