5 人間3年目 「弟 善輝誕生」
笑いと幸せいっぱいだった
家族4人となった頃の
父と母
二月に弟善輝が誕生した。
私は三歳になった時だった。
決して裕福な家庭でなかったが、
愛情たっぷりとかけられて育った。
私たち家族親子4人は
祖父母の家からも近い
曽祖祖父母の家の隣の借家で暮らし始めた。
父 秀は異性にモテていた方だと思う。
毎年毎年
誕生日やバレンタインデーなどには女性からの段ボール二箱分のプレゼントを家に持って帰ってきた。
バレンタインデーの時には箱いっぱいのチョコレートを食べられるのがもの凄く嬉しかった。
頭も良く、運動神経も良く、容姿に長けた父は、今思えば魅力的な男性だったのだろう。
しかし、過保護に育った為なのか、人一倍プライドが高く、
人の下で働く事やコミュニケーション能力に欠けていた。
その為、他人となじめなくなることも多々あり、一つの仕事だけを続けていく事が困難だった。
一方、母 晶子はけして美人とは言えない
モアイ像の顔をしていた
でも
両頬に笑窪が出て、太陽な笑顔で誰からも愛されるような人だった。
母の周りには人が絶えず、太陽のように人を和ませ愛嬌のある女性だった。
甘えん坊で一人では何も出来ないお嬢様育ちの母
専業主婦の仕事の配分など
常識的なことが全くわからない
一点集中型の母は
縫物が得意で夢中になると時間を忘れてしまい
私や善輝が高熱を出ていても
私がおむつをしていた時
大量の便で溢れて泣いていても
全く気づかない人だった
しかしながら、その頃、父の仕事が上手くいかなくて、
そんな過程で大阪に移り住むこととなった。
大阪には父が他の祖父母や親せきが以前から住んでいた
近くにあるアパートで生活することとなる。
ここから
人間世界へでの
身体をもつこと
自我をもつことでの
私にとって
もっとも過酷で
地獄という名の試練
すいもあまいも
味わう尽くす
人生が始まり
一歩一歩と歩き出していくこととなる
大阪へと
移り住むときから
天国から地獄へのカウントダウン