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Tomorrow is another day.Really? Of course.  作者: フィリピンテンションの少年X←Xは自然数ですか? それとも虚数? どうでもいいけど無理数ってかっこいいよね? そうだよね? とか言っちゃううざったい系数学少年
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もう一人

さて、と。この世界――もともと地球と呼ばれていたこの星は。今やアン・ヌルによって支配されている。

とされている。正確なことは知らん。俺はこいつらヘルツの開発にいそしんでいたのだから。

いやまあ、別にもとから友達とか、いなかったし。

それに、親も、いなかった。

知り合いはたった一人だし、どうせ死んだのだろう。

彼女は思えば、俺の初恋の人、だったのかもしれないな、と。そして俺は彼女に似た人格をヘルツには搭載しなかった。

まあ、この話はあまりシリアスな方には発展していかない。

あくまでも、しょうもない話、だからな。

「リヒト。朝だ」

これはミーナ。相も変わらずクールな狙撃手って感じだ。一応たまにミスして赤面、って仕様は入れてはいるがそんなん兵器としては欠陥品だろう。そういわれると痛いが、ギャップってのは大事だろ。なあ?

「ああ? 今日は日曜日だろ。休ませてくれ」

「人間が一人だけになった割には随分と人間らしい生活をしようとするのね」

これはアサヒ。おとぼけなければ(主に料理)ただの天才である。つまり、何もしなければ美人ってとこ。割と不定期でおとぼけモードに突入する。

「別に週に一日休むくらいいいだろ?」

「それを七日間言い続けてるのはどこの誰?」

……。

そうでしたっけ?

いや事実そうなのだが。いやーよく覚えてるな天才は。いや兵器だし、覚えてるのは当然と言えば当然だ。

「今日は、ですねえ、ビッグなニュースがあるんですよ!」

「なんだ、ハナ? 昨日のエビチリが再び、とかか?」

「あのですね、リヒト以外の人間が一人、見つかったんです!」

「は?」

いくら何でもそれはねえだろう。それに正直見つかったって、なあ……俺はこいつらで十分なだけ生活できてるし、もと引きこもりにあったってなんもおもしろくねえだろ。

と、思った。

が。

「は? え? なんで生きてるん?」

変な言葉になった。生きているはずのない人間とは。

「久しぶり、リヒト。それにしても随分と可愛い女の子に囲まれてるのね」

「ルー、チェ? 本当にお前か? よしフィー。嘘発見器を作れ」

「あいあいさー」

彼女は、さっき俺がいった、初恋の人、だ。

いやなんで生きてる?

「嘘発見器? わ、私が嘘をついてると思ったの? 心外だわ」

「お前そんなに口厳しくなかったろ」

「そっ、それは……!」

「できましたぁ。動かないでくださいね?」

彼女にとってその純真な笑みは悪魔の笑みに見えただろう……。

兵器の力に対抗できるはずもなく、嘘発見器を強制的に付けられた彼女に対して。


「よし、と。じゃまずお前の名前からだな」

「ルーチェ・ユウ。――ねえ、これ何の意味があるの?」

どことなく不機嫌だが嘘はついてないらしい。

「ルーチェさんはリヒトに恋したことがありますか?」

「気になる気になる!」

ハナがそういう。純粋な子だ(そうプログラミングしただけだが)。

「そんなことしてないわ」

ビー!

「え!? ちょっ!? そんなことは本当にないわ!」

ビー! ビー!

「これは嘘をついたらなるのか?」

そう言えばそうだ。

アサヒはこういうところは抜け目ない。

「はい」

「じゃあ、ということはお前……!」

「こんな引きこもりの何がいいのよ!」

……あれ? この言葉には鳴らないの?

ってことは本当に俺は何がいいのかわからない奴ってことか?

「そんなことありません! リヒトさんは、いいひ」

ビー!

「はわわっ!? なんでえ!?」

「フィー。あとで話を聞こう」

「ふええ!?」

なるほど。これは面白い。しかし俺のメンタルに10のダメージ。

そうか俺、何がいいのかわからん奴だったのか。ついでに言えば、兵器からもそう思われている、と。自分が作ったのにか。

「ルーチャは人間なのか?」

「何よルーチャって!? 私はルーチェよ!」

だいぶ彼女も怒り始めた。面白いなあ。

ひとり俺が笑いをこらえていると。

「すまなかった。ルーチェは人間か?」

「違うわ」

ビー!

知ってた。

「なんで嘘ついたし。笑わせに来てるのか? 俺笑いすぎて死ぬかもしれない」

「これはその! 本当にこいつが動いてるか確かめたかっただけ! べ、別にかっこつけたかったわけじゃないし」

ビー!

ツンデレの敵は嘘発見器だなと思った。いや味方か? 見ている分には可愛い。

「あーわかったわかった。確かにお前はルーチェだ」

「ならなんで聞いたのよ!」

「面白いと思って」

「この人でなし!」

そう言って暴れだす彼女を押さえつけ。

「で、どうやって過ごしてたんだ?」

「リヒト。それについては私から」

アサヒとホノカが俺に言うには。


「冷凍冬眠してたあ!?」

「そうよ」

「それで全然身長変わってねえのか」

「なによ」

彼女の身長は155センチくらい。俺は173センチだ。

「ってかどうして冬眠を?」

「……いいたくない」

プイとそっぽを向く彼女に。

「また嘘発見器を付けたいか?」

「うう……あんたって鬼ね」

「どうぞごかってに」

「……足を滑らせたの」

いまいちよくわからない。どういうことだ。

いやまあね、155センチくらいの人間が間違えて足を滑らせて入ってしまうような大きさの冷蔵庫はあったが。さすがに冗談だと思った。

「本当だった。うん。正直驚いたし最初嗤ったけどさー」

そうへらへらとホノカは言う。

マジか。マジなのか。

こいつ大丈夫か?

「と、とにかく! 起きたら生きてる人間は私とあなたたちだけってわけ?」

「いや、俺とお前だけだ」

「へ?」

ああそうか、さすがに冬眠してたらわからんよな。

「こいつら、兵器だけど?」

「は? 嘘ついてんじゃないの? 嘘発見器は?」

「ちなみにフィー能力で生み出された機械は、一度使い終わると消える」

「え、じゃあさっきの!」

ぽかすかぽかすか。まったく可愛い限りだ。

さて、と。

なぜかもう一人人間が増えたわけだがこれから余計食事に困ることになりそうだな、と思った。

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