第7話 「ニンメイへの責任」
「あーイライラする! あの人たちマノワールさんの仕事のこと何もわかっちゃいない! マノワールさんがどれだけの仕事をやっていると思ってるんですか! 裏方仕事は全部押し付けて! あんな会社潰れるに決まってますよ! 経営のケの字も理解していない!」
殺気だっているニンメイちゃん。
この子まで勢いで辞めてしまうとは。
身長もまだこんなに小さい。
こんな女の子まで僕のせいで失職してしまった。
でも親方は何を考えているんだ。
それだけは何が何でも許せなかったから、彼女の言葉を否定できなかった。
「まぁまぁ」
「去年なんて、赤字決算で終わった時、マノワールさんに理不尽に詰め寄っていたのを覚えてないんですか! ショワジ親方がお得意様だからって、サービスしすぎたせいですよ!!!」
確かにあれは苦労した。
方々に頭を下げて、何とか交渉を詰めて、ギリギリで利益をひねり出したのだ、
「他の人もわたしを口説くばかりで、手伝いなんてしてくれなかったくせに。わたしとマノワールさんが事務作業していても、ニヤニヤしてバカにしながら手伝ってくれなかったんですよ!!! マノワールさんは忙しい中でも、わたしを丁寧に指導していてくれたのに!」
「そんな悪口を言ってはいけないよ。悪口ばかり言う人になってしまう」
「うぅ。すみません。でも言う時は言わないと、マノワールさんは前みたいに騙されちゃいますよ」
「ごめんね……僕なんかのために怒って、こんなことまで……」
本当に申し訳ないと思う。
僕はもうやっていけなかっただろうけど、この子は違う。
なんでこんなことをしたのか、
あの職場が嫌だったのもあると思うけど、もう少し準備してから辞めるべきだったはずだ。
軽はずみにしていい事ではない。
「でも僕みたいなうだつの上がらないやつと、一緒に辞めることなかったじゃないか。」
「マノワールさんは凄い方です! わたし見てましたよ! 今日だって凄い仕事ぶりだったじゃないですか! マノワールさんなら凄いことをできるって思ってるんです!」
「少しは成長したかもだけど、そんな大したことじゃないよ」
「常に謙遜するところが、マノワールさんのいいところです」
いつも僕のことを持ち上げてくる。
僕をダシにして彼女は辞めたのかもだけど、でも着いて来てくれるのは慕ってくれるからと思っていいのかな。
「買い被りだけど……でも多少はやれるはずだ」
「いえ! 心機一転頑張りましょう! ダメでも私が養ってあげます♪ マノワールさんみたいなすごい人なら、仕事が見つからないなんてこと、絶対ないでしょうがね! よく他社からも、引き抜きで勧誘されていたじゃないですか」
あれはリップサービスだろう。
俺みたいなやつは替えが効く歯車だ
探せば掃いて捨てる程いるだろう。
そんなことよりも、この子の人生を捻じ曲げてしまったんだ。
責任を持たなければ。
「君のことを責任を持たないといけない。絶対に次の職を探そう」
「なっ!? なななななななな」
なんだか顔を真っ赤にさせているニンメイちゃん。
熱でもあるのだろうか?
「よっ……よろひくお願いしまひゅ……♡」
「うん。よろしく」
彼女は優秀だ。
俺も少しはできるようになった。
二人で力を合わせれば、きっと転職できるはずだ。
面白い、または続きが読みたいと思った方は、
広告下↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓の☆☆☆☆☆から評価
またはレビュー、ブックマークしていただけると、モチベーションに繋がりますので執筆の励みになります!!!!!!!!!!