第3話 「オークとの戦い 判明するチート能力」
ブタのような頭部に、成人男性ほどの体高。
だが横幅はそんな比じゃない。
女性の胴ほどある腕の太さ。
人間まで襲い、食らう害獣だ。
その膂力は鍛え上げられた大の男を凌駕する。
それが獣の嗅覚で、かつ道具まで使って人を襲うのだ。
とても一般人には抵抗できないとされる。
「でもやれるはずだ……いくぞっ! アース!!!」
巨大な土塊を出して射出する。
たとえオークだろうと、ひとたまりもないだろう。
弾き出された土塊は、オークの足に着弾した。
爆発するように敵に降り注ぐ。
ドゴォッッッ!!!!!
「ブモォォォォォッッッ!?」
断末魔を上げる醜悪なブタのような怪物。
俺はいそいそと出て、オークの首筋にとどめを刺した。
「やった……! オークを一人で倒せるなんて!」
凄い戦果だ!
皆に自慢できるくらいの!
僕は笑みを抑えきれずに、森から帰った。
思っていた以上の結果だ。
「オークを倒すなんて! 初心者なのに凄いです! 何か格闘技でもされていたんですか!?」
「はは」
「って冒険者歴10年。討伐実績はありませんでしたが、かなりの経歴ですね。失礼いたしました」
俺の冒険者履歴を確認しながら、受付嬢のお姉さんは興奮していた。
歴だけはあるが、ほとんど行っていないんだよな。
まぁそんな人は探せばたくさんいるけど、勘違いされたらしい。
オークまで倒せる一般人なんて、いるとは思わないだろうから。
「でもすごいです! 本業は違うのですよね?」
「ええ。土木作業員を」
「そうでしたか! 肉体労働とは言え、オークを狩れる方はほとんどおりません! 凄いスキルや職業を持っているのでしょうね」
「いえ。大したものではございません」
オークを一人で狩れれば、そこそこの生活をできる。
それも本業でないのに独力かつ無傷でできるとは、余程の良スキルでもないと無理だ。
なんだか期待させてしまった様子。
キラキラと輝く目で見られている。
「とても紳士的で素敵です! それに知的で……あっすみません! 資格取得欄がものすごい数で、つい見入ってしまって!」
「年の功のようなものですよ。知的などとはとんでもない」
「そんなご謙遜を! ……あのぉ、お子さんはいらっしゃらないんですか? とても素敵な人そう!」
僕の年頃で平均的年齢の子どもがいたなら、この人の若干年下くらいだろう。
机から乗り出して、僕を見つめている。
でも周りが結婚し始めてもう20年近くになる。
ジメッとした感情が表出しそうになるので、ここで思考停止の出番だ。
「いえ……恋愛ごとには、まったく縁がなくて……」
「そうなんですか!? こんなに優しそうで、強いのに!? 冒険者の女性の方から、きっとモテモテですよ! 冒険者の男は弱いくせに粗暴だって、いっつも愚痴られていて困っちゃうくらいで……」
「受付嬢の方も大変ですね。あなたは素敵な女性ですから、愚痴られるのも仕方ありません。でも自分を大事にしないと潰れてしまいますよ。あなたが心配です」
「あわわ」
しどろもどろになる銀髪のお姉さん。
業務の愚痴を、顧客にしてしまったことになるからな。
まだ若いから仕方ない。
冴えないオッサンなんかが若い子と話せるだけでも、過分だ。
「私オーエラと申します! あの! 是非覚えて頂ければ! ……ステキなおじ様とお近づきになれるかも……!」
頬を赤らめて自己紹介する、オーエラさんと名乗る受付嬢。
最後の方がよく聞こえなかったけど、微笑ましいな。
仲良くなれるに越したことはないので、愛想よく承諾を返答する。
冒険者生活も潤いがあって楽しみだ。
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