第九話 決戦 ― 空中戦、バンパイヤ襲来!
夜のマフィア兵器工場。
赤く点滅する警報灯が、巨大な煙突群を血のように照らしていた。
鉄骨が軋み、油の匂いが立ちこめる中、三機の影が暗闇を切り裂く。
「敵の通信網を突破、突入する!」
イーグルのブルーバードが滑るように上昇。
続いてジュリアスのアルセーヌ・ルパン、そしてディックのグレイマンが追随する。
しかし
そのとき、耳を劈くような金属音が響いた。
「キュラキュラキュラァ……ようこそ、闇の空へ!」
闇を裂き、漆黒の機体が現れる。
コウモリの翼を持ち、赤い光を放つその機体――ドラキュラ伯爵専用機アーマドマグナム《バンパイヤ》。
「空中戦で私に勝てますかな、キュラキュラ!」
その声と同時に、バンパイヤの翼が開き、超音波の衝撃波が夜空に広がった。
ブルーバードの計器が乱れ、電子系統が一瞬ダウン。
「ちっ……こいつ、電子回路を狂わせてる!」
イーグルが操縦桿を叩く。
バンパイヤは笑い声を上げながら急旋回。まるで夜そのものが敵の翼と化していた。
ブルーバードは急降下して回避、だが背後から迫るコウモリの群れ型ドローンが襲う。
ディックが銃撃で迎撃しながら叫ぶ。
「ジュリアス!右上だ!」
だがその瞬間、バンパイヤの罠が炸裂。
光の翼に見せかけた残像の中へ突入したジュリアスの機体が一瞬制御を失う。
「ジュリアス、退けッ!」
ディックが反射的に機体をぶつけ、ジュリアスを押し飛ばす。
衝撃と共にグレイマンの装甲が裂け、警報が鳴り響く。
「ディック!」
「気にするな……俺はまだ動ける!」
血を滲ませながらも、ディックは笑ってスロットルを押し込む。
だがバンパイヤは楽しげに嗤う。
「愚かだなァ……友情は戦場では枷になるだけだ、キュラキュラ!」
再び超音波が炸裂。三機が夜空で激しく旋回し、火花が散る。
イーグル覚醒 ― フル出力モード
「……ふざけるな」
イーグルの目が鋭く光る。
「仲間を笑うな――これが俺たちの空だッ!!」
ブルーバードの全エンジンが赤く輝き、フル出力モードへ移行。
炎の翼を背に、音速を超える急上昇!
バンパイヤの攻撃をすり抜け、真上から突き刺さるように突進!
「なにッ!? この速度は――!」
イーグルが叫ぶ。
「ブルーバード、覚醒だあああああッ!!」
炎を纏ったブルーバードがバンパイヤの胸部を貫く!
爆風が夜空を裂き、破片が流星のように散った。
煙の中で、まだ立ち上がるバンパイヤ。
「キュラ……キュラ……まだ終わらん……」
だが、その前にジュリアスのアルセーヌルパン機体が静かに降り立つ。
マントを翻し、カードを一枚取り出す。
「ジョーカー。これが僕の切り札だ!」
カードが光となり、無数のエネルギーブレードがバンパイヤを貫く。
「キュラアアアアアアア!!」
黒い翼が焼け落ち、バンパイヤは爆炎に包まれ夜空へ散った。
ブルーバードの翼が炎を上げて崩れ始めた!
「イーグルッ!!」
ディックが必死にコクピットを開け、
煙の中からイーグルを抱き出す。
「……また……飛ばねぇとなhahaha」
イーグルが苦笑し、手を伸ばした。
夜明け前の空に、静かに流星が落ちた。
◇◇◇
一方その頃
廃墟と化したマフィア兵器工場の地下深く。
煙に包まれた金属の棺が、静かに開いた。
「……フランケンも、ゲイシーも、ヴァンパイヤも敗れたか」
低い声が響く。
現れたのは、黒いローブを纏った男、マフィア幹部〈ドミニク・カリバー〉。
その背後には、五つの影が控えていた。
それぞれが異なるマグナムの核を持つ、未知の強化兵。
「奴らの力は侮れん。だが次の駒はすでに動いている」
ドミニクはモニターに映る都市の映像を見つめる。
そこには、ジュリアスたちが潜伏する港町が映っていた。
「“黒き月計画”を始動しろ。やつらの心を、そして希望を、すべて砕け」
冷たい笑みと共に、画面が真紅に染まる。
世界の裏側で、マフィアの反撃が静かに動き始めていた。




