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そして僕はまた、さっき、そう言ってもいいと思う場所で目を覚ます。
初めての時のような混乱は、流石に無い。なんというか諦めもついているし、それよりもやらなきゃいけない。そう思う事が有るから。
さっきまで、それぞれに色々話していた。そんな事を思い返す。
用は、誰が一番怪しいのか。参加者ではない、恐らくゲームクリアその邪魔をする誰か。それを探さなければいけない。
もしもあの場に5人だけだったら、こんなに悩まなくてもよかった。僕よりもずっと色々と考えている大人がいるんだから、任せてしまえばよかった。でも、そうは行かない。さっきまでの事を思い返せば、皆怪しく見えて来る。
カードを探してない、拾ってないと言っていたのに、ルールが記録されていた夢乃さん。
話し合い、その場の主導権をいつの間にか握っていた鏡音さん。
当たり前のように武器、サバイバルゲームで使ったからと言って、実物が使えるとは限らない水之江さん。
ゲームに勝った、そのはずなのにゲームが終わっていない古満さん。
そして、ただ非協力的で、場を荒らしていた名前も知らない男。
むしろ、僕を殺したその男。この訳の分からない状況に、僕と同じく慌てていたその男が、まだ信頼できる。
他の誰も彼もが、なんというのか、ただ怪しい。信頼できない。
これが、例えば、今は顔も思い出せない友人だったり、そう言った相手ならもう少し簡単に決めたかもしれない。あの場ですぐに、今は僕だけが知っているそのルールを公開したかもしれない。でも、流石に無理だ。
持っていたパッドにしても、画面は何故か本人しか確認できない。口にしたルール、それが正しい事は分かっているけれど、他の人だってルールを別に手に入れている可能性だってある。それこそ、僕だけ二つ。そんな都合のいい事も無いだろうから。
「さっきとは、とりあえず逆に行こうかな。」
わざわざ前殺された場所、そこにまっすぐ向かうのもあれだからと、そうすることを決める。とにもかくにもルール、それを探さなければいけない。それからヒントを。
話し合いの中で、一応攻略に失敗したら、文字通りの結果になる、そう言われているのだから。
「で、今回は。」
だからと言って直ぐに動き回らずに、まずは部屋の中を確認する。カードが相変わらずあるかもしれないから。
そして、案の定。さっきと同じように2枚のカードが枕元に置かれていた。
一つはさっきと同じ、僕の名前とプレイヤー番号が書かれた物。それからもう一枚。ルール16と書かれたカード。
内容は、危害を加えたら、そう書いてあるものだ。
「やっぱり、ランダム要素っぽいね。えっと、だとしたら、なんかすごい確率低いんだっけ。」
鏡音さんは、それを聞いて直ぐに計算していたけど、僕にそんな事が出来る訳もない。
一応、あくまで念のために、そのカードを二枚とも放り込んで、部屋に他の者がないか探す。
最初に来た時は何かと慌てていたし、パッと見て何もないと決めつけたけど、机のこともある。もしかしたら開かないように見えている場所も空くかもしれない。
実際のところは、外に出てまたあの男に襲われるのが怖い、それもあるけれど。
それからしばらくの間、壁や床を触り、ベッドを動かしたりと。なんというか、我ながらあまりにも総当たり、そんな行動を繰り返す。結果として、何もない、それが分かっただけではあったけど。
「まぁ、そう簡単には行かないよね。」
そう、そもそも広い場所で、話し合い、確認の場が別にあるんだ。ならそんな一か所にヒントを纏めたりはしないだろう。それこそ裏をかいてなんてこともあるかもしれないけど。そうなると、僕にはいよいよお手上げだ。どうしようもない。総当たり、思いつく限りを試す。もしくは、怪しいけど、一人だけしかいないんだ。それこそ二人にどう動けばいいかを聞いて、それから決めればいい。どちらもやってみて、その結果を伝えれば、僕が気が付けない何かを気が付いてくれるかもしれない。
なんというか、とても他力本願に聞こえるかもしれないけど。じゃあ君がやってみるといい。僕や君よりも、多分ずっと頭のいい人がいるんだ。そりゃ、任せるさ。一応、出来る事はやるけどさ。
誰に向けて不満を言っているのかもよく分からないけど、そんな事を考えながら、十分調べたものとして、部屋をでる。
そして、部屋の外にでると、なんだか変な匂いがわずかにする。嗅いだ覚えのない。近いと言えば、なんだろう。肉が腐ったとか、そんな感じに、こう、錆びた様なにおいと言えばいいのかな。
とにかく、慣れない匂いだけど、嫌な臭い、思わず鼻をつまみたくなる。そんな匂いだ。
部屋の外はさっきまでと同じ。右に曲がるか左に曲がるか。右にいけば、前と同じ、左に行けば、新しい道。
匂いは、右、前と同じ道から。
嫌な臭いで、その原因が無くなって欲しい、二度と嗅ぎたくないと、そうは思うけど。今はそのにおいの原因を確かめるより先に、これまで行った事のない道、それを確認しなければいけない。
「足を引っ張る、その自覚はあるんだよね。」
他にここにいる人たちは、当たり前のように他の人を殺した。その手段を模索した。
「でもさ、僕には無理だから。」
そう、それをやってもいいと思えないし、どうやったら出来るかもわからない。
「なら、まぁ、情報くらいは。」




