第四話 戦争の前夜の作戦会議
第四話「戦争の前夜の作戦会議」
マケドニア、ブルガリア、ルーマニア
火星軍アーマドコア部隊は、機獣象の重装部隊を各地で撃破しながら、じわじわとヨーロッパ中枢へと進軍していた。
次なる決戦の地は、ハンガリー。
そこには、ついに動いた地球軍の英雄ハンニバル将軍が自ら指揮する、象型機獣部隊が待ち構えていた。
火星軍 陸軍拠点・地下作戦指令室
分厚い鋼鉄の扉がゆっくりと開き、アクス、ディック、イーグルが緊張の面持ちで作戦室へと足を踏み入れる。中央には大型モニターを囲む円卓があり、ドミノ軍曹が腕を組んで立っていた。
「遅かったな。全員そろったか。じゃあ、始めるぞ」
部屋の照明が一段階落ち、戦況マップが浮かび上がる。
「ハンガリーにハンニバル将軍が出てきたということは、あっちも余裕がなくなってきたってことだ」
イーグルが口元を引き締めながらモニターに目を向ける。
「つまり…追い詰められた獣ってことか。噛みつきは強烈だぜ」
ディックが腕を組んで、つぶやく。
「獣ねぇ…今回の相手は象か。まさかこんな大型機獣が本命だとはな」
アクスが前のめりに身を乗り出す。
「機獣象の部隊のデータをお願いします」
「了解」
ドミノ軍曹がリモコンを操作すると、モニターに象型機獣のデータが表示された。
機獣「象」データ
全高:5メートル
重量:115トン
装甲:鋼鉄32センチ、弾性複合装甲
武装:鼻部油圧リフター、両牙ロケットランチャー、背部小型地対空砲
イーグルが思わず口笛を吹く。
「これが"象"かよ…見た目は牧歌的だけど、やってることは戦争犯罪レベルだぜ」
ディックがモニターを指さす。
「マシンガンじゃ豆鉄砲も同然だな。足に爆弾を仕掛けるとかか?」
ドミノ軍曹がうなずきながら別の映像を映し出す。
そこには、象の足元を守る鋭利な牙を持つ機獣群――サーベルタイガ型機獣が映っていた。
「だが、象の足元にはサーベルタイガ部隊が配置されている。接近すれば食いちぎられる。さらに、鼻の油圧アームで空に放り投げられてからの地面叩きつけ攻撃もある」
イーグルが後ずさりながら顔をしかめる。
「なんだよそれ、ジャイアントスイングかよ…ペッチャンコだけはカンベンしてほしいねぇ」
アクスが静かに尋ねる。
「対策は?」
ドミノ軍曹は少し言い淀みながら、腹部の画像を表示する。
「象型の入り口は腹の下だ。そこを爆弾で破壊して、内部にさらに爆薬を投げ込む。…内部からの破壊が唯一の確実な手段だ」
ディックが眉をひそめる。
「そんなにうまくいくのか?実際、誰か成功したのかよ」
ドミノ軍曹の声が低くなる。
「一度だけな。多くの犠牲が出たが、確かに1体はその方法で倒した」
しばし沈黙。
その場に重苦しい空気が漂う。
「でも、まずサーベルタイガ部隊を突破しないと、腹の下にたどり着けない」
「そりゃまるでサーカスの小屋にでも放り込まれる気分デース…」
イーグルが両手を広げて冗談めかすが、笑いは起きない。
ドミノ軍曹が立ち上がり、円卓をぐるりと見回す。
「この戦いが鍵になる。ここで勝てば、ヨーロッパ戦線は一気に崩れる。逆にここで負ければ、奴らの反攻が始まる」
「作戦開始は明朝5時。各隊、準備してくれ」
夜の野営地の芝の上で仰向けになるアクス
(マーシャルもこの戦いに参戦するんだろうな)
アクスは空を見上げた。




