第2話 疎まれ公爵令嬢は転生者である
専属メイドのアリスに抱かれ部屋に行く途中で、専属騎士のカイトも合流し一緒に部屋に行きベッドに寝かされるとアイリスは考え始めた。
私は、こことは違う日本という国で生きていて、結婚が決まり寿退社することを会社に伝えたある夜、後ろから襲われそのまま死んだ。
襲ってきた犯人は、後ろからだったので顔は見えなかったが何か言っていた声からして、上司で不倫を迫ってきて断ると、ストーカーとなった有村部長だろう。
そして、もっと生きることができ、もうすぐ幸せになるはずだったのに死んでしまった。
私は、神様から異世界転生者を提案され、魔法が使える世界と聞いて即その提案を承諾した。
今まで忘れていたが父であるイルムに叩かれて、頭を打った時に思い出したのである。
私は転生者であるということを……
更に神様からの転生特典で魔力∞、この世界に存在する全ての魔法が使え、更に神様しか使えない創造魔法もつかうことができる。
スキルもたくさんくれたけど、人の心を読めるスキルだけ外された。
私の性格からして人間関係で悩みを抱え世界を楽しんでもらえなくなってしまうとのことだ。
確かに、人の思っていることがわかれば便利ではある。
ただ、いいことだけではないので、私は悩んでしまうだろうな。
心を読めるスキルがあってもなくても既に一部を除き家族や使用人との関係は最悪だけどね。
冗談なのかわからないが、私を捨てると言っていた。
ある程度成長すれば一人でも生きていけるけど、その前に捨てられてしまったら……
このままでは、折角転生させてもらったのにすぐまた死んでしまうかもしれない。巻き込んじゃうことになるけど、味方になってくれそうな人に頼らなきゃだね。
「アイリス様、何を唸っているのですか？オムツ交換ですかね」
考え事していたら唸っていたらしい。
アリスさん、おしっこやうんちをしてしまったわけではないので、オムツの交換は大丈夫です。
「あらしてないですね」
「そうだな」
オムツの確認をしたアリスさんがそう言って、カイトさんが相槌をうった。
転生者だとかは話せないけど専属メイドのアリスさんと専属騎士のカイトさんなら味方になってくれるかな。
でも、どうやって味方になってもらおう？0歳児の私が話しかけたら驚くだろう。
気味が悪いと思われてしまったらかえって逆効果だろうからどうしたものか考えていると、部屋に数人が入ってきた。
兄であるカイル兄様、カイル兄様の専属執事のセバスさん、専属メイドのマリーさん、専属騎士のトマスさんだった。
「アイリス、痛かったな」
そう言って、カイル兄様、父に叩かれた私の頬をさすった。
カイル兄様、倒れて頭をうったので頭も撫でてください。
そう思っていると、驚きの顔を見せたあと笑顔で今度は頭を撫でてくれた。
カイル兄様は、顔が整ったイケメンで両親と同じ金髪で私と色は違うが碧と深紅のオッドアイの容姿をしている。そして、家族で唯一私を可愛がってくれている。
カイル兄様の専属たちもカイル兄様の気持ちを知っているので私を可愛がっている。
因みに他の家族は両目とも父と姉は碧で母と次男は深紅だ。
転生者だってことは話せない。
カイル兄様なら何も言わずとも味方してくれるだろうけど、次期公爵家当主だからカイル兄様を不幸にさせてしまう可能性もあるので難しいだろう。
カイル兄様が当主になるまで私が公爵家にいられれば別だけど……
「！！ みんなちょっと部屋から出てて部屋の外で待っててもらえるか、済んだら声かけるから」
「かしこまりました」
私が考え事をしていると、カイル兄様が大変驚いた顔をしてみんなにそう言った。
私がカイル兄様の言葉に内心驚いていると、私とカイル兄様を残しみんな部屋から出ていった。
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