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勇者は牢番と友情を育む

 こんにちは。みんなの駄目勇者ニート一号……ではなく結城飛鳥です。

 いきなり異世界カルナーダとかいうところに召喚されて、魔王を倒して世界を救ってくださいとか美少女に言われて、それを即答で拒否しちゃったアンチ勇者ですよ。

 はっはっは。

 こんな役立たず、さっさと地球に還してくれればいいものを、あの鬼皇女……もといアテナ皇女ってば、俺を地下牢に幽閉しやがった。

 いきなり何しやがるこの鬼皇女。

 おっぱい揉むぞこんちきしょう。

「……って、揉めないけどさ」

 へたれですんません。

 おっぱい眺めるのは大好きだし、エロい格好も大歓迎だけど、直接襲い掛かる勇気はなかったりするんだよ。てへ。

「ったく。それで勇者とかよく言われるよな」

 目の前にいる美少女のおっぱいを揉む勇気もないくせに。

 そうだ!

 俺が欲しいのは魔王を倒す勇気なんかじゃなくて、おっぱおを揉む勇気なんだ!

 ……あ、ごめんごめん。

 そこの人ドン引きしないで。

 変態を見るような目を向けないで。

 男なんだからおっぱいに夢見るのは当然じゃないか。

 当然だよな?

 夢で希望で理想郷なんだぜ!

「って、はぁぁぁぁぁ……」

 ため息をつきつつもとりあえず私物を漁る。

 危険物扱いはされなかったので辛うじて持ち込めたおにぎりとエロ本。

 とりあえず空腹だったのでおにぎりをほおばりながらエロ本をぱらぱらとめくる。

 タイトルは『セーラー服は脱がすためにある!』。

 いや、まさしくその通り。

 最近セーラー服って見かけなくなったんだよなぁ。

 すでに過去の遺産というか、コスプレ素材になってしまった感じだ。

 だからセーラー服を眺めようと思ったら、そういうキャラクターの出ているコミックを購入するか、そういうジャンルのエロ本を購入するかしかないのだ。

 そして俺がセーラー服に求めているのはもちろんエロ方面だから購入するのはエロ本に決まっている。

 決まっているんだってば。

「おお、これはこれは……けしからんおっぱいですな……」

 たゆんたゆん。

 明らかにお前学生じゃないだろうと言いたくなる巨乳。

 しかしそれもまたオツだ。

 だってこんな本で写真を撮られている奴が馬鹿正直な未成年なわけないじゃん。

 つまりコスプレ本なのだ。

 だから安心して大人の女性を楽しもう。

 ……アテナ皇女のおっぱいもなかなか見事だったけど。

 こっちのコスプレセーラー服のおっぱいもなかなか捨てがたいものがある。

「うーん……あのおっぱいをいつでもどこでも揉ませてくれて谷間に顔をうずめさせてくれるのなら勇者になるのも悪くないかも……」

 いやいや。落ち着け自分。

 いくら美人でおっぱいが素晴らしくても魔王討伐というとんでもない特典がついてくるんだぞ!

 無理無理無理無理!

 剣なんて握ったことないし魔法なんて使えないし。

 大体そんな状態でどうやって戦うんだよ?

 勇者に任命されたら謎の勇者パワーとかが発動しちゃうわけ?

「仮にそうだとしてもやっぱり戦うのは怖いしなぁ」

 へたれです。

 だって怖いし。

 殺すのも殺されるのもやっぱり怖いよ。

 平和ボケ日本で育ったもやしっ子を舐めてもらっちゃ困る。

「でも一生地下牢で一冊のエロ本と過ごすっていうのも厳しいなぁ」

 せめて新しいエロ本ぐらいはゲットしたい。

 もしくは生身のおっぱいに触れる機会を得たい。

 このカルナーダにはエロ本なんてものが存在するとは思えないし、やっぱり元の世界に帰してもらわないと俺は二度と新しいエロ本に出会う事は出来ないのだろう。

「………………」

 そう思うと泣けてくる。

 涙がちょちょぎれそうになる。

「うぅ……まだ一生地下牢と決まったわけではないし、とりあえず今は目の前のおっぱいを愛でるとしよう」

 そして俺はもう一ページおっぱい……ではなくエロ本をめくる。

 そうやってじっくりねっとりたっぷりと紙の上に印刷されたおっぱいを愛でていると、いつの間にか牢番が立っていた。

「?」

 俺は鉄格子の向こうに立つ牢番を見上げる。

 牢番の視線は俺ではなくエロ本、つまりセーラー服おっぱいに釘づけだった。

「……ええと、一緒に見る?」

 たとえ俺を地下牢に閉じ込めた鬼皇女の手先とはいえ、おっぱいを愛する以上はかけがえのない仲間であり同志だ。

 ならば共におっぱいの喜びを分かち合うことに異存はない。

「い、いいのか!?」

「いいとも! ともにおっぱいで盛り上がろうぜ!」

「おー!」

 こうして異世界にて牢番とのおっぱい友情を育むのだった。

 なんだかとてつもなくダメ人間になった気がするけど、まあいいか。

不定期連載アップにゃり~。

駄目勇者もどきがさらに駄目になっていきます。

一体彼は何をしたいのでしょうか?

決まっている!

エロ本を読みたいのだ!

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