ターニングポイントLIFE 1章
ある時、あいつは言った。『もうこれ以上迷うな。自分信じて、信じた道を進め!』・・・と。その時の俺は、まだ小学2年生だった。それから1年後の春にあいつは亡くなった。俺は生まれつき微妙なところの成長が遅い。だからまだその頃には物心が付ききっていなく、死、という実感がなかった。
物心が付ききったのは、5ヶ月後あたりだった。その時にあいつの死を改めて親から聞き、俺はわんわん泣いたそうだ。
それから約10年後・・・
「へっくしょん」
俺は高校3年生になっていた。季節は冬・・・ではなく春だった。花粉症である。
「花粉とかマジつらたんだわ~・・・目は痒いし、鼻水は壊れた水道みたいに出るわ・・・」
すでに始業式から1週間。学校に通い、授業を終えてはすぐ帰るという日常を送っていた。すぐ帰る理由は小説を書くためだ。でもいざ書くとなると、考えていることをどうしたら読者に伝えればいいかわからなくなるのだ。なぁ、どうしたいいかな・・・って読者に問いかけても無理だよな。読んでるときには、書き終わってるもんな・・・と心の中でそんなことを思いつつ、アイデア行き当たりばったりで書いていた。
ふとスマホブーブーなった。電話だ。相手は高校1年生の時に仲良くなった女子。
「柏木梨花」17歳。
「明日暇?」
「ああ、暇だよ。」
「じゃあさ、アキバ行こうよ!久しぶりにさっ!」
「あ~、やっぱ用事あったわ~というわけで行けないじゃあね」
「ちょちょちょ!!ちょっと待てぇ~い!!お前絶対それウソだろ!」
「は?ウソじゃねぇし~」
「いや絶対ウソだ!私知ってるもん。あれでしょ、ただ行くのが面倒くさいだけでしょ。」
「んわけないだろ」
「あ、じゃあいい事教えてあげるよ。明日、「冴えない彼女の育て方」のシークレット新作ゲームの発売だって、しかも数量限定。これは明日中に売り切れちゃうかもね~」
「ぐっ・・・!」
梨花は俺の弱いツボをよく知っていた。まぁ、2年近くも仲良くしてれば当たり前か。
「ちっ、負けたよ。仕方ない、行ってやるよ。」
「やったー!じゃあ、明日十時半に新所沢駅で集合ね!」
「へいへい」
本当にちゃっかりした女だ。だけど、こんな風に遊びに誘ってくれることを、俺は密かに嬉しいと感じていた。梨花と秋葉原に行くのは、高1のとき以来だ。あの時は、初めてのアキバでいろんな所に目が行ってはそこに寄り道し、最終的に目標の物を買ったのは夜遅くだった。
「今回はそうならないように気をつけよ。」
そして明日の身支度をし、眠りについた。
「ふあああ・・・・」
小鳥の鳴き声と朝日の光で俺は目を覚ました。うつらうつらと立ち上がり、階段を降り、洗面所にやっとの思いで辿り着く。鏡を見ると目の下にひどいクマが出来た。そりゃそうだ、今日の5時に寝て今が9時、4時間しか寝ていないのだから。
「やべー・・・昨日ゲームし過ぎた・・・」
まぁ、昨日そんなこと言っ・・・やめよう、これはメタい発言になってしまいかねない。
とりあえず顔を洗い、リビングに向かった。
「おはよー!キョウちゃん!!」
ここで初めて名前を呼ばれたので俺の自己紹介といこう。俺の名前は中村京介(17歳)。ごく普通?の男子高校生いや待て、なぜ今「?」を付けた?・・・・まぁそれは置いておこう。
続いて、朝から(もう9時だけどな)テンション高いのは、俺の母親。中村真由美(36歳)まだまだ肌を女子高校生に負けない!PTA会長っていうこともあり、うちの学校の生徒とも顔見知りで、その上人気者である(主に男子だが・・・)。
「はい!今日の朝ごはん!。献立は・・・白米、味噌汁、目玉焼き、レタスです!」
「うん、いつも通りだな」
「えぇ~そんなひどいこと言わないでよ~。味噌汁はちょこっとだけ隠し味をいれてあるよ!」
「ほんとかよ・・・ズズズ・・・こ、これは!?」
「ね?いつも通りじゃないでしょ?」
「いつも通りだな」
「そんなぁ~」
そんなくだらない会話をしながら朝食を終え、外出の準備をした。
「今日帰って来るの遅くなると思うから、先寝てていいよ。」
「わかった1、ウフフ梨花ちゃんとのせっかくのデートだもんね。夜までしっかり楽しんでらっしゃい!」
「怪しいこと言うんでない!行ってきます。」
「はいはい、いってらっしゃ~い」
こうして俺は家を出た。