現在進行形の初恋その1
今回から新章に入ります。
よろしければお付き合いください。
001
ずっと近くにいてくれる気心も知れた相手のことなら何でも分かっている。ついそういう風に思ってしまうようなことはないだろうか。
もちろん付き合いの長さと相手の考えや気持ちを察することができる確率はかなり比例してくるだろう。
――しかし、それでも僕たちは相手のことを完全に理解することはできない。
自分がその相手に対して何もかも打ち明けているわけではないように相手にだって自分には見せていない一面が大なり小なりあるはずで、しかしそれはきっと仕方がないことなのだろう。
結局、僕たち人間は究極的には全員他人であり、本質的には分かり合えない生き物なのだから。
それでも、ずっと一緒にいたいとか、分かり合いたいと思う相手は必ずいるもので、きっとその際に忘れてはいけないのが、お互いを理解するということはお互いの考えを尊重するということなのだろう。
そしてそれはきっと、相手と自分との違いを受け入れた上で、本質的には分かり合えないということを認めることなのだと思う。
自分と相手は違う存在で、だからこそ――そんな大切な相手を自分の価値観で縛ってしまってはいけないのだと、そんな当たり前のことに僕は長い間気づけなかった。
これから語るのはそんな教訓じみた、僕のもう一つの後悔の物語である。




