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まちがい携帯電話

作者: 輪魚
掲載日:2009/12/10

念願の携帯電話を手にいれたぞ!

女子高生なのに、いまどき持ってないなんて…なんて言われ続けて長かったけど…

これで晴れて携帯デビュー!!


親に「携帯電話なんて持つもんじゃない!」とかナントカ言われてたけど、バイトして自分の金で買って、自分で金払う、という条件でしぶしぶOKをもらった。

だから、手に入れたときはものすごく嬉しかった。


と、思ったのもつかの間。

間違い電話が来るわ来るわ。


しかも、それらはみんな特定の人あてだったりする。


「あの…サワムラさん。みかです。」


「メッセージは一件です。ピー。…あの、木村みゆきです。1時に、体育館の裏で待っています。」


「ハジメ!なんで今日きてくれなかったよの!」


「サワムラ君…あの…私…あなたのことが…」


「ちょっとアンタだれよ!ハジメを出しなさいよ!」


おそらく、サワムラ氏が携帯電話を解約し、私が同じ番号で新規契約した…ということなんだろう。

が。

いくら説明しても、電話の相手達は私がサワムラ氏となんの関わりも無いと信じてくれないのだ。


 サワムラ氏はとても嫌な奴っぽい。

そして、女たらしっぽい。

 だから、私が無関係だと主張しても、サワムラ氏の新しい彼女がごまかそうとしている、と思われるらしい。


 非常に、腹立たしい。


 なんで私が、縁もゆかりも無い人たちに電話で時間をとられ、しかも疑われ、罵倒されなければいけないのか!!

迷惑の大元であるサワムラ氏にきっちり慰謝料でも貰いたいくらいだけど、サワムラ氏の所在なんぞ分かるわけもない。


 そんな感じでモヤモヤとした日々を送っていたわけである。

 しかしある日、留守番電話サービスに、有効な手がかりがのこされたのだ!


『すいません、○×大学ですが、用件があるので学生課の田中まできてくれますか?』


 敵は○×大の学生…!


 私は、会って事情を話し、謝罪させ、周囲の人間に電話番号の訂正をさせる事を決意した。


そうして大学に乗り込み、学生課というところにいって田中氏を呼び出し、留守番電話を聞かせた。


「今お聞かせしたとおり、サワムラ氏がこちらに登録されている電話番号は、現在私が使っています。

そして、サワムラ氏は他の人に電話番号変更の連絡をしていないらしく、私は迷惑しています。

 それに、サワムラ氏宛の個人的な留守番電話も録音されているので、できれば、サワムラ氏に直に会って、伝えたいのですが…」


 そういうと、あっさり許可された。

 どうやらサワムラ氏は学生課に4時(15分後だ。なんていいタイミング)に呼ばれているらしい。

留守番電話だけでは心配で、授業を受け持つ教授に伝言を頼んだという。

だから確実に来ると思うし、簡単な用件なのですぐ終わると思うから、その後話したらどうか?と言ってもらえた。

 よし、これで直接会って、文句言い放題だ!


 そうして、学生課の脇で進められたイスに座って持っていると、サワムラ氏らしき男が現れた。田中氏に名乗っていたから確実だ。

なるほどなぁ。結構いい男だった。

こりゃタラシになっちゃうかもな。

 でも、迷惑をかけられたことは許さないけど。

そりゃ、顔は良いに越したことはないけど、面食いってわけじゃないしね。

 そんなことをぼーっと考えていると、田中氏の用事は終わったらしい。

田中氏に言われたのか、サワムラ氏が近づいてきた。


「ええと…どうも、オレが無精したせいでご迷惑をおかけしたそうで…

お詫びといっちゃなんだけど、学食のカフェで、ケーキでも奢りますよ」


 その言葉につい乗ってしまったのが間違いだった…



 学食のケーキはとてもおいしかった。

 値段もリーズナブルと言うこともあり、どれにするか迷っていたら全部買ってくれた。

 そうして私がケーキを食べている間、サワムラ氏に電話を渡し、勝手に留守番電話を聞いてもらった。

買ったばかりの携帯にはまだ個人データは入れていないので、渡しても問題はない。


 そうして、ケーキと紅茶を楽しみつつ、文句を言っていると、背後に人の気配がした。


「ハジメ君…それが新しい彼女?」

 あー…電話越しに何度か聞いたことのある声…

 なんて説明しようか、と悩みつつ、とりあえず口の中のケーキを飲み込むべく咀嚼していると、

「ああ、そうだよ。」


 サワムラ氏が、あっさりとそう答えた。


 普通ならここでなんじゃそらー!とでも叫んで否定するところなんだけど…

口の中にケーキが入っている事が災いして、それができなかった。


そうして私がタイミングを逃したあと、学食は一時混乱して……

 その後も誤解を解く暇もなく……


 気がつくと家にいた。



 あああ、なんなんだか…


 でもまぁ、これでもう私に間違い電話が来ることもない。

 それだけはあの場でサワムラ氏がきちんと回りに言ってくれたから。

「携帯は解約した。」と。

 それに、どうやらサワムラ氏の電話番号は知らないうちに女性(しかも思い込みが激しい?)数人の間に流布していて、迷惑電話が多かったらしい。

 私も経験したあれらは、サワムラ氏にとっても身に覚えのない物が大半であったようだ。

 だから、もうそういうことはするな、激しく迷惑だ、と言い切っていた。

「学校を通して、あの番号の新しい持ち主から抗議もあった。

普通の間違い電話じゃそこまでの行動にでないだろう。君たちの行動はそれだけ迷惑だということだ。」

 と。

 いや、そこまできちんと言い切れるなら、最初から言えばよかったんじゃ…?

ていうか、私を彼女って偽る理由は??


…まぁ、ケーキ代として、サワムラ氏の女性関係の清算の手助けをした、と。

そう思っとくかな。

 これで、平和な日々が戻ってくるんだろう。


 …と、携帯電話が鳴った。

 ディスプレイを見ると「澤村 始」とかいてある。

誰だ…とちょっと考えて、すぐにサワムラ氏の顔が浮かんだ。

 学食で渡したとき、ついでに自分の番号を入れたというのか…


 あああ…


 まだ、私に平安な日は訪れないらしい…

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