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「悪いが、俺は最強だからな」
大胆不敵に笑う銀髪碧眼の美女は、呆気に取られる有象無象を前に自信満々に言い放つ。
己は最強であると。
だから誰にも勝てないのだと。
そして最後に、お前らは終わりであると。
「最強は、最も強いから最強なんだ。え? 自分で言ってんじゃねえって? 自惚れんのも大概にしろ? くははッ、俺をそんじょそこらの『最強』と並べてもらっちゃ困るなァ?」
その人形のように美しくも、まるで作り物のような美貌を歪ませて笑む彼女は、舞台役者もかくやとばかりに大仰に両腕を広げて、芝居掛かった口調で言う。
「俺に勝てねえ戦場はねえ。――いや、訂正。俺『ら』に勝てねえ戦場はねえ」
彼女の周囲には、共に戦場を制してきた猛者がいた。
悪逆極まる作戦でもって戦場を制する司令官。
数億もの使い魔を一手に操って情報収集をする補佐官。
他にも怒涛の如く押し寄せる有象無象を相手に怯むことなく、己が拳と原始的な武器のみで立ち向かった仲間がいる。
そして何より、彼女には相棒がいる。
「さあきてみやがれ、有象無象ども。俺らに勝てるなら、その力を示してみせろ」
獰猛に笑んだ彼女は、隣に並んだ相棒と拳をぶつけ合って宣告する。
「さあ、戦争しましょうか!」