二豚目 女性の貞操を守ろうぜ作戦
となるとまずは……やっぱり一旦洞窟に帰ろう。
そもそも寝床がないんだぜ?
流石に同族を襲うような真似は……しな……しないよね?オーク。
寝床も探さなきゃダメってなると、普通に詰むよ?
未だ傷治ってないんだもんなー。
流石に再生能力とかはないっぽい。
うん、やっぱり帰ろう。
生まれた場所、かは分からないけど、俺の住処に出来るのはあそこだけだ。
はー、しっかし他のオーク達はよくこんな場所で生きていけるよな……
あの角ウサギ二匹出た時点で詰む。
いや群れで対処すればいいのか?
俺あいつらと会話出来る気しないんだけど。
言葉分からないんだもの。
ひでぇ……ひでぇよ。
せめて言葉くらい分かるようにしてほしかった。
まぁ言っても仕方ないけどな!
そんな思考を繰り返すうちに洞窟に着いた。
いやー、迷子にならなくて良かったわー。
ぶっちゃけうろ覚えだったしな。
まぁ、またさっきの林に行く分には迷わないだろう。
……フラグじゃないよ?ホントだよ?
◇◇◇
……うーむ、どうしようコレ。
洞窟の入り口をくぐった俺が見たのは……二人の女性を担いだオークだった。
……ヤベェ。
どうしよう……この世界に人間がいることを喜ぶべきか?
でもわざわざ連れ帰ってるってことは、そういうことだよね?
子供には見せられないことするんだよね?
マジでどうしようかな……見殺し、というか見て見ぬふりをするのは、流石に嫌だ。
けどなー、だからといって俺に出来ること、なくね?
勝てるわけないもの。
オーク歴一日ですよ俺は。
みんな先輩ですもん。
チートとかないんですもん。
というか、見た感じ美人だな……
しかも二人とも。
どうしよう……これは助けたい。
助けて自己満足と誇らしさに浸りたい。
ぶっちゃけ俺が助けようとしても怖がられるだけだろうけどな。
あー……
……待てよ?
オーク達は別に、この広大な空間の外に出たわけじゃないよな?
多分だけど。
だとしたら、ダンジョン内から女性を攫ってきたわけで。
候補①女性は偶然ダンジョンに迷い込み、捕まった
候補②冒険者的なアレ
断然②でしょ!
だとしたら他にも人間がいるかも!?
いや待てよ?
大穴でダンジョン内に街がある可能性もあるんじゃね?
いやそれはこの際気にしない。
とりあえず、もしかしたら人間をこの場所に連れてくれば、助けられるんじゃね?
オークなのにどうやって連れてくるかって?
簡単だ!
①人間たちに見つかる
②洞窟まで逃亡
③人間ついてくる
……うーん。
成功率云々以前に、オークから見たら俺最悪の裏切り者だな。
まぁあんな情のかけらもない奴ら、俺が気にすることじゃないよな。
そもそも攫ったのはあいつ等だし。
あー、でもよく考えたら、人間を探さなきゃいけないじゃん。
あの角ウサギが跋扈する場所を歩いて?
無茶言うなや。言ったの俺やけど。
ちくしょう、二人の美人さん、安らかにね……
ってあかんあかん、諦めたらそこで試合終了やで!
人間を呼び込むのは諦めて……平和的に解決できんかな?
意思疎通を図ってみるとか?
いや無理じゃね?
言葉分かりませんよ?俺。
あー……うん、つまりあれだね。力づくで逃がすしかないと。
いやアホか?アホなんか?死ぬで?俺。
未だ貧弱ボディなんだよ俺。オークとしてはだけど。
あー、もう……なるようになれっ!!
こうして。
自棄になった俺の「女性の貞操を守ろうぜ!」作戦が始まった。