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マチルダって何?
変な男は名前を吉澤尚也と、名乗った。
「私はマチルダ」
「えっ?」
「だからマチルダよ」
「ハイハイ、マチルダさんね」
「呑むわよ、呑み倒すから」
「了解致しました。マチルダさん」
私は恥ずかしかったのよ…あんなに泣いてる所見られて、普通に名前を名乗れなかったの。
とっさに頭に登ったのがあの名前よ。何故か聞かれても判らない、咄嗟に登ってきたからとしか言えない。
それから、ビール日本酒ワイン焼酎と、めっちゃくっちゃに呑んだわ。
元彼の愚痴を言いながら、自分を責めながら、わかってるのよ私も悪いのよ。
わかってるから腹が立つの、変えれない自分自身に。
吉澤尚也は、良い奴だった。
私の話を辛抱強く聞いてくれた、酔っ払いの戯言をただただ、うんうんと頷いてくれる。
こんな友人私には居ない。
皆んな我の強い奴が多く、素直にうんうんなんて、ぜーったい聞いてくれない。
私はついつい調子に乗って、ある事ある事暴露してしまった。
本名名乗らなくて良かった。
偉い私。




