表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/241

第4話 「同僚からの嫌がらせ」




 帰ってから久しぶりにいい気分で寝れた。

 オーエラさん。素敵な女性だったな。

 僕に気があったりして……ってそんなわけないか。


 


「凄く軽いな……みんなはこんな感じで働いていたんだな」



 今までは全身で動かしていた資材も、片手で運べる。

 日に日に衰える体、遠ざかるあの頃の甘酸っぱい思い出が嘘のように見違えた。

 いや過去は覆らないか。変えられない過去は置いておく。


 筋力だけではなく、体力も上がっているので、業務効率は倍どころではないだろう。

 同僚と差がつくわけだ。




「待てよ? 日頃の作業も工夫して、楽にできるのでは?」



 ふと思い至るカイゼン。

 勝算はあったので、試してみた。




「アース! これで資材の搬出を楽にできれば……」




「おい! 何やってる! ガキみたいに土の中に潜り込みやがって!」



 後ろから怒鳴り声。

 猫みたいな顔をした同僚だ。

 態度は悪いが、業務には真面目だからな。




「職場で変な小屋作ってサボるな。ったく役立たずが……職業自宅警備員なら、家にずっと引き籠ってればいいんじゃないのかぁ?」


 怠慢に浸っていると誤解されて、説教される。

 今回ばかりは正論だ。


 遊んでいるようにしか見えなかっただろう。

 後で説明するか。

 親方にでも伝えておくか。






「もうこんな時間か。捗ったな~!」



 身体能力が上がったおかげで、過去最高を超越した。

 今の経験に、若い頃の身体があればと妄想していたが、それ以上の出来栄え。




「進捗報告に行くか」


 報連相は社会人の基本。

 自身の作業結果を伝えるために、僕はある方向へと歩き出した。




「これは俺がやった!」


「すげぇじゃねぇか!」


 しかし報告に行った先で、衝撃の言葉を聞かされる。

 ショワジ親方に、同僚の一人が絶賛されていたのだ。

 僕の作業内容を、自分がやったのだと主張して。


 仕事仲間から仕事を盗まれたということ。

 僕に先んじて報告された結果、僕の実績は奪われてしまった。






「って親方!!! それは僕がやったんです! おい! 人の仕事を盗むとは大概にしておけ!!!」



 余りの怒りに、口調荒く問いただした。

 絶対に許せない。




「バカ野郎!!! お前らの仕事ぶりは、俺が一番知っている!」



「親方!? そんな……」



 期待外れの極致の反応、つまり僕の方が一喝される。

 物凄い怒りようだ。






「マノワール。お前は仕事ができなくとも、正直に着実にこなしてくれる奴だと見込んでいたが……お前がそんな野郎だとは思わなかったぞ!?!?!?」


 親方の怒りの言葉に、俺の怒りは霧散した。

 信じてくれないという事に、もう気力を失ったのだ。




「もう帰れ! 顔も見たくない」


「はい」


 項垂れながら、現場を後にする。

 ああなった親方はもう人の話を聞こうとしない。


 どうやって説明したものか。

 これからまた仕事の成果を取られるかもしれない。






「あーあ。情けない奴だ」



「人の仕事の成果を取るなんて、しかもできもしないようなバレバレの嘘つくなんてな」



「あんな嘘つきオッサンにはなりたくないよ。さっさと辞めねぇかな?」



 若手の連中が僕の横で嘲笑っている。

 それに追随して、他の奴らも同意し始めた。


 非常に居づらい。

 俺はそそくさと荷物をまとめて、帰り道に就いた。




「おうオッサン! さっきは見事に喧嘩売ってくれたじゃねぇか。面貸せよ」



「お前……」



 こぶしを握り締める。

 レベルは上がったが、素手でこいつには勝てないだろう。


 喧嘩慣れしている相手。

 安易に手を出せば、返り討ちだ。


 こいつはそれをわかって嫌味を言っているのだ。

 小馬鹿にしてくるが、僕はやり返せない。






「わかってると思うが、お前がやった仕事。ぜんぶ俺が作ったことにしてたんだわ! お疲れさん!」


「お前……!」


「お前みたいなオッサンの言う事なんぞ、誰が信じるかバーカ」


 厭味ったらしく表情を歪めるクズ。

 手柄を横取りされ、卑劣に評価されても何もできないことが悔しかった。

 心はボロボロに打ちのめされて、反論する気さえ起きなかった。






「マノワール!!! 何絡んでやがる! お前には心底呆れたぞ!」



「ショワジ親方」



「お前はもう帰れ! マノワールは居残り作業だ! 人様に迷惑をかけるのも、いい加減にしろ」



「そんな……」



 まだ夕日は沈んでないが、こんなところで危険な作業をするのか? 

 下手したら死にかねないぞ。




「危ない仕事はもう暗いからさせねぇ。だが書類仕事は残ってる!」


「はい……」


 社長に居残りさせられて夜遅くまで働くが、体力はあるので大丈夫。

 慣れた書類仕事だが量は膨大だ。


 僕とニンメイちゃんでほぼすべてを捌いているのだから。

 数十人規模の会社の書類だ。

 とても二人ではこなすのは難しい。


 でもニンメイちゃんは普段負けずに頑張ってくれているんだ。

 先輩の僕も頑張らなければ。




「そうだ! 余った時間はモンスターを倒そう!」



 考え事をしながらルーチンワークをこなしていく。

 せめて楽しい事や希望があることを考えて乗り越えよう。




「そうと決まれば、廃材置き場に確か、色々使えるものがあったはず……!」



 廃材を利用して槍にしたりして討伐する。

 気分が楽になってきた。


 そうして僕はレベルアップに勤しんだ。

 自分の人生を豊かにするために、こんな思いをしないように努力して再起するんだ。










面白い、または続きが読みたいと思った方は、


広告下↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓の☆☆☆☆☆から評価


またはレビュー、ブックマークしていただけると、モチベーションに繋がりますので執筆の励みになります!!!!!!!!!!





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


旧作も読んでくださると嬉しいです!

 『異世界神様チート貴族転生したら、女装して女学園に通って悪役令嬢を誑かして婚約破棄させるように言われた。クラス転生していた悪役令嬢に男バレして追放されたがもう遅い。聖女(?)として復讐だざまぁ!』

テンプレ末期戦異世界チート転生女学園潜入もの書いてます。
こんなタイトルですが、神々の争いに主人公が巻き込まれるシリアス戦記です
 

 『追放ザマぁジャンルの研鑽について、また個人的対策案の成否に関する所感』

初エッセイです。本作品を基に書きました。
また初創作論です。
追放ザマぁジャンルを執筆する作者として、自分なりに反省点を交えた考察。
追放ザマぁの構造的問題への解決につながるかもしれないアプローチ。
新追放ザマぁシステム『連続追放』を通して分析することで、違和感なく楽しみながら完読できる小説を目指すという、ジャンル全体における質の向上を目標とする文章です。
皆さんの目で、お確かめ頂ければともいます。


一日一回投票いただけると励みになります!(クリックだけでOK)

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[一言] こういう横取り系は嫌ですよねぇ。 そしてこういうのに限ってトンデモない目に遭うのをようつべで何度もミタゼ……期待してるぜ(`・ω・´)
[気になる点] 「どうやって説明したものか。これからまた仕事の成果を取られるかもしれない」 オークを倒せる実力があれば、その能力で暮らせていけるのでしょう。この会社に拘りつづる意味が分からないな。
[良い点] 努力が報われないのは少し切ないですね……。 同僚に恵まれない、職場に恵まれないと言うのは本人ではどうにもならない要素があります。早く報われて欲しいです。 [気になる点]  強烈なざまぁが待…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ