第五話 第24機兵部隊へと配属
宇宙戦艦 第24陸軍部隊 訓練所 ホール
俺たちは、訓練生活最後の日を迎えていた。
静まり返った広いホール。そこに、今から配属先が発表される。
各自、背筋を伸ばしつつも、その心はざわついていた。
「なぁ、アクス……俺たち、同じ部隊になれると思うか?」
ディックが小声で尋ねてくる。
「さぁな。運次第だろ」
俺は目の前に立つ教官から目を逸らさずに答える。だが心臓が、さっきからうるさい。
「アクスと一緒の部隊になれるといいな」
「ディックお前と一緒になったら予定より早く死ぬな」
「俺はイーグルとは離れたいかなぁ」
「えっ!?ドイーヒー!こんなに素敵なムードメーカーなのに!?」
イーグルは今日もマイペースだ。こんな状況でもふざけてられる神経がある意味うらやましい。
「アフリカ行きって噂もあるよな。戦地はどこになるんだ……」
「地球か、それともまた火星前線か……」
周囲もざわついている。訓練所での日々は過酷だったが、今から始まるのは「本物の戦争」だ。
命のやり取り。戦場=死。
ごくりと、誰かの喉が鳴った。
その時、教官が前に進み出た。
「静かにッ!」
声が場内に響くと同時に、ピンと張りつめた空気が辺りを包んだ。
「お前ら、今日でこの訓練所を卒業だ。これから配属先を発表する。」
全員が一斉に息を呑んだ。
(頼む、ディックと、できればイーグルも……)
「ディック、アクス、イーグル。第24陸軍機兵隊に配属とする」
「……!」
最初に反応したのはイーグルだった。
「やったぁーアクスと一緒の部隊になったー!宇宙の運命感じちゃう!」
「変なのもついてきたぞ」
ディックがぼやくが、俺も内心ホッとしていた。生き残れる可能性が少しだけ上がった気がする。
「オー、マイフレンドー!これからもよろしくクソったれども!イェエエイ!」
イーグルが背中に覆いかぶさってきた。重い。ウザい。
「うるさいぞ!馬鹿ども!静かにせんか!」
「す、すみません……巻き添えです」
ディックがしょんぼりと席に座る。
それでも、俺たちは、運命を共にする仲間になった。
(ミレーユ……君のいる地球へ行くのか)
俺たちを乗せたアーマードコア搭載宇宙戦艦は、ゆっくりと地球へ向け発進した。
火星が、少しずつ遠ざかっていく。