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Episode 8


2日目。

私はいつも通りに家事を終わらせた後にログインした。


ログイン位置は昨日サーちゃんと話していた公園のベンチ。

今日も今日とてルプス森林にて採取や戦闘を行うつもりだ。

そして出来るのなら、アーちゃんから戦闘について教わろうかと思っている。


昨日と同じ道を辿り、森林の方へと向かっていく途中。

出店を出しているプレイヤー達を見かけることが出来た。

そこに出されているアイテムを横目でみていると、大体が薬草や何かくすんだ緑色をしているポーション等、初期ならではのモノばかりが並んでいた。


……うん、やっぱりまだプレイヤーから物を買うレベルじゃないみたいだね。

プレイヤーと繋がりを作る、という意味では今のうちから気になった人と交流しておくべきなのだろうが……まぁ、それは後でもいいだろう。

私は何処か足早に、その場から離れ森へと急いだ。


<ルプス森林 浅層>


「【喚起(サモン)全契約(オール)】」


森に入った瞬間、契約の書を開き赤ずきん3人を呼び出す。

流石に昨日の今日でサーちゃんだけを呼ばない、というのは喧嘩を売ってるようにしか思われない。

呼んですぐ、こちらへと抱き着いてくるサーちゃんの頭をなでつつ、アーちゃんへと話しかける。


「アーちゃん」

『何?一応敵なら近くにいないわ』

「そう?ありがとう。……まぁ聞きたいのはそうじゃなくて。昨日最後の方で何かスーちゃんと話してたじゃないか。アレについて歩きながら聞こうかなって」

『あー……あれね。いいわよ』


そう言って、今日は私とアーちゃんが前に、その後ろにサーちゃんとスーちゃんがついてくる形となった。

今回も、目指すは出来る限りの奥だ。

出来れば深層か中層という表記くらいは見ておきたい。


『で、まぁ。そうね、昨日話していたことだけれど』

「うん、なんか【契約】的にアウトなんじゃないかって話してたねぇ」

『実際それに近いから。……と、色々話す前に私達の事について改めておさらいしておいた方がいいかしらね』


そう言いながら、アーちゃんは猟銃をどこかへと向けつつ話す。

恐らくはそちらの方向に人狼か何かがいるのだろう。


『いい?私達……ここにいる3人の赤ずきん以外の、【契約】を結べる人物たち。貴女から見て私達はどういう存在かしら?』

「どういう存在……それはAIとかそういうのじゃなく?」

『そうね、メタ的な所ではなく』

「……それこそ、この世界の中に実際に存在している登場人物(NPC)だとは思ってるかな」


アーちゃんは私の回答を聞いて静かに『なるほど』と呟いた後に、銃の引き金を引いた。


<レッサーウェアウルフが討伐されました>


ログが流れたものの、今はそれを気にする必要はないだろう。


『まぁ、間違ってないわ。そうね、間違ってない。でも正解ではないわ』

「あは、じゃあ君らはなんなんだい?」

『……私達は、過去の亡霊。ここに限らず、世界各地に存在する領域の戦いに参戦し、その最中命を落とした者たちの霊』

『まぁ、つまりは私達もう死んでるんですよね』

『ちょっとスー』

『いや、アーちゃん突然回りくどい言い方するんですもの。こういうのは簡潔に、ですよ』


何やらアーちゃんとスーちゃんが言い合っているが、それはいいとして。

彼女たちが霊。幽霊。

あの実際には触れることが出来ない、ぬくもりすら感じることが出来ない者たちだというのだろうか。


「幽霊、って割には昨日から普通に触れるよね?それはどうなん?」

『それは簡単、【契約】のおかげですね。触ったりできないと守るときに色々と面倒でしょう?』

「あぁ、確かに。……で、それがどう繋がってくるんだい?」

『幽霊といえば、みたいなものがあるでしょう。アレよアレ』


幽霊といえば。

例えば、恨み辛みによって生者を恨んでいたり。

知識不足感が否めないが、私の中の幽霊のイメージはそんな程度しかない。


「私が持ってるイメージだと、恨み辛みくらいしかないのだけど」

『割と平凡ね。……ほら、憑依』

「あぁ、そういえば幽霊と言えばそれがあるね。……あ、もしかしてそういうこと?憑依できるのかい?君たち」

『そういうことよ。対象は色々制限はあるものの、基本的にマスターには出来るわ』


一気にゲームのジャンルが変わってきたなとそう思いつつ。

気になったことを聞いてみる。


「昨日の話的には、残ってた子……サーちゃんとそれをやるって話だったよね?」

『えっ』

『そうね、スーでもいいのだけどサーの方が色々出来るから』

『えっえっ』


話を事前に聞いていなかったのか、サーちゃんが驚いているが。

それをスルーしつつ話を進めていく。


「成程ね。じゃあやってみようぜ。適当に来い!っていえば出来る?それともオーバーソ〇ル!とか言った方がいいかい?」

『それはいいわ。サーの身体のどこかに触れて。その後はサー側から干渉するから』

「おーけぃ。サーちゃんおいで!」

『私の意見は無視なんだね2人とも!?』


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