↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界事変 ~狂いし妄者は殺戮の日々を味わう~  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/101

第87話 異界事変⑯

 医者が裂け目を観察しながら述べる。


「あれは次元の亀裂だね。開閉の動きで物体を切断できるようだ」


「面倒臭ぇな。なんとかしろよ」


「僕に"終焉"の能力に干渉しろと言うのかね。それはさすがに難しい注文だよ」


 肩をすくめた医者は自嘲気味に答えた。

 彼は循環する裂け目を指差しながら解説する。


「先ほども言ったが"終焉"の妄者は能力特化だ。肉弾戦は不得手だが、固有能力に関しては強力無比なのだよ。君の一撃でさえ、相打ちになってしまう」


「理屈はいい。さっさと対策を寄越せ」


「最前線で陽動になってほしい。そのまま殺しても構わない。我々は補助に回りつつ、戦況を優位に傾けていこう」


「分かった」


 俺は地を這うように突進していく。

 即座に裂け目が進路を阻んだので、指の刃を飛ばして貫いた。


 裂け目は破裂して消滅した。

 俺が被害を受けることはない。

 接触すると一気に腕ごと持っていかれるが、分離すれば解決するようだ。


(とにかく間合いを詰める。裂け目を避けながら八つ裂きだ)


 俺は心に決めて直進する。

 さらに裂け目が迫るも、横合いから肉塊が突進して食い止めた。

 医者の操るアンデッドだ。

 禍々しい巨体がめり込みながら引きずり込まれるも、それによって裂け目の動きが露骨に鈍った。

 何かを取り込む最中は素早く動かせないらしい。


 俺は肉塊のアンデッドが呑まれるのを横目に疾走する。

 そこにまた別の裂け目が飛来してきた。

 俺の胴体を引き裂く軌道である。


(厄介な能力だ)


 俺は胸中で悪態を吐きつつ、土を鷲掴みにした。

 それを哭き崩して投擲する。

 散弾のように放たれた影の粒は、裂け目を粉々に砕いた。


(こっちの方が良さげだな)


 新たな発見もそこそこに、今度は光の槍が突き込まれる。

 数百本の束が変幻自在に分裂して押し寄せてきた。

 それぞれが俺を即死させるだけの威力を秘めている。


(誰が最も危険か認識しやがったな)


 俺は急停止すると、光の槍を弾きながら後退した。

 さすがにこの密度を突破するのは至難の業だ。

 裂け目が飛んでくる可能性を考えると、無理に進むのは危険すぎる。

 単独戦闘ならそれでも突っ込むが、今の俺には味方がいた。


 光の槍の濁流を凌ぐ中、俺の近くをすり抜ける者達がいる。

 俺を陽動に接近するのは"鉄壁"と"術王"と"鎮魂"――医者が雇った妄者集団の生き残りだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! [気になる点] >俺を陽動に接近するのは"鉄壁"と"術王"と"鎮魂"――医者が雇った妄者集団の生き残りだった。 さあ、何名生き残れるか? [一言] 続きも楽…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。