表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界事変 ~狂いし妄者は殺戮の日々を味わう~  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/101

第35話 代理戦争⑰

「なかなかの美人じゃねぇか。隠すのは勿体ないぜ」


 俺は軽口を叩きながら接近する。

 別に皮肉や挑発ではなく本心からだった。

 割れた兜から見える騎士の素顔は、紛れもない美貌である。


 そんな騎士が大鎌を振るう。

 純粋に速く正確な一撃は、俺の動きに合わせているようだった。

 ちょうど首を切り払うタイミングだ。


(このスピードも目視するとは……いや、戦闘勘か?)


 俺は大鎌を指の刃で食い止めると、そのまま強引に回し蹴りを放つ。


 騎士は片腕でガードするも、勢いを殺し切れずに吹き飛んだ。

 樹木に背中を強打してよろめく。

 いくら頑丈でも衝撃は内側の生身に響くだろう。


 俺はそこに追撃を加える。

 指の刃を引っ込めて、左右の拳による高速のラッシュを披露した。


「ぐっ」


 騎士は大鎌で身を庇いながら横に回避する。

 粉々になった樹木の破片を受けながら退避し、体勢を立て直そうとした。


 無論、それを俺が許すはずがない。

 久々の強敵で昂る本能は、加減という概念を放り出していた。

 戦いを長く楽しもうという考えも忘れて"妄者殺し"の騎士へと襲いかかる。


「ハハッ、もっと抗ってみろよォ!」


 暴風を伴う拳の連打を見舞う。

 騎士は寸前のところで防御しているが、大鎌には亀裂が走っていた。

 俺の攻撃を受けるたびに破損していたのだ。


 いくら妄者の職人が仕立てたと言っても限度がある。

 さすがに俺の猛攻を耐えられるほどではなかったらしい。

 こればかりは使い手の問題ではない。


 騎士は必死になって距離を取って反撃に移ろうとする。


 俺はそれを嘲笑うかのように接近し、大鎌の苦手な間合いをキープした。

 割り込むようにして攻撃を繰り返して、相手のペースを崩していく。


 こういった小細工は得意なのだ。

 無意識レベルでやっている。

 だからこそ、大人数の妄者を一方的に蹂躙できる。

 積み重ねた戦闘経験が由来の技能であり、俺が"虐殺"の二つ名を持つ所以とも言えよう。


「そら、隙ありだ」


 駄目押しの二連蹴りが、ついに大鎌を破壊した。

 刃が砕け散って柄が折れ飛ぶ。


「……ッ!」


 武器を失った騎士は動揺した。

 そこから俺は右手の指を刃に戻すと、振り上げによって彼女を切り裂く。


 指の刃は鎧を斜めに縦断し、腰から腹、胸と順に引き裂いた。

 最後は鎖骨を割って首元から体外へ抜けていく。


 迸る鮮血。

 騎士は割れた兜から驚愕した表情を見せる。

 そこから静かに崩れ落ちた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ああ、やっぱり妄者殺しはハワードに殺されるのか……無情。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ