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(1)もしかして異世界

いつも通りの同じような日々。




32歳、櫛山仙斗(くしやませんと)、霞が関の自称エリート、虐待されて育ち、田舎を抜け出し、頂点を目指し続けた。




気付けば東大に受かり進振りも突破し官僚試験も成功した。だが、官僚はブラック企業だった。こんなのエリートじゃない、自称エリートだ。




夜の12時ちょっと前、今日は案外仕事が早く終わった。愛想が悪いからなのか、やはり幼少期、青年期のトラウマからなのか目つきが悪く実際視力障害持ちの俺は他のエリートにも嫌われていた。




虚無感に、襲われながら惰性で車を運転する。普通に道路を安全運転していたその瞬間、ドゴンツと異様な音がした。




「なんだ急に……………ゲホッゴホッ」




急ブレーキを踏んだが、車は前方が大きく損傷している。俺は無事だったが、やってしまったと思った。




車は何やら突如目の前に現れた白い球体の物質に遮られ止まっていた。なんだ、これ。車も壊れたがその物体も損傷し、大きくヒビが入り中からは液体が漏れてしまっている。




【櫛山仙斗は、ブラックドラゴン(卵)を倒しました。】




【レベルがあがりました。】




【地球における初の魔物討伐を確認しました。スキル成長期を獲得しました。】




【地球における初の卵討伐を確認しました。スキル卵生成を獲得しました。】




何やら幻聴が聞こえてくると同時に目の前の物体は、液体を含めて跡形もなく消えた。車は大きく破損したままだ。




「なんか、卵とかいってたけど、卵ってそんな硬いものなのか?いや、早く警察を呼ぼう。」




俺は素早く携帯を取り出して警察を呼ぶ。自分でも何が起きたかわからないので、何かにぶつかり、車は壊れ、ぶつかったものは消えてしまった。怖いから来てほしい、と正直に見たままを話た。




__




しばらくするとパトカーが駆けつけてくれた。意味不明の連絡でいたずらだと思われなくてよかった。だが、俺の車だけは壊れている。まわりの警察官は驚きの表情だ。警察官が幻覚出ない限りは俺はまともということになる。




「これは、酷いですね。真正面からぶつかって、ぶつかった相手は逃げたと。おかしいですね。何か嘘をついていませんか?」




嘘はついていない。謎の現象を説明できないだけだ。




「まぁ、とりあえず我々が調査しますので、少し別の場所でお話を伺ってもよろしいでしょうか?」




断る理由もないので俺は警察官に連行されることにした。明日仕事をしない理由ができたので嬉しいくらいだ。




「最近はコロナも収まり治安も良くなってきたと思ったのですがね、物騒な事件はいつの時代も消えないものです。」




恰幅のいいオジサン警察官と車内でお話をする。コロナが2023年に完全収束してから早2年、俺は毒親と絶縁したあともこの社会からはどこかで取り残されるだけだった。




「おやっ、また事件かな?嫌な社会だ。」




そういってオジサンはインカムというのか、トランシーバーというのか、連絡機を使って別の会話を始めた。本当に嫌な社会だ。同意させてほしい。




「…………何っ、今すぐに向かう!」




業務用連絡機で話を始めたおじさん警察官の声音が突然変わった。 




「君、すまんな、近くで殺人事件がおきたみたいなんだ。この事件と関係があるかもしれないし、君はちょっと警察署の中で待っててもらえるか?」




「了解です。」




俺は嫌われてはいるかもしれないが、恨まれてることはない。逆に俺は恨んでいる人はいっぱいいる。殺人事件と俺の事件はおそらく無関係だろう。




俺はそれから、外の自販機でカフェオレを二本かい、ボケーッと警察署の中で待機していた。




俺とは対象的に、警察官の人たちは明らかに若そうな人からベテラン風の人までドタバタドタバタして、ついには、警察署には俺だけが取り残されていた。小さなところだったからしょうもない。




スマホで何かニュースでも見ようとすると俺はそこに衝撃の記事を発見してしまった。




<<謎の新種生物、関東中に同時発生>>




2025年9月14日01:58,関東のあちこちで、小学生程度の人々が、殺人事件を起こしていることが発覚した。




報告される特徴が同じではあったが、距離的に離れていたため、集団催眠のようなものと思われていたが、どうやら、人間ではない謎の二足歩行の生物が犯人であることが確認された。詳細は現在調査中である。




………………おそらくこれが騒がしい警察署の理由だろう。物騒な世の中だ。




俺は度重なる仕事で疲れていた。カフェオレ2本目を飲み切る前に、気付けば俺の意識は闇の中へ消えて言った。

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