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Episode 6

ポッキーの日ですが、私はプリッツ派です。


<レッサーウェアウルフが討伐されました>

<レッサーウェアウルフが討伐されました>

<レッサーウェアウルフが討伐されました>

<レッサーウェアウルフが討伐されました>

<ウェアウルフが討伐されました>

<レベルが上がりました>


「終わったみたいだ、ついでにレベルも上がったねぇ」

『そうみたいですね』


連続した銃声がした後。

私のログに5体分の討伐ログが流れ、戦闘が終わったらしいことが分かった。

少し離れた位置にいたのか、周囲を見渡しながらこちらへと歩いてきていたアーちゃんに労いの言葉をかけたあと、私達は一度街へと帰ることにした。


何せ、巡回していたらしき劣等人狼を討伐したあと、確認しに来た1部隊ほどの人狼達まで討伐しているのだ。

このままだと、流石にアーちゃんの手には追えない程に多い数の人狼達が襲ってくる可能性が高い。


私の提案に、赤ずきん達は素直に首を縦に振って了承してくれた。


『で?私が戦ってる間、採取してたみたいだけどサーは呼ばなくてよかったの?』

「んー、まぁね。サーちゃんは聞く限りだと戦闘能力はないみたいだから、スーちゃん1人だと流石に大変そうだから」

『それもそうね。……やっぱりマスターも軽い自衛程度は出来た方がいいわね』


帰り道の途中、雑談がてら戦闘中に見つけた採取物をアーちゃんに見せているとそんなことを言われた。

戦闘。確かに出来た方がいいだろう。

しかし、このゲームのプレイヤー……『紡手』に戦闘を行えるスキルなどあるのだろうか。


『んー、まぁ技能(スキル)といえばそうかしらね。別にシステム的なものに頼る必要はないのよ。身体さえついて来れれば』

『……成程、アーちゃんいいんですか?それ【契約】的にアウトには?』

『ならないわよ。丁度暇そうな子も1人いることだし』

「???」


アーちゃんとスーちゃんが何か話しているものの、私には何のことについてなのか全くわからなかった。

といっても、私が分からないだけで掲示板を見れば載っている可能性のある情報だ。

後でそれっぽいスレッドでも見漁ることにしよう。


暫くして森の入り口付近まで辿り着いた私は、赤ずきん2人に礼を言った後に契約の書に戻ってもらってから外へと出た。

森の中では気付かなかったがそれなりに時間が経っていたようで、ゲーム内の太陽は既に傾きかけていた。


まだ確かめられてはいないものの、もしかしたら時間帯によって出現するモンスターも変わる可能性がある。

夜の方が視界が悪く、草原であっても油断できないというのは現実でも仮想空間でも同じこと。

陽が完全に落ち切る前に街へと素早く戻った私は、ゲームにログインして最初にステータスを確認した公園らしき広場へと向かった。

色々するにも座る所があった方が便利だろう。



「さってと、採取物ざっとおさらいしていこうかな」


目的の公園へと辿り着いた私は、自身のインベントリ内を確認しルプス森林で手に入れたアイテムを改めて確認していく。

というのも、流石に護衛(アーちゃん)がいるとはいえ敵がいつ襲ってくるかも分からない森の中では、名前以外を確認する程余裕がなかったのだ。


「……あ、丁度いいか。【喚起(サモン):赤ずきん】。サーちゃんおいで」


と、ここで採取系のスキルを持っている支援(サポート)特化の赤ずきん……童話『赤ずきん』の主人公その人を【喚起】し、呼び出した。

アーちゃん達を呼び出した時と同じように光が契約の書から溢れ、小さな女の子を形どっていく。


「無事に呼び出せたみたいだね……どうかした?」


何故か泣いている状態で。

NPCと言えど、見た目は幼女。

流石に泣いている幼女を前にしては、頼み事をし辛く……それに加え、周りのプレイヤーや住民NPC達の目も痛かった。

とりあえず、頭を撫でつつ視線の高さを合わせ、何故泣いているのかを訪ねてみる。


『ぅぐっ……ひっぐっ……ま、マスターは……』

「うん」

『わっ私だけ、呼んでくれなくてっ……!』

「……あー」

『必要ないん、じゃ……ないかってっ!』


思いっきり私の所為だった。


「必要だよ、必要。思いっきり必要さ」

『ほんとうですか……?』

「あぁ、本当さ。サーちゃんにはサーちゃんにしかできないことがあるだろう?」

『あり、ます』

「今回は他の2人にしかできないことだったから、あの2人を呼んだだけで……ほら、今サーちゃんを呼んで力になってもらおうと思ってるんだ。サーちゃんにしかできないことでね」


自分で聞いても胡散臭いと思うセリフを吐きながら、夜に公園で幼女を宥めている姿は現実ならば即事案モノだっただろう。

私は女ではあるものの、それは変わらない。


暫くして、泣き終えた彼女は何処からか取り出したハンカチを使って鼻をかんだ後。

先程までの泣き顔はどこに消えたのか、満面の笑みで私へと挨拶をしてくれた。


『んんっ!先程は失礼しました!で、私に何を頼んでくれるの?マスターさん!』

「おぉう、小さい子は元気……とと、とりあえずルプス森林で採ってきたものを見てもらおうと思うんだけど、いいかな?」

『りょーうかいしました!』


空元気かなんなのか、とりあえず気合は十分ということで。

私は彼女にルプス森林で採ってきたものを見せていくことにした。


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