おしまい
すみませんでした。これで完結です。不手際で途中抜けておりました。
あれから、隣人の親切な吉澤さんは鍵を勝手に鞄から漁って探し出し、使用した事について謝り帰って行った。
そんなの泥酔した私が悪いし、ここまで連れて帰ってくれて、色々介抱して貰ったことは、感謝することばかりで責める気持ちは微塵も無い事を、私は話した。
本当に良い方だわ。
「あーとにかく風呂に入ってゆったりして、先の事を決めよう!」
勢いよく両手を振り上げ、ヤル気を起こして風呂場へ移動した。私のお気に入りの入浴剤の中でも、一番のお気に入りを今日は使おう。
入浴剤の数々が入った籠を引き出し、その中でも一番大きな派手なデザインの玉を取り出した。
これは、なかなかお高いもので自然素材で作った匂いも私好みの一品なのだ。
一回使った後、気に入ったので数個購入した物。
記念日や気分の凹んだ時などに特別に使ってきた。
購入したお店も無くなり、あれから同じ物が見つからなくて、これが最後の一つ。
最後の一つを使うのも、心機一転で良いかもしれないと思い、そのまま手に持ちお風呂場へ。
お風呂をサッと掃除した後、お湯を溜めるようセットした。
先程、吉澤さんを送った後。
部屋の空気が淀んでいたので、窓でも開けて空気を入れ替えようと思って、リビングの窓を全開にして来たので、そろそろ閉めに行こうと、リビングへの扉を開くと、中にアイツとあの子がいた。
私は気持ち的には二度目なので、冷静になれた。
「不法侵入で警察呼ぶ前に帰りなさい」
アイツは、私の側に来ようとしたが、私の言葉を聞いてその場で立ち止まり。
「沙羅!あれは勘違いなんだよ。
ふざけてただけなんだ。会社を辞める必要も無いし、君に辞められると俺も色々と困るんだよ。
結婚の話も両家共に、喜んでくれているじゃ無いか!
俺は沙羅を愛しているんだ、結婚してくれ」
「そうですよぉ~先輩。
雅史さんは先輩が大好きなんですよ。
私、好みの男性と二人っきりだとついつい、困った癖があって~
治らないんですよぉ~別に雅史さんとは付き合っているわけでは無いですし、沢山のセフレの一人なんですから。
先輩~お祝いしますから、結婚して下さいよぉ~
先輩居なくなっちゃったら私、仕事出来ないから困っちゃうし、雅史さんだって先輩の後押しが無いと今迄も何度か契約破棄の危機があったじゃ無いですか!
私、雅史さんから色々聞いてますから、知ってるんですよ。
そう言うのを内助の功って言うんですよね、流石できる女は違いますよね。
先輩って、女子社員から上から目線の女って言われてるんですよ。
言い出したのは私なんですけどね。知ってました?」
「お前は黙ってろよ!
お前とは遊びだろうが、誘ってきたから相手してやっただけだ。
お前なんて本気でやんねーよ。ついて来んなよ。帰れ!ここは俺と沙羅の家なんだよ」
「はぁー?ここは、私の家ですが、貴方には何の権利もないですよね。
とにかくお二人共出て行って下さい。
鍵も返して下さい。
後、両親にはもう報告済みです。
納得して貰っています。
今頃貴方のご実家にも、連絡が入っていると思いますよ。
帰られた方が宜しいのでは?」
「沙羅!俺は絶対に別れねーぞ!沙羅に釣り合う男は、俺だけだからな。
それにお前男苦手だろう。
そんなんじゃいつまで経っても、結婚できないぞ俺にしとけよ」
「沙羅さん勝手にお邪魔して、すみません。
隣でくつろいでいた所、あまりにも煩いので隣人が苦情に参りました。
ついでに警察にも連絡しておきましたから、もうじき来るのではないでしょうか」
「お前誰だ!」
「ですから、隣人です。と、もう一つ沙羅さんの結婚相手に立候補している男です。
私は、一途なので浮気などは有り得ないと言う事だけは言っておきましょうか」
えっ?どう言う展開?私どうしたら?パニックになりかけた時、玄関から呼び出しが。
「警察が来たようですよ。逃げなくても良いのですか?」
「くそっ覚えてろよ、お前!ぶっ殺してやるよ」
アイツが吉澤さんに掴みかかった時、本当に警察官が二人部屋に入って来た。
その警察官達はアイツを取り押さえ、あの子も連れて外に出て行った。
ボー然とした私の前に、吉澤さんと新たにもう一人スーツを着た男性が。
「勝手に入り込んで申し訳有りません。
私は警察の人間です。こいつに呼び出されたので、来たのです。
先程の二人は、署に連れて帰り話を聞いておきます。
鍵も、取り返しておきましたので、お渡しします。それでは」
「ありがとな」
「おう!良いってことよ。美味い酒でも呑ませてくれよ。じゃあな」
警察の吉澤さんのお知り合いの方は、爽やかな笑顔を残し去って行きました。
「水樹さん大丈夫ですか?ベランダ沿いから、言い合いが聞こえてきたもので、警察迄呼んでしまい申し訳ありません」
「きちんとした対処をした方が、良いと思います。ありがとうございました。
でも、吉澤さん大丈夫ですか?私は良いのですが、貴方がアイツに付き纏われでもしたら、迷惑をかけてしまいます」
「大丈夫ですよ。先程も言ったように俺は、貴女の相手に立候補するのは真実ですし、貴女を守る事は当たり前の事ですから。
先ずは、俺と言う人間を意識して貰えると嬉しいです」
吉澤さんは笑顔で掌を差し出しています。
私は自然と吸い寄せられるように、握手していました。
「宜しく沙羅さん」




