表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/75

第46話 セイテンウイルスmRNAワクチン

 ゴールドホーンに起きた副作用。

 それは――総魔力量の増加だ。

 解析魔法では、対象の魔物が魔力満タン時にどれくらいの魔力量を持っているのかも調べることができるのだが……その解析結果に変化が出たのである。


 それも、10%や20%ではない。

 なんと――3倍だ。


 これはあまりにも劇的すぎる変化だ。

 もしこれが人間にも適応できるのだとしたら……冒険者や騎士団の界隈に革命を起こすことができるだろう。


 早速、俺はその部分を確かめてみることにした。

 魔法で自身の手の甲の細胞を一つだけ切り離すと、その細胞を初期化し、高速培養魔法で成長させる。

 10分もすると、5歳くらいのクローンができた。

 そのクローンに、フランソワが持つ抗体をコピーしたものを注入する。


 が……その実験は、失敗だった。

 注入するや否や、クローンにアナフィラキシーショックが起こったのだ。


 即座に魔法で抗体を除去してからアブソリュートヒールをかけ、ショックから回復させる。

 それから何度も、量や注入方法を変え、免疫の過剰反応を抑える方法を模索したが……一度として、アナフィラキシーが起こらないルートは発見できなかった。


「アニキ、何やってるかいまいち分かんないんっすけど、それうまく行く見込みあるんすか……?」


「ちょっと厳しそうだな……」


 あまりに失敗を重ねすぎて、フランソワにも心配される始末。

 そこで……俺は少しアプローチを変えてみることにした。


 もしかしたら、既製の抗体を注入するというアプローチがマズいのかもしれない。

 特に今の場合、ドラゴンの獲得免疫を人間に入れようとしているのだからな。

 ゴールドホーンはたまたま相性が良かっただけで、ドラゴン由来の抗体は人体と相性が悪い、みたいなことも考えられる。

 とすれば……人間の獲得免疫システムを使えば、その問題は解消できるかもしれない。


 そこに思い至った俺は、人間の体内で目的の反応を起こす物質を作るべく、セイテンウイルスの加工を始めた。

 やることは至ってシンプル。

 ウイルスのRNA配列のうち、抗原を構築するための指示を運ぶ特定部分のみをコピーし、複製する。

 そう。俺が作ろうとしているのは――mRNAワクチンだ。


 mRNAワクチンを用いる場合は、人間自身の免疫細胞がウイルスの塩基配列を認知し、抗体を作るからな。

 セイテンウイルスと結合して失活させるという作用機序は同じでも、ドラゴン由来のものとは構造の違う抗体ができる可能性があるわけだ。

 とすれば、その抗体は期待する作用を持ちながらもアナフィラキシーは起こさない……という可能性も無きにしもあらず。

 そこに賭けてみようと思ったのである。


 出来たてのmRNAワクチンをクローンに注入し、アナフィラキシーショックが起きないか観察する。

 30分経っても、クローンは特に苦しむ様子を見せなかった。

 とりあえずアナフィラキシーは起こさないようだが、もう少し他の副反応とかも無いか確認したいので、時空調律魔法で3日ほどクローンの体内時間を進める。

 結果……一時的に37度近くの熱が出たものの、それ以外に特に体調不良は起きず、クローンの抗体獲得が完了した。


 と同時に……クローンの総魔力量も、確かに3倍に増加した。


「っしゃあ! できた!」


 幾度もの失敗の後の成功ということもあり、思わずガッツポーズする。


「何ができたんっすか?」


「セイテンウイルスのmRNAワクチンだ。ちなみに……対セイテンウイルス用の抗体には、生物の魔力量を3倍にする効果もある」


「え……なんなんっすかそのヤバそうな薬は!」


 ヤバそうとは失礼な。

 というかフランソワの場合、人工的に作成するまでもなく自然に体内にある物質だぞ……。


「まあ、見てな」


 そう言った後、俺はセイテンウイルスmRNAワクチンを自分自身にも注入した。

 そして自分の体内時間を、時空調律魔法で3日ほど進める。

 すると……一瞬微熱が出た後、俺は自身の魔力量が3倍になるのを体感できた。


「どうだ?」


「ア……アニキの魔力量が、また天元突破してしまった……」


 魔力量が増えた俺の様子を見て、フランソワは口をあんぐりと開けたまま俺を見つめた。


「これはまた、実用的な製品ができたんじゃないか?」


 ウキウキした気分を抑えつつ、俺はセイテンウイルスのmRNAを市販用に大量複製したものを作り、収納魔法にしまう。


 帰ったらトライダイヤにでも卸すとしよう。

 いやその前に……治癒用製剤である以上、教会で認可を得る必要があるか。

 まあモルデナさんに頼めばノーとは言われないだろう。


「遅くなったな。じゃあ、始めようか」


 やりたいことはやり尽くしたので、本題だった模擬戦に入ることに。

 魔力量が3倍に増えたことで魔法出力とかにも若干影響が出ていたが、模擬戦を通して俺自身も新しい自分に慣れることができた。


【※大切なお願い】


少しでも

「面白い!」

「続きが気になる!」

「更新がんばって!」


と思ってくださったら、

ブックマークと広告下↓の【☆☆☆☆☆】からポイントを入れて応援して下さると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 図らずもこんなところで、mRNAの効能を知ってしまいましたw
[一言] 元々化け物だった兄貴が星の核壊せる程度にまで進化した件
[良い点] とにかく主人公が強いことに全振りしてるギャグ小説 [気になる点] 最終目標が未だに見えていないので、飽きて放置endが濃厚な気がしてる [一言] 言葉の意味を大体間違えているので、意味不明…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ