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幻の君への手紙

作者: 雨月 宙

現実は苦しい


でも


仮想ではどうなのでしょう?

 現実は辛い


 ブラウン管では心躍るニュースより

 ただ、ざわつかせる


 不安


 どうしようもない気持ちを植え付ける


 楽しいカテゴリーに混ざる


 その不安

 

 家にいるのに雨が降っているようだ


 目を背ける


 朝を迎えて車に乗り込む


 今は夏


 朝方は過ごしやすいが、日が経つうちに肌を焼くような暑さになる


 朝だけの心地よい空間を走りながら、目的地へと向かう


 行きたくないと気持ちを隠すように、歌を歌う

 そして、車のエンジンを切る


 辿り着いたそこは、


 力の差を見せつけられる場所


 笑顔の仮面を被ったとしても

 すぐに仮面が剥がれてしまう

 

 苦しいと叫びたいのに叫べずに、ただ、無感情にそこで立ち続け、事が終わるのをずっと耐えていた


 ある日


 ブラウン管も見る気になれずに、少し季節がまだ春めいた時に見始めた仮想空間が心を占めるようになった


 手の届かない世界がもどかしいのに、どうしようもなく欲しくて、見続けてしまう


 何故?


 それはそこには煌びやかな世界が広がって、仮想だと分かっていても、魅力的なものがたくさん広がっていたから

 現実で今は得られない、刺激がそこにあった


 そして

 一人の女の子と出会ってしまう

 仮想の女の子


 初めはただ彼女の魅せる世界が、面白かった

 彼女の声に惹かれた

 彼女の情熱に惹かれた

 でもただそれだけ

 それ以上の感情はなかった

 

 だって

 彼女との間には乗り越えなれない大きな壁があって、近いはずなのに、とても遠い

 決して手が届くはずもなく、現実と交差することがないと思っていたから

 だからこそ

 

 いい


 と思ったのかもしれない

 手に入りそうで手に入らない、もどかしいが


 でも

 気づいて?と思う心を微かにあった

 隠していただけで


 だって

 もうシンデレラストーリーを現実で喜べるような年齢ではなくなってしまった

 物語を読んで感動してもだ


 疑心暗鬼


 小さな芽は知らないうちに大きくなって、根付いてしまった

 それが枯れないうちは変われないと知っていても、どうしようもなく根が深い


 そんなだから上手く生きていけないのは知っているが、幼少期から芽吹いてしまったのだ

 今更、簡単にはいかない


 ひた隠して、いつも仮面を被って、なんでもないようにしてる現実...いや、仮想でもチラチラと出していたかもしれない


 結局の所、臆病なのだ

 沢山の傷の分だけ


 だから、暗闇に身をおいているからこそ、輝かしい彼女を眩しくも、見続けてしまったのだろう


 苦しい、苦しい、苦しい


 と現実を

 ただ、ただ生きて


 でも、仮想を開くと心が踊る


 そんな日々を繰り返して


 突然の衝撃が襲う

 彼女が手を差し伸べたのだ


 嬉しかった

 ああ

 神様は見ていてくれるのだと

 決して努力が裏切られることはないのだと


 だが


 疑心暗鬼


 それが嬉しいを侵食していく


 違った意味の苦しいが襲う


 被っていた仮面は粉々にされ

 怒りが襲った

 拒絶もした

 逃げて目を背けた


 けど

 そこには目を背けてはいけない

 優しい嘘と愛情が詰まっていた


 彼女が与えてくれたものは


 とてつもない大きな世界


 両手ではとても収まりきらない


 

 怖い、怖い、怖い


 現実の私はとても怖がりだ


 でも

 彼女の見せる努力が

 彼女が見せるひたむきさが

 彼女が見せる愛情が


 大きくて


 そんなこといってられなく、する


 多分、憧れだった気持ち

 でも

 気持ちが、変化していく


 愛おしくて


 差し伸べられた手を決して離してはいけないと強く思うようになった


 彼女の隣にずっといたいから


 鎖をつけた


 唯一無二の彼女だから


 それに一体何の意味があるのかは分からない

 でも、側で彼女を支え、寄り添って生きていきたいのだ


 一体、自分は何者になるのか分からないけど

 彼女の手は離さないでいようと強く思う


 夢は見ているうちは甘いが

 現実は甘くはない

 でもそれを現実で叶えようとする彼女を


 心から尊敬し


 愛してやまない


 でも

 今の彼女は幻


 でもいつか

 手に入れてみせる


 ああ

 朝の光が窓から差し込む

 現実と仮想を生きて

 疲労がふと襲う

 けれど

 強くなろう

 そして

 彼女の横にいても見劣りしない人間になろう

 

 


 

リハビリ的に書いてみました


読んだあなたに、少しでも気持ちが届けば幸いです


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